ヤミテラ Valentine’s Day ONEMAN「ヤミチョコ」大阪公演 ライブレポート

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2026年2月9日。

全国的に大雪に見舞われたこの日、大阪・梅田の街も例外ではなかった。

交通への影響を心配する声が聞こえる一方で、梅田 LIVESPACE ODYSSEYには、ヤミテラのワンマンを目指してファンたちが集まっていく。

この日はバレンタインをテーマに掲げたワンマン公演「ヤミチョコ」。

普段とは異なる衣装や、この日限りの構成に対する期待と高揚感が、開演前からフロアに満ちていた。

やがて開演前SEが鳴り響き、メンバーがステージへと姿を現す。

この日の衣装は、ピンクを基調としたバレンタイン仕様。

いつものヤミテラよりもカジュアルで、どこか柔らかさを帯びた雰囲気がある。

メイクも心なしかナチュラル寄りで、尖りと優しさが同時に存在するような印象を受けた。

目次

1曲目「ケミカルダンス」

1曲目は「ケミカルダンス」。

イントロが鳴った瞬間、フロアは自然と身体が動き出すグルーヴに包まれる。

観客の手首には光る腕輪が輝き、色とりどりの光がフロアを彩っていく。

一斉に揃えられた手拍子が空間に広がり、音と光が混ざり合う。

2曲目「くだらね世界」

続く2曲目は「くだらね世界」。

リズミカルなビートに乗せて、フロアはそのまま熱を保った状態で揺れ続ける。

ラップ、デスボイス、そして伸びやかな歌声。

ボーカル・RiNaは、そのすべてを自在に行き来しながら、楽曲の表情を切り替えていく。

3曲目「メンヘラ撲滅」

3曲目は「メンヘラ撲滅」。

Aメロに入ると、フロアではツーステが始まり、手を繋いではしゃぐバンギャの姿も見える。

「メンヘラヘラメンヘラ」

というフレーズに合わせて、サビでは手を振る振り付けが揃い、一体感が一気に増していく。

4曲目「HARRY」

4曲目は「HARRY」。

ドラム・じゅんじゅんとベース・湊叶が奏でる低音が重く響くAメロ。

そこにギターリフが重なり、Bメロ、そしてサビにかけて一気にメロディアスな展開へと転じる。

暴力性や冷たさを感じさせる音像と、切なさや孤独を滲ませる旋律。

相反する感情が一曲の中で揺れ動き、ヤミテラの表現の振れ幅を見せつけた。

MC

ここでMCに入る。

「どうも! なにわ男子です!」

RiNaが口を開くと、フロアから一斉に笑いが起こる。

「なにわの男子だから、なにわ男子。違うの!?」

と続けて畳みかけ、さらに空気を和ませていく。

「今日は曲数いっぱいやるから、楽しんで帰ってくれよ!」

と告げると、その言葉にフロアの空気が一段弾んだ。

5曲目「FLOW BACK」

5曲目は「FLOW BACK」。

上手ギター・ShuKaと下手ギター・蘭樹のギターリフは華やかでありながら緩急の付け方が巧みだ。

楽曲の中で前に出たり、ボーカルを立てたりと役割を柔軟に入れ替えていく。

6曲目「レビトランス」

続く6曲目は「レビトランス」。

「お前ら溜まってんだろ!」

とRiNaが煽ると、フロアは一斉に手拍子を始める。

サビでは手扇子が舞い、熱量がさらに高まったところで、突如機材トラブルにより演奏が中断。

「あとでもう一回やるから!」

とRiNaはすぐに声をかけ、観客を落ち着かせる。

「こんな雰囲気でやる曲じゃないかもしれねえけど……折りたため!!」

と告げ、空気を切り替えるように次の曲へと進んだ。

7曲目「フィクション」

7曲目は「フィクション」。

激しい折りたたみのイントロ。

重く圧のあるサウンドに合わせ、フロアの動きも鋭さを増していった。

8曲目「調教カルティズム」

8曲目は「調教カルティズム」。

「調教して下さい!」

という声が、フロアから一斉に上がる。

楽曲の持つ歪んだ世界観に呼応するように、観客の声や動きも次第に激しくなっていく。

MC

ここで再びMCに入る。

RiNaは、

「たまに来るんだよ、DMとかでさ。

今日は◯◯のライブ行きました。あっ、でもヤミテラも好きですよ!?

友達の付き添いで◯◯行ってきました。一番はRiNaさんですけどね!

……みたいなの」

と話し、フロアから笑いが起こる。

「そういうのさ、モチベーションになるから。

どんどん送ってきてほしい!」

と続けた。

さらに、少し言葉を選ぶようにして語る。

「どうやったら幸せにできるんだろうって、考えることがあってさ。

見てくれるみんなからしたら、演者が楽しんでるのが一番なんじゃないかって思うんだよね。

そうやって俺たちが楽しんでたら、みんなももっと楽しくなるし。

これって、すごい相乗効果なんじゃね?」

そう言ってから、

「今よく聞く“倍倍FIGHT!”って、こういうことだったのか!」

と笑いを誘う。

フロアが和んだところで、

「じゃあさ、倍倍倍倍倍倍倍倍倍倍にしていこうぜ!!」

と叫ぶと、観客の反応も一段大きくなった。

9曲目「BLACK OUT」

9曲目は「BLACK OUT」。

イントロが鳴ると同時に、フロアから声が上がり、拳が突き上がる。

間奏では、ShuKaの早弾きギターソロが響き、視線が一斉にステージへと集まった。

10曲目「仇花」

続く10曲目は「仇花」。

ここまで曲数を重ねても、RiNaの声量はまったく衰えない。

曲中では、ドラムソロ、ベースソロ、ギターソロと、順番にメンバーそれぞれの見せ場が用意されており、ステージ上の熱がそのままフロアへと伝わっていった。

11曲目「理由」

11曲目は「理由」。

「一つ一つ忘れかけていた物を取り戻すように

今も君に伝えたい言葉は一葉の想い出に 勇気になる」

というフレーズが切ない旋律に乗って、観客一人ひとりに向けて言葉を手渡すように響く。

12曲目「害悪stupid」

本編ラストは「害悪stupid」。

手拍子、ジャンプ、折りたたみが入り混じる忙しないイントロから、一気にフロアの動きが加速。

Aメロ、サビとテンポが切り替わるたびに、観客の反応も瞬時に変わり、最後まで気を抜く余地はない。

目まぐるしく展開する構成のまま、本編は駆け抜けていった。

アンコールMC

アンコールの声に応え、ほどなくしてメンバーたちが再び姿を現す。

まずはこの日限りのバレンタイン公演衣装について触れられた。

「今日の衣装は、スタイリストさんに選んでもらったんだよね」

とRiNaが切り出す。

じゅんじゅんは、オーバーサイズ気味のニットに骨のモチーフが描かれた、どこかユーモラスで個性的な装い。

湊叶は、縦縞模様の濃いピンクのトップスに、背中には大きく数字の「8」がプリントされたスポーティーカジュアルなトップスを着ていた。

「なんで8なんだろう?」

「ヤミテラの“ヤ”で8!?」

とメンバー同士で和やかなやり取りが交わされる。

蘭樹は薄いピンクを基調に、ヴィジュアル系らしい十字架のモチーフが入ったデザイン。

そしてRiNaは、白シャツにベビーピンクのファーニットを重ねたレイヤードスタイルだ

「このピンクとか、この襟とかさ。デニムにもパールついてるし。

自分なら絶対選ばないよ!」

と笑いながら話す姿に、フロアも和んでいた。

ShuKaは、くすみピンクとグレーのチェック柄シャツで、メンバーの中でも特にカジュアル寄り。

「自分の衣装これなのは事前に知ってたけど、今日みんなの衣装見て、俺だけ雰囲気違うなって思った」

と話すと、RiNaは

「スタイリストさんのShuKaのイメージがそれだったんじゃない?」

と返す。

「どうかな?」

という問いかけに、フロアから

「かわいい!」

「おしゃれ!」

という歓喜の声が上がった。

「前回のライブが1月26日で、そこからちょっと間が空いたじゃん。

毎朝コーヒーと“おはよう”のストーリー上げられない自分が、嫌になりそうだったよ」

と、RiNaは久しぶりのライブを待ち焦がれていた気持ちを口にした。

アンコール1曲目「雪ニ散ル桜」

アンコール1曲目は「雪ニ散ル桜」。

雪の舞うこの日に重なるような選曲。

「寒い夜だね 凍えた声で雪を見ながら

君ははしゃいでいたね」

というAメロが静かにフロアへと落ちていく。

90年代から2000年代のヴィジュアル系を思わせる歌謡曲調のメロディー。

間奏の歌い上げるような切ないギターソロもまた、ノスタルジーを感じさせた。

アンコール2曲目「PARADOX」

続く2曲目は「PARADOX」。

Bメロに入ると、RiNaのデスボイスに合わせてフロアでは激しいヘドバンが巻き起こる。

アンコール3曲目「CLOWN」

アンコール3曲目は「CLOWN」。

重さと踊れる軽快さの両方を併せ持つ、ヤミテラらしい一曲だ。

「譲れ無い想い この声が枯れるまでずっと

届くように 変わらない

願いを込めて」

枯れることのないRiNaの歌声が、フロアに力強く響き渡っていた。

アンコール4曲目「都落ち」

4曲目は「都落ち」。

ベースとボーカルから始まり、

「都を去る君を 見送る

私後ろ姿 嗚呼 人並みの中」

という歌詞が、物語のように紡がれていく。

短編小説を読み終えたあとのような感覚が残る、哀愁を帯びた一曲だった。

アンコール5曲目「カリスマ」

続いて披露されたのは「カリスマ」。

「どいつもこいつもカリスマ

ほらねあいつもこいつもカリスマ」

中身のない権威や、形だけのブランディングに対して疑問を投げかけるようなな歌詞が、ストレートに投げ込まれる。

それを歌うRiNa自身は、MCでは一貫して「みんなを楽しませたい」「幸せにしたい」と語ってきた。

この曲は単なる皮肉では終わらず、説得力のある言葉として強く響いていた。

アンコール6曲目「レビトランス」

ここで、機材トラブルにより中断された「レビトランス」が改めて演奏される。

「愛して愛して傷つけて

濡れない首筋にkissおあずけ」

官能的なフレーズが放たれると、フロアには再び高揚感が広がる。

アンコール7曲目「ケミカルダンス」

さらに「ケミカルダンス」がもう一度披露される。

こちらも本編では音が途切れていたための“リベンジ”となり、フロアからは歓迎する声が上がった。

アンコール8曲目「前線敬礼歌」

アンコールラストは「前線敬礼歌」。

ヤミテラの代表曲とも言えるこの曲。

「敬礼!」

とRiNaが高らかに叫ぶと、フロアは一斉に敬礼ポーズをとる。

上手から下手へとモッシュが起こり、飛び跳ねる観客たちの熱量は、この夜の最高潮に達した。

終演後

曲が終わり、メンバーがステージを後にしようとすると、湊叶がおどけた様子ではけていく。

「ちょいちょいちょいちょい! 戻れー!」

RiNaが呼び止めると、フロアがざわつく。

「湊叶がこんなはけ方してたからさ」

と動きを真似て茶化しつつ、今度はRiNa自身がいじられる番になる。

「衣装汚れすぎだろ!」

メンバーの言葉に、白い襟に付いたファンデーションが話題に上がった。

RiNaは笑いながら、

「バンドなんて衣装汚してなんぼだろ!」

と返し、

「わっしょいいくぞ!」

と、本当の最後の曲の始まりを告げた。

追加曲「わっしょい!!天界道中記」

歓声に包まれる中、最後に演奏されたのは「わっしょい!!天界道中記」。

明るく前向きな空気をまとったこの曲は、ヤミテラのこれからの旅路をそのまま映し出すようでもあった。

ラストMC

「ヤミテラは東京のバンドだけど、日本のバンドでもあると思ってる」

最後にRiNaは語る。

「これからも楽しいライブとか、感動するライブとか、沢山見せていくんで。

いっぱい練習するから、また遊びに来てください」

と、フロアに向けて言葉を届けた。

まとめ

バレンタインといえば、甘い空気や“与える側・受け取る側”といった構図が思い浮かびがちだ。

しかしこの日のヤミテラは、決してファンに甘えるだけの存在ではなかった。

普段とは異なる衣装に挑戦し、曲数を惜しみなく重ね、トラブルがあればその場でやり直す。

どんな状況も前向きに受け止める姿が、そこにはあった。

安定感のあるリズム隊、華やかさと押し引きのバランス感覚を兼ね備えたギター陣、そして真っ直ぐでパワフルなボーカル。

心の闇や怒りに寄り添いながらも、ただ逸脱するのではなく、ファンたちと共にこの空間を全力で楽しみたいという気持ちが、ライブ全体を通して伝わってきた。

対盤では前へ前へと打ち出す強さが際立つバンドだが、ワンマンライブでは、どこか温かみや人間らしさのある姿を見ることができた。

次はぜひ、ヤミテラのライブをその目で確かめてほしい。

きっと、痛みや苦しみを吐き出したその先で、笑って帰れる夜になるはずだ。

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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