【V系バンド紹介】甘い暴力とは?メンバー・楽曲の魅力や世界観を解説

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恋愛依存や自傷衝動といったテーマを軸に、“病み”とユーモアを織り交ぜた独自の世界観を展開する「甘い暴力」。

激しいサウンドと直接的な歌詞表現を武器に、若年層を中心に注目を集めている彼らを紹介する。

目次

甘い暴力とは?バンド結成のいきさつとコンセプト

甘い暴力は、2016年に結成されたヴィジュアル系バンド。

前身ユニットである「黒姫の夢遊病」と「白日ノ夢」というふたつの対照的な存在が融合し、“黒”と“白”の対立と調和を象徴する形で誕生した。

甘い暴力のメンバー
  • ボーカル:咲(さき)
  • ギター:文(あや)
  • ギター:義(よし)
  • ドラム:啓(けい)

コンセプトは「病んでしまったお姫さまたちへ捧ぐ、スイート・バイオレンス・ロック」

バンド名そのものが掲げる通り、甘さと暴力性という相反する要素の同居こそが、彼らの根源的な美学である。

甘い暴力の音楽性とライブパフォーマンスの特徴

音楽的には、キャッチーでメロディアスなJ-POP的要素を持ちながら、ヘヴィなギターリフやラウド寄りのシャウトも積極的に取り入れている。

ジャンルの枠を飛び越える柔軟性があり、楽曲ごとにまるで別バンドのような表情を見せるのが面白い。

ラップ、ミドルテンポの語り、ハイトーンのメロディ、変拍子まで多様な展開を盛り込むその構成は、意図的な“情緒不安定さ”として成立している。

ライブでは、シリアスな世界観を貫きながらも、メンバーの動きやMCにはギリギリまでふざけるユーモアも混在。

激烈なダークチューンのあとに、ネジの外れたおふざけ曲を挟むような構成で観客を翻弄する。その起伏が極端なほど、むしろ彼らの“病み”のリアリティが浮き彫りになっている。

甘い暴力のメイクと衣装デザイン

ビジュアル面では、“病みかわいい”の文脈を独自に解釈。

黒を基調にピンクや赤、蛍光色を差し色にした衣装や、涙袋を強調するメイクで、メンバー各人が狂気と可憐さを同時にまとう。

とりわけドラムの啓は蛍光グリーンやピンクを配したネオンスタイルで異彩を放ち、照明下で浮かび上がるその姿はまるで毒キノコのような艶やかさを帯びている。

まとめ|痛みを物語にしてしまう、甘い暴力の魅力

同時代のヴィジュアル系シーンで“メンヘラ”を主題に掲げるバンドは少なくない。

しかし、甘い暴力はその“病み”を内面の表現に留めず、舞台装置としても利用し、観客ごと物語の中に巻き込んでいく。

2010年代後半に頭角を現した“メンヘラ系V系”の中でも、甘さと毒、ユーモアと暴力性の配分において、特異なバランス感覚を持っていると言えよう。

ヴィジュアル系が抱える痛みや依存、自己否定といった感情の渦を、笑いと狂気で包み込んで見せる。

そのスタイルは、病んだ心を持つ者にとってのカタルシスであり、同時に“ヴィジュアル系とは何か”という問いへの一つの回答にもなっているのではないだろうか。

甘い暴力

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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