
ヴィジュアル系バンド「0.1gの誤算」は、2016年に始動した5人組だ。
- VOCAL:緑川裕宇
- GUITAR:河村友雪
- GUITAR:水田魔梨
- BASS:眞崎大輔
近年では自ら「日本一バズるV系バンド」と称するほどSNSを駆使しており、ボーカル緑川のYouTubeチャンネルは登録者数20万人超という驚異的な数字を記録している(2025年4月時点)1。
一般の音楽ファンにも名前が届くその発信力と話題性、そしてユーモアのセンスが際立つ一方で、長年培ったダークで非現実的な世界観をステージ上で本気で体現し続けている点でも特異な存在である。
彼らは、SNS時代の波を巧みに乗りこなしながら、ヴィジュアル系の「王道」と「異端」の間を縦横無尽に行き来する。そんな0.1gの誤算という存在は、一体どんな美学を持ち、どこへ向かおうとしているのか。
その唯一無二の魅力と表現世界を、じっくりと紐解いていこう。

0.1gの誤算のプロモーション力とユーモア|「バズる」戦略で一般層まで魅了
2022年、ライブハウス開場時間と同時に演奏を始めるという前代未聞の“検証企画”が実施された。
タイトルは「入場時刻と同時に演奏がスタートしたらバンギャはどんな反応をするか検証してみた」。
まだ入場途中の観客が続々とドアをくぐる中、いきなり始まるフルスロットルのライブ。慌てて荷物を抱えたまま駆け込むバンギャ、驚きながらも暴れるバンギャなど、反応はさまざま。
0.1gの誤算最大の特徴の一つが、そのプロモーション手法の巧みさと抜群のユーモアセンスだ。SNS上での話題作りに長けており、数々の「バズり」を生み出し続けている。
実際のライブでも、通常のワンマンに留まらず企画ものライブを多数敢行している。例えば「小学生以下限定」ライブや「船上ライブ」、全身タイツ姿でのライブやメイクを一切しないすっぴんライブなど、その発想は型破りだ。
こうした遊び心あふれる企画を本気でやり切ることで笑いと驚きを提供しつつ、新規ファン層の開拓にも成功している。
0.1gの誤算の世界観とヴィジュアル|ダークファンタジーを本気で演じる美学
一方、プロモーションのユーモラスな側面とは裏腹に、彼らの創り上げる世界観は極めてダークで耽美的だ。
MVでは幻想的なモチーフを取り入れた独自の非現実世界を展開し、観る者を異空間へと引き込む。メンバーは派手なメイクと奇抜な衣装に身を包み、その姿はさながら物語の登場人物のよう。
0.1gの誤算はどんなにコミカルな企画でもヴィジュアル系バンドとしての美学を決して崩さない。楽曲の世界に一度入り込めば、狂信的カリスマとしての役割を演じきる。
音楽的には激しいヘヴィロックからキャッチーなメロディまで振り幅が広く、疾走感あるシャウトと叙情的な旋律とが同居するスタイルだ。
観る者に強烈なインパクトを残しつつも、ヴィジュアル系ならではのダークファンタジーの世界に酔いしれさせる――0.1gの誤算には、そんな二面性が共存している。

0.1gの誤算の軌跡|結成から現在までの破天荒な挑戦
結成以来、0.1gの誤算は常に型破りな挑戦を続けてきた。初ライブは新宿での無料ワンマン(ワンマンライブ=単独公演)で幕を開けたが、早くも翌年2017年には高田馬場AREAで1周年記念ワンマンを開催し、勢いを加速させる。
2018年には赤坂BLITZ(当時)での2周年公演を成功させ、同年夏には全国53公演ものツアーを敢行。ツアーファイナルでは結成からわずか2年足らずでZepp DiverCity Tokyoの大舞台に立つという、驚異的なスピードでの成長を見せつけた。
以降も破竹の勢いで活動を展開し、結成4周年となる2019年秋には大規模無料ワンマンツアー「有害集団『無料-いちご増殖化計画』」を開催し、そのツアーファイナルでは豊洲PIT公演を成功させている。
勢いそのままに迎えた2020年は、更なる飛躍を目指す矢先に新型コロナ禍が直撃。一時は記念公演の延期もあったが、制約下でも創意工夫を凝らし同年8月に豊洲PITで有観客ワンマンを開催した。
コロナ禍以降も歩みは止まらない。2021年には5周年記念ワンマンを開催し、元KAT-TUNの田中聖とのツーマンライブを行うなど話題を提供。ドラムのメンバー脱退という試練もあったが、サポートドラム・久保田まさしを迎えて活動を継続した。
0.1gの誤算の楽器隊ってこんなライブします。
— 0.1gの誤算official (@0153_official) January 25, 2022
「有害メンヘラドール」 pic.twitter.com/Z5r79A8Xrx
2022年には結成6周年を記念して6日連続ワンマンという離れ業に挑戦し、見事成功させている。
さらにオタク系ダンスユニットやビジュアル系レジェンドバンドとの共演など、異業種・異ジャンルとのコラボも積極的に展開。2023年には初の海外公演(タイ・JAPAN EXPO)にも進出した。
8周年となる2024年3月には再び豊洲PITで記念ワンマンを開催し、約2000人動員というスケールで躍進ぶりを示している。

現在の活動と次回の大規模ライブ|さらなる飛躍への布石
結成9年目を迎えた現在も、0.1gの誤算は精力的な活動を展開中だ。
2025年3月には9周年記念ワンマンライブを豊洲PITで開催し、その模様はニコニコ生放送で全国に生中継されるなど注目度は一層高まっている。
特に目前に控える次回の大規模ライブとして、2025年5月に開催が予定されている「誤算の日!トリプリング『K』ツアー」が見逃せない。
これはバンド主催による3日間連続の一大イベントで、Day1(5月3日)にはSpotify O-EASTにて「初心者にも優しいワンマン」と銘打った初見歓迎ライブを実施。
Day2(5月4日)は渋谷ストリームホールにて昼夜2公演が行われ、昼の部はなんと小学生以下限定ライブ「こどもたいかい2025」として開催される。
2025年5月4日(日)渋谷ストリームホール
— 0.1gの誤算official (@0153_official) March 23, 2025
👩🍼小学生以下限定ワンマン🚼
「こどもたいかい2025」
保護者¥2,000/ 当日¥2,500(D代別)
お子さま¥0
全国のこどもばんぎゃしゅうごう!!
※ライブ時間は40分ほどを予定しております
※いつもより音小さめで演奏します pic.twitter.com/pBdtjZ4TQn
保護者同伴で子どもは無料という画期的な試みで、未来のV系ファン育成企画とも言える内容だ。
そしてDay3(5月5日)は同会場でツアーファイナルを迎え、ファン垂涎の濃密なステージが予定されている。
この「誤算の日」3DAYSは、初心者からコアなファン、さらには次世代までをも網羅する意欲的なコンセプトであり、0.1gの誤算の勢いを象徴するイベントとなりそうだ。
いずれは武道館級の舞台を誤算色に染めるという野望も、決して夢物語ではないだろう。
9年間で培った独自路線とファン層の拡大を武器に、彼らはヴィジュアル系シーンのさらなる高みへと歩みを進めている。

まとめ|シーンを揺るがす“異端児”が示すヴィジュアル系の新境地
0.1gの誤算は、ヴィジュアル系バンドとして異彩を放ちながらも確実にシーンの裾野を広げてきた存在だ。
破天荒なアイデアとパフォーマンスでSNS時代の話題をさらい、子どもから大人まで巻き込むプロモーション力で一般層にもV系の魅力を発信してきた。
その一方で、ダークで耽美な世界観や視覚的インパクトといったV系本来の美学を追求している。こうした両面を高い次元で両立させる姿は、まさに“異端”でありながらヴィジュアル系の可能性を押し広げる存在そのものだ。
伝統へのリスペクトと革新性を兼ね備えた0.1gの誤算は、シーンの将来を担う重要バンドの一つと言えるだろう。
次なる大舞台でどんな“誤算”を起こしてくれるのか――その動向からますます目が離せない。
0.1gの誤算
- オフィシャルサイト:
https://gosan.g1-corp.com - Youtube:
@0.1g78 - X(旧Twitter):
@0153_official

- 参考:緑川ゆう【0.1gの誤算】(https://www.youtube.com/channel/UCNNI7XtOshk_gN9FuuLrn7A)
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