
Chantyが、NEW MINI ALBUM『深々呼吸』を2026年9月18日にリリースした。
会場物販およびChanty ONLINE SHOPにて販売がスタートし、各種サブスクリプションサービスでは9月6日より先行配信されている。
本記事では、収録された全6曲を、サウンドと歌詞の両面からレビューしていく。
1曲目|唯一輪
ぽろぽろと零れ落ちるような、白の奏でるギターの音。
そこへ芥の呼吸音が重なり、
「深々呼吸」
という囁きを合図に幕を開ける。
奥行きを感じさせるshotaのドラム。
そして深い呼吸そのもののように大きく、緩やかに波打つ野中拓のベース。
叙情的なギターリフや、余韻を残すシンバルの音が、淡い光を差し込んでいく。
「ただ気付いてほしかった
抱きしめなくてもいいから」──Chanty『唯一輪』より
切実さ滲むハイトーンボイスが耳に残る。
2分にも満たない楽曲だが、その中に広がる景色は柔らかく幻想的で、驚くほど大きい。
2曲目|微熱
「ある晴れた朝にまた泣きたくなったから
聴き慣れたこの歌で耳を塞ぐ」──Chanty『微熱』より
温かみある歌声と、ノイジーなギター。
そしてドラムの鮮烈なフィルインを合図に、一気に疾走感あるバンドサウンドへ。
「誰も知らない場所に行きたくなった
それでもずっとここから動きたくなかった」──Chanty『微熱』より
胸が高鳴るような衝動、現実に縛られる息苦しさ、焦り。
複雑な感情を滲ませた、グルーヴィーな歌い回しも印象的だ。
「ああもっともっともっともっと遠くへ」──Chanty『微熱』より
遥か彼方へ届くようなコーラス。
大きな会場で、観客の声が響く光景が脳裏に浮かぶ。
「誰かが生きたかった今日だとか
わかってんだよ、だからさ、もがいてるんだろ?」──Chanty『微熱』より
冷めない熱に突き動かされながら、前へ進もうともがく。
『微熱』というタイトルが、そんな生き方の温度を表しているように思う。
3曲目|累々
「もう何年と何ヶ月だ
地下室でうずくまって
誰もが求めていない
感情を書き殴ってるんだ」──Chanty『累々』より
艶のある、少し湿度を帯びた歌声が、楽曲の陰影を深くしていく。
ノイジーな余韻を残すギターが広がり、遊び心のあるドラムが差し込まれる。
「かりそめの翼 心乱され
刹那を吐き出して彷徨う」──Chanty『累々』より
サビでは一転、柔らかさを帯びる歌声。
波間を漂うようなギターと、ボーカルに応えるように旋律を奏でるベース。
「累々」とは、同じものが幾重にも積み重なり、長く連なっていくさまを表す言葉でもある。
間奏やアウトロで何度も繰り返されるリフが、そんな終わりの見えない道程を思わせる。
4曲目|USHIMITSU DANCE
体が自然と跳ねるようなビート。
踊り狂うギターリフに、力強さと気怠さを併せ持つドラムが重なり、どこか酩酊したような空気を醸し出す。
「明けない夜はないとかいうけど
勘弁してください」──Chanty『USHIMITSU DANCE』より
疾走感あるドラムがリードし、サビでは一気にロックチューンへ。
間奏で響くのは、骨太なサウンドのギターソロ。
そして続くベースソロは、夜の闇へ引きずり込むような妖しさ。
「新しい朝がきた希望の朝だとか
んなわけないだろ」──Chanty『USHIMITSU DANCE』より
そんな毒気のある言葉を残しながら、アウトロでは再び跳ねるようなギターが響くのであった。
5曲目|帰らない
「思い出になんてしたくなかった
もう山手通り、朝、静かに今日もまた君を想う」──Chanty『帰らない』より
静寂の中、言葉をひとつずつ零すような歌い方が、情景を鮮明に浮かび上がらせる。
ボーカルと並走するように歌うベース、そして駆け上がるようなフィルイン。
「帰らない帰らない
今も向かっているよ
横殴りの風にハンドルを取られながら」──Chanty『帰らない』より
柔らかく歌声に寄り添い、メロディを奏でるギター。
終盤、潤んだようにも聞こえる歌声を経て、ベースは徐々に熱を帯びていく。
失ったものも、果たせなかった約束も、車内に積み込んだまま走り続ける。
バンド自身の姿を、飾らずに描いた一曲とも言えるだろう。
6曲目|真空透過
透明感をまといながら、どこか霞んだようなノイズを含むギターから始まる。
そして聴こえてくるのは、囁くような歌声と、モールス信号を思わせる断片的なリズムだ。
「・・・ーー・・・
誰かが呼んでいる」──Chanty『真空透過』より
SOSとして知られる「・・・ーーー・・・」に似ていながら、どこか欠けたようにも見えるその並びはまるで、遠くから途切れ途切れに届く声のよう。
Bメロまでは5拍子を軸に進み、サビでは3拍子へ。
真空では、本来音は伝わらない。
それでもこの曲では、誰かの声が微かに届き、何かを伝えようとしている。
音に包み込まれるような感覚も相まって、涙を誘うラストナンバーだ。
まとめ
『唯一輪』の静かな呼吸から始まり、『真空透過』の微かに届く声へと辿り着く『深々呼吸』。
疾走感あるロックチューンから、夜の妖しさをまとった楽曲、喪失を抱えながら進み続けるナンバーまで、6曲それぞれが個性豊かな表情を見せる。
迷い、焦り、喪失──そうした仄暗いものを抱えながらも、前へ進もうとする思いが、作品全体を通して感じられた。
Chanty NEW MINI ALBUM『深々呼吸』は、2026年9月18日より会場物販およびChanty ONLINE SHOPにて発売中。
各種サブスクリプションサービスでも配信されているため、ぜひ6曲を通してChantyの世界にどっぷりと浸ってみてほしい。
