リリカ『CALLING』解説 !歌詞や世界観の考察まとめ

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リリカ(Lyrica)の最新シングル『CALLING』は、闇に彩られた世界観をさらに深化させている。

持ち前のダークさを一層際立たせつつ、哀愁と共に、軽やかな毒気を忍ばせたサウンドが光る一曲だ。妖艶さと哀愁が同居するメロディックなフレーズが耳に残り、初めて聴いた瞬間から心を掴んで離さない。

その音像は孤独な夜に寄り添いながらも、聴き手の深層に眠る感情を揺さぶってくる。

この『CALLING』が持つ楽曲構成とサウンド、歌詞の世界観、そしてバンド内での位置づけについて紐解いてみよう。

目次

『CALLING』楽曲構成とサウンドの特徴

『CALLING』のサウンドは、リリカの特徴であるダークな美学を軸にしながら、現代ヴィジュアル系らしいヘヴィネスと叙情性が融合している。

冒頭から重たく唸るギターリフと仄暗いシンセが静かな狂気を孕み、ミドルテンポのビートは不安定な鼓動のように打ち鳴らされる。サビでは流麗なボーカルラインが浮上し、闇の只中に差し込む儚い光のような切なさが胸を貫く。

一方で間奏やブリッジ部分ではメタルコア由来の要素も顔を出し、激しいシャウトやグロウルが楽曲に狂気のスパイスを振り撒いている。

実際リリカの音楽性はメタル/メタルコアの要素を多用しており、ラウド系と称するに相応しい。『CALLING』でもその流れを汲み、荒々しさと美しさが同時に押し寄せるダイナミックな展開を見せている。

静と動、陰と陽が交錯する曲構成はまさに圧巻で、聴く者を息つく間もなくリリカの世界へ引きずり込む。

『CALLING』歌詞の世界観とメッセージ

calling

歌詞の面でも『CALLING』は強烈なインパクトを残す。

冒頭のフレーズから、孤独に彷徨う魂と不吉な予感を漂わせ、夜の情景が目に浮かぶようだ。

真夜中の迷い猫

鳴き声の合いの手

仮初カラクリが繰り返す

受話器越しに覗く結末

 

リリカ『CALLING』より(作詞:うサぎ)

電話越しに垣間見る「結末」は救いのない未来を暗示し、夢を追えば逃げていく綿毛(タンポポの綿毛)のイメージが虚しさを胸に突き刺す。

歌詞全体を通して嘘と拒絶がループする閉塞感が描かれやがてクライマックスに至る。

気ままな猫を殺して

さぁ 愛を囁こう

彼岸まで届くように

このまま2人きり手を繋ぎ眠ろう

 

リリカ『CALLING』より(作詞:うサぎ)

愛する存在を手にかけてでも、彼岸(あの世)まで届く愛を囁き、二人きりで永遠の眠りに落ちようとする狂おしいまでの愛と破滅の表現が炸裂する。

まさに痛みと救済が紙一重で同居した世界観であり、絶望の中に美学を見出すリリカのコンセプト「負の感情の肯定」1を体現した歌詞と言える 。

聴き手はその物語性に引き込まれ、哀しさに胸を軋ませながらも、どこかで救われている自分に気づくかもしれない。

リリカにおける『CALLING』の位置づけ

『CALLING』はリリカのディスコグラフィーの中でも、バンドの音楽性と理念を象徴する重要な楽曲だ。

デビュー曲『Strange Rabbit』がダークでメルヘンな世界観を凝縮した一曲だったように 、本作『CALLING』でもその闇の路線を受け継ぎつつ、より現実の痛みに踏み込んだ表現へと深化している。

バンド名「リリカ」は鎮痛剤の名称に由来しており、彼らは痛みを抱えた人の救いになることを目指す存在2だ。

まさにそのコンセプトを音と言葉で体現している『CALLING』は、リリカがシーンで存在感を高めていく上での切り札となるに違いない。

まとめ|闇に呼ばれ、光に触れる。『CALLING』が誘うリリカの本質

『CALLING』を通して改めて感じるのは、リリカというバンドの持つ魔性の魅力だ。

暗闇の中で手を差し伸べるかのような彼らの音楽は、聴く者の心に消えない傷跡と快楽を同時に刻みつける。

哀しみも絶望もすべてを肯定し、自らの美学に昇華するリリカのスタイルは他のV系バンドのファンにも強烈に訴えかけるだろう。『CALLING』はそんなリリカの世界への誘い――抗いがたい呼び声だ。

闇に生きる痛みすら絆へと変えるリリカというバンドの底知れぬ魅力に、ぜひ酔いしれてほしい。

リリカ

  1. 参考:〖V系〗チェック必須!!「2024年に注目すべきヴィジュアル系バンド」5選〖楽曲動画&コメントあり〗(2/3) – ウレぴあ総研(https://ure.pia.co.jp/articles/-/2116505?page=2
  2. 参考:〖V系〗チェック必須!!「2024年に注目すべきヴィジュアル系バンド」5選〖楽曲動画&コメントあり〗(2/3) – ウレぴあ総研(https://ure.pia.co.jp/articles/-/2116505?page=2
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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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