生生世世 二周年記念主催「涅槃寂静」大阪公演ライブレポート

  • URLをコピーしました!

2026年1月31日、大阪・南堀江knaveにて、生生世世二周年記念主催ライブ「涅槃寂静」大阪公演が開催された。

出演は生生世世、deva:ed、妖-Ayakashi-の3組。

南堀江knaveは、同一フロアにライブハウス、リハーサルスタジオ、ギターショップが並ぶ構造を持ち、他の会場ではあまり見られない店舗形態となっている。

階段を下り切った先には、この日の公演への期待感が自然と高まる空間が広がっていた。

目次

妖-Ayakashi-

開演時間を迎えると、幕が開きステージが視界に入る。

ステージに立っていたのは5人。

妖-Ayakashi-は、ボーカル・御狐神 痕によるソロプロジェクトだが、サポートメンバー4人を迎えた編成でのステージだ。

サポートメンバーは、黒の羽織に深緑の袴を基調とした衣装で統一され、ヘアメイクも含めて世界観を強く意識した出で立ち。

一方、ボーカルの御狐神 痕のみが異なる装いで登場する。

お経のような文字が刻まれた着物に、鮮烈な赤色の髪飾り。揺れるたびに視線を奪うその装飾が、ステージ中央に強い存在感を生み出していた。

痕の手にはお祓い鈴が握られており、腕を動かすたびに澄んだ音が会場内に響く。

その音が合図となり、フロアの空気がゆっくりと切り替わっていく。

やがて痕が鋭く声を張り上げる。

「人間ども!」

その一言で、フロアの緊張感は一気に引き上げられた。

ジャンプ、折りたたみと激しい展開

序盤からサビではジャンプが起こり、続く楽曲では折りたたみが連続する構成が続く。

御狐神 痕は、終始前に出る姿勢を崩さず、歌声と動きの両面で強い気迫を放つ。

始動から2年足らずとは思えない完成度で、楽曲・動き・煽りが一体となり、ステージ全体を掌握していく様子が印象的だった。

MCでは「妖です」と自己紹介ののち、こう呼びかける。

「あなたたちがどこのお客さんだとか、そんなことは分かりません。ただ、その声を、腕を上げて、答えてください」

拳ヘドバンでフロアを掌握した「カミソリ」

ラストは「カミソリ」。

イントロから激しい拳ヘドバンで、1バンド目ながらすべてを出し切らせるかのようにフロアを一気に巻き込む。

かと思えばサビでは一転、優雅な手扇が揺れる。

そして曲中の間奏ではフレーズがループ。

痕の煽りに合わせて、フロアは拳ヘドバン、モッシュへと動きを切り替え、その応酬が続いていく。

ループの最後は拳ヘドバンでまとめられ、終盤へなだれ込んだ。

一度見たら忘れない鮮烈なヴィジュアルと、御狐神 痕の気迫。

妖-Ayakashi-のステージは、限られた持ち時間の中で強烈な印象を残して幕を下ろした。

deva:ed

転換中、最前列は自然と入れ替わっていく。

前方に集まったバンギャたちは、縦縞模様の野球ユニフォームを思わせるバンドTシャツを纏っており、一体感を醸し出していた。

耽美なヴィジュアルとテクニックが際立つステージ

ステージ中央に立つGt&Vo. You-sukeは、ダークなアイメイクに漆黒の口紅を合わせた、耽美性を前面に押し出したヴィジュアル。

立ち姿そのものがステージの軸となり、視線を一点に集めていく。

下手のBa. 彌生は、女形を思わせる優雅な佇まいが印象的だ。

太く響くベースの低音に加え、その端正な顔立ちからは想像しにくいデスボイスを楽曲の要所で差し込み、フロアの温度を確実に引き上げていく。

拳ヘドバンと歌謡的フレーズの両立「絶」

中盤で披露された「絶」は、この日のセットの中でも特に印象に残る一曲だった。

イントロから拳ヘドバンが入り、振り付けの難度も一段階上がるが、初見の観客も動きを合わせていく。

激しく暗い楽曲の中でBメロの歌謡曲的なメロディラインが光る曲だ。

多彩な音楽性と人間味が共存するdeva:ed

全体を通して、ギターの速弾きを随所で見ることができ、メタラーにも刺さるだろう。

エレクトロ、シンフォニック、さらには歌謡曲的なメロディまでが重なり合い、音楽性の幅広さを感じさせる構成となっていた。

一方で印象的だったのは、ステージ上で見せるメンバー二人の心から楽しそうな微笑みだ。

耽美な世界観をまといながらも、そこには過度な硬さはなく、人間味と多幸感が自然に滲み出ていた。

暗さや美しさだけに収束しない、その温度感こそが、deva:edのステージを特別なものにしているように思う。

生生世世

転換が明けると、ステージにメンバーが姿を現す。

ボーカルの雅は黒い薔薇を手に登場。

SEにはクラシックの「G線上のアリア」が流れ、フロアの空気が一度静かに整えられる。

冒頭で投げかけられたのは、

「願わくば君の笑顔に、また触れられますように」

という言葉だった。

静かな立ち上がりから攻勢へ、個性が輪郭を帯びるステージ

1曲目は「白詠」からスタート。

特に印象的だったのは、この曲で見られたモッシュの流れだ。

通常は上手と下手を行き来するはずのモッシュが、後半では上手側へと流れ続けており、意表を突かれる瞬間となっていた。

ベースの環は過度に前へ出ることなく、落ち着いたステージングでフロアを支える。

ドラムの汰瑯は、儚さを感じさせる美少年の佇まいとは対照的に、ブレることのない鋭く安定したリズムで演奏の軸を保ち続けていた。

そして、真っ白なスーツに身を包んだボーカルの雅は、まるで夜空に浮かぶ青白い月のようにステージ中央で輝く。

艶やかで伸びのある歌声は、どこかGacktを思わせる質感を持ち、激しさと耽美さが交錯する生生世世の世界観を鮮やかに表現していた。

アンコール|「月下繚乱」から「何回死ねばわかるんだ」へ

アンコールは「月下繚乱」演奏後、雅はフロアに向けてこう語りかける。

「人には限界があり、感情を抑えるべきだと一般的には言いますが、ここでは違う。リミッターを外せ」

「月下繚乱」の歌詞とも重なり合うこの言葉。

「何回倒れても僕たちは立ち上がる!」

そう力強く言い放ち、続けて披露されたのは「何回死ねばわかるんだ」。

倒れることや壊れることを否定するのではなく、その先で何度でも立ち上がるという覚悟。

ここまで積み重ねてきた時間や、簡単には語られない過程を経た者だからこそ放てる言葉として、重みを持って響いていた。

様々な苦難を乗り越え、2周年公演として全国を回り、この日を迎えたという事実そのものが何よりの証明だろう。

まとめ|「涅槃寂静」が示した三者三様の在り方

「涅槃寂静」というタイトルが示す通り、この日のスリーマンは、静と動、抑制と解放、そのどちらか一方に収束するものではなかった。

妖-Ayakashi-は、強烈な世界観と即効性のある熱量でフロアを掌握し、deva:edは音楽性の幅と人間味のある表情で空間に確かな温度を与える。

そして生生世世は主催者として、美しいだけの物語に留まらず、感情を解放するための場所としての在り方を示してみせた。

それぞれのバンドが、今後さらに自分たちの色を鮮やかにし、魅力を増していくことは想像に難くない。

願わくば、また彼らと共に、ヴィジュアル系という世界の中で感情を解放できる夜を重ねていきたい。

そんな余韻を残す一夜だった。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

目次