夜の街・都会を舞台にしたおすすめヴィジュアル系楽曲10選

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都会のネオン、雨に濡れた路地、終電後の静かな繁華街。

ヴィジュアル系の世界には、都市を舞台に孤独感や退廃美を表現した楽曲が数多く存在する。

この記事では、そんな「夜の街」「都会」をテーマにしたヴィジュアル系楽曲を10曲以上ピックアップして紹介する。

歌詞に表れる都市描写や漂う夜の空気感に注目しつつ、それぞれの楽曲やアーティストの背景も交え紹介していくので、ネオン街を歩くような気分で楽しんでみてほしい。

目次

the Raid.「歌舞伎町レイニー」

the Raid.(レイド)の代表曲「歌舞伎町レイニー」は、新宿・歌舞伎町を舞台にした切ないバラード。

歌詞の中では、歌舞伎町という街に染まった一人の女性が、雨の中でその街を後にしようとする心情が描かれる。

降りしきる雨に濡れた歌舞伎町のネオンと、そこで生きる女性の悲哀が重なり合い、まるで街全体が涙を流しているかのような湿った情感に満ちた一曲だ。

その歌詞世界は非常にドラマチックで、歌舞伎町という具体的な場所を題材としながらも、多くのリスナーの心を揺さぶる傑作バラードとなっている。

シェルミィ「御堂筋線エンザイティ」

大阪発のヴィジュアル系バンドシェルミィの「御堂筋線エンザイティ」は、そのタイトルが示す通り大阪市の大動脈である地下鉄・御堂筋線沿線の夜を思わせる楽曲。

「エンザイティ(Anxiety=不安)」という言葉どおり、都会に生きる若者の不安と孤独を描いた歌詞が印象的だ。

歌詞には

20時 心斎橋 予約で埋まってる私の価値とは?

22時 天王寺 白線の内側で君を待っていた

といった情景が登場。

大阪の街で過ごす夜の一幕一幕がリアルに綴られている。

都会に生きる上で感じる閉塞感や自己価値の喪失感が鋭く描かれ、終電間際の地下鉄や雑踏の裏に潜む不安を音に昇華した、シェルミィならではの一曲だ。

てんさい。「City.」

関西で結成されたヴィジュアル系バンドてんさい。の「City.」は、ジャズの要素を感じさせるミドルテンポのナンバー。

都会の雑踏の中、どこか透明で、存在を誰にも気づかれないまま夜に沈んでいくような孤独が流れる。

歌詞の中盤には、

描きかけの未来

朝が来るまでもがく生き方も悪くない

といった言葉が続く。

不安や迷いを抱えながらも、「今この瞬間」を肯定しようとする心のありようが、聴き手の心に静かに寄り添う一曲だ。

てんさい。は2016年に大阪で結成され、ルールや常識に縛られない独自の感性と、鋭くも人間臭い言葉で共感を呼んだ。

「City.」では、そんな彼らの反骨精神とは裏腹に、都市を漂う“個”の存在感が繊細に表現されている。

R指定「親不孝通りは今日も雨。」

R指定の「親不孝通りは今日も雨。」は、福岡市に実在する繁華街「親不孝通り」をタイトルに冠した作品。

歌詞は薄暗い曇り空からぽつりと雨が落ちてくる情景で始まり、ガラス越しに見える街にため息とともに雨が降り出す。

その中で主人公は失恋の痛手を抱え、メントールの煙草の吐息とともに心の痛みを紛らわせようとしているかのような姿が描かれる。

煌びやかなネオンで賑わう歓楽街も雨に霞み、街の喧騒がどこか寂しげに感じられる。

聴けばまるで福岡の雨の夜道に立っているかのような余韻が残る一曲だ。

DEZERT「大塚ヘッドロック」

DEZERTの「大塚ヘッドロック」は、東京の深夜の狂騒をシュールかつグロテスクに描いた楽曲。

歌詞は曜日ごとに東京の各所で起こる不気味な情景を綴っており、冒頭から

月曜日の終電間近 新宿西口 左腕のない娼婦が泣きながら歌ってたよ

というショッキングな描写で始まる。

さらに

水曜日の朝 誰もいない高田馬場 右腕を食べられた小学生も泣いてたんだ

と続き、深夜の新宿や早朝の高田馬場に現れる傷だらけの人物たちが登場。

これは都会に潜む闇や、人知れず傷ついている人々のメタファーとも取れる。

ビル街の夜景が舞台ながら、まるで悪夢めいた都市伝説を聞いているかのようなホラー的空気感が漂う一曲だ。

少女-ロリヰタ-23区「Bad City」

バンド名自体に「23区」と掲げ首都・東京への強い想いを感じさせる少女-ロリヰタ-23区。

2012年に発表され、アルバム『WORLD end’s GALAXY』にも収録された「Bad City」は、タイトル通り“悪い街”=東京の闇を描いている。

楽曲は、煌びやかなネオンや忙しない都会を思わせるきらびやかなシンセのイントロから始まる。

壊れた街 ノイズだらけ 何故だか満たされないよ今も

と、光にあふれるはずの大都会を「壊れた」「ノイズだらけ」と表現。

夢が叶うと信じて集まった人々も、いつしか満たされない想いを抱えて彷徨っている様子が浮かぶ。

痛がる星 傷つく星 ほらまた綺麗事溢れて…きっといつか叶うって 闇の先へ 光指す場所へ

というフレーズでは、傷ついたまま綺麗事(夢や希望)を信じようともがく姿が描かれ、暗闇の先に一筋の光を求めている心情が伝わってくる。

MERRY「東京」

MERRY(メリー)の「東京」は、タイトルそのままに東京という街そのものをテーマとした楽曲。

歌詞の冒頭では

人で溢れかえる赤の交差点 踏み出せば楽になれるかな?

と、大勢の人々でごった返す都心の交差点で一歩踏み出すことへの逡巡が描かれる。

過去の自分から「夢は叶った?」と問いかけられ、ふと我に返るものの、青信号に変わると周囲の人々は一斉に前に進む。

みんなが僕を追い越していく 嗚呼…此処でも一人取り残されるんだね…

という描写からは、都会で抱く焦燥感や劣等感、そして叶わぬ夢への諦念がひしひしと伝わってくる。

聴き終えた後に都会の空気の冷たさと、それでも前に進まねばという切なさを感じさせる名曲だ。

LUNA SEA「ROSIER」

ヴィジュアル系黎明期を代表するバンドLUNA SEAの名曲「ROSIER」は、一見ラブソングのようでいながら、東京の閉塞感とそこからの脱却を歌った深い詞が特徴だ。

歌詞冒頭では

輝く事さえ忘れた街は ネオンの洪水 夢遊病の群れ

と、惰性で生きる人々を暗示するフレーズが登場し、

腐った野望の吹き溜まり中 見上げた夜空を切り刻んでいたビル

では、野心が渦巻き澱んだ都会の様が描かれる。

そしてサビでは

夢の無いこの世界 輝く星さえ見えない都会で 夜空に終わりを探し求めて この夜にかざした細い指先

と歌われ、何かの終わり(答え)を必死に探す主人公の姿が浮かび上がる。

「ROSIER」が収録されたアルバム『MOTHER』(1994年発売)の時代、東京はバブル崩壊後の停滞感に覆われており、当時のヴィジュアル系シーンの閉塞感が歌詞にも投影されているといえよう。

ナイトメア「東京傷年」

ナイトメア(NIGHTMARE)が2004年に発表したアルバム『リヴィド』に収録されている「東京傷年(とうきょうしょうねん)」は、混沌とした東京の夜を詩的かつ残酷に描写した楽曲。

双子の理性 地に着かぬ足 常識人(モラリスト)の消えた街

と冒頭から綴られ、理性を失った人々が闊歩し常識が通用しない街・東京を提示。

揺らめくネオンを星に見立てた表現や、埃臭い街の夜に少年が涙を流す情景から、煌びやかながら汚れきった都会で傷つき泣いている純真な“少年”の姿が強烈に浮かび上がる。

東京という街に夢を抱いて来た若者が打ち砕かれた姿にも重なり、聴く者の胸を刺す名曲だ。

the GazettE「東京心中」

引用元:the GazettE Official Site

the GazettE(ガゼット)の代表曲の一つ「東京心中」は、恋人の夢を支えるため一緒に上京した若い女性が主人公の物語で、煌びやかな東京の夜を舞台に希望が徐々に陰っていく様子を描く。

しかし都会での生活は思うようにいかず、孤独と絶望の果てに二人は心中という悲劇的な結末を迎えることになる。

賑やかな大都会・東京のネオン街が物語の背景となり、その華やかさとは裏腹に登場人物たちの抱える孤独感と虚無感が際立つ。

さらに、昭和の歌謡曲を思わせるノスタルジックなメロディと合間に挿入される語りが演歌調の雰囲気を醸し出し、夜の街に漂う哀愁を一層際立たせた一曲だ。

まとめ|街を彷徨う音の旅へ

煌めく街の灯りに潜む孤独、雑踏をすり抜ける不安、そして雨音に滲む

ヴィジュアル系の楽曲は夜の街・都会というキャンバスに、人間の様々な感情を描き出してきた。

歌舞伎町や御堂筋といった具体的な街の名を冠した曲から、都会そのものを擬人化したような曲まで、それぞれの楽曲が映し出す世界観は異なりつつも、共通して感じられるのは「夜の街には人の数だけドラマがある」ということではないだろうか。

今回紹介した楽曲をプレイリストにして夜の散歩に出かければ、まるでネオン煌めく繁華街から雨に濡れた路地裏まで、様々な夜の街角を実際に歩いたような気分になるかもしれない。

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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