【取材】自身で衣装制作を手がける、MERALOA Vo.Aineに聞く。「V系バンドの衣装ができるまで」

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福岡を拠点に活動するヴィジュアル系バンド・MERALOA。

楽曲やライブはもちろん、その世界観を表現する衣装にも強いこだわりを持つバンドだ。

実はMERALOAの衣装の多くは、ボーカル・Aine氏が自ら制作している。

なぜ衣装を自作するようになったのか。どのように制作を学び、どんな考えでデザインしているのか。

今回はAine氏に、MERALOAの衣装制作の裏側やバンド活動に対する考え方について話を聞いた。

目次

MERALOAが衣装を自作するようになった理由|限られた予算を活動資金へ回すため

MERALOAが衣装を自作するようになった理由|限られた予算を活動資金へ回すため

衣装制作を始めたきっかけについて尋ねると、返ってきた答えは非常に現実的なものだった。

「一番は予算の関係です」(MERALOA Vo.Aine)

ヴィジュアル系バンドにとって衣装は重要な表現のひとつだ。

しかし、専門業者へ依頼すると、一着あたり数万円から十数万円ほどかかるケースも珍しくない。

もちろん費用をかければ理想に近い衣装を作ることはできる。

だが、バンド活動にはレコーディング費用や広告宣伝費、イベント制作費など、衣装以外にも多くの資金が必要になる。

「衣装にかけられるお金には限界があります。その中で自分たちが満足できるものを作ろうと思ったら、自作した方がいいという判断になりました」(MERALOA Vo.Aine)

自作であれば必要なのは基本的に材料費のみ。

その分、楽曲制作やプロモーションなど、バンド活動全体のクオリティ向上につながる部分へ予算を回せる。

実際、MERALOAでは衣装制作だけでなく、イベント制作や楽曲制作なども含めてメンバー自身が手掛ける場面が多いという。

衣装制作は完全独学|ヴィジュアル系からパリコレまで幅広くインプット

現在では本格的な衣装を制作しているAine氏だが、もともと服飾を専門的に学んでいたわけではない。

「完全に独学です。そもそも服飾系の学校を出ているわけでもなくて、このバンド活動を通して初めて衣装を制作しました」(MERALOA Vo.Aine)

意外にも、MERALOAの衣装制作はすべてバンド活動の中で身につけたものだという。

では、どのように知識やデザインの感覚を養ってきたのだろうか。

Aine氏が参考にしているのは、ヴィジュアル系バンドの衣装だけではない。

アニメや漫画のキャラクター衣装、さらにはパリコレをはじめとしたファッションショーまで、ジャンルを問わず幅広く目を通しているという。

「万人が共通してかっこいいと思うポイントってあると思うんです」(MERALOA Vo.Aine)

そのため、縫製技術や制作方法を調べること以上に、「なぜそのデザインが魅力的に見えるのか」を考えながらインプットする時間を大切にしているそうだ。

楽曲制作と同時進行で進む|MERALOA流の衣装制作フロー

MERALOAアーティスト写真

MERALOAの衣装制作は、新曲制作やアーティスト写真の撮影準備と並行しながら、バンド全体の世界観づくりの一環として進められている。

Aine氏によると、まずギターのロイ氏が新曲のデモを制作するところからスタートするという。

そこから楽曲の世界観やタイトルを考え、そのイメージをもとに衣装デザインを構築していく。

さらにアーティスト写真の撮影日から逆算しながら、衣装制作のスケジュールも組んでいくそうだ。

「基本的に全部同時並行ですね」(MERALOA Vo.Aine)

衣装制作のフェーズでは、まず各メンバーごとのデザイン案を考える。

その後、全員が並んだ時のバランスを確認しながら、装飾の量やシルエットを調整していく。

「一人だけ情報量が多すぎたりすると全体のバランスが崩れるので、そのあたりは結構見ています」(MERALOA Vo.Aine)

デザインが固まった後は、既製品の服やアクセサリーパーツなど必要な素材を集め、実際の制作へ。

完成後には試着を行い、気になる部分があれば手直しを加える。

こうした工程を経て、MERALOAの衣装は完成する。

初見で世界観が伝わるか|衣装制作で最もこだわっているポイント

衣装制作で最もこだわっているポイント

Aine氏が衣装制作で最も重視しているのは、「初めてMERALOAを見た人に何が伝わるか」だという。

ヴィジュアル系バンドにとって衣装やメイクは、アーティスト写真を見た瞬間に「どんな音楽をやっているバンドなのか」「どんなメンバーがいるのか」を想像してもらうための入り口でもある。

「やっぱりヴィジュアル系なんで、まず見た目を気に入ってもらえないと、そもそも曲も聴いてもらえないし、ライブにも来てもらえないと思うんです」(MERALOA Vo.Aine)

だからこそMERALOAでは、各メンバーのキャラクターが一目で伝わることを意識している。

例えば、ステージ上でターンをする機会が多いメンバーには、回転した時に映えるようスカート状のパーツを追加することがあるという。

一方でドラマーの場合は事情が異なる。

演奏中に袖が邪魔になることも多いため、ノースリーブ仕様にしたり、袖を取り外し可能にしたりと、プレイスタイルまで考慮したデザインを取り入れている。

「一目でこのパートかな、この人はこういうキャラクターかなって分かるような分かりやすさは意識しています」(MERALOA Vo.Aine)

衣装制作で最も大変なのは「完成後」|ライブによる破損との戦い

華やかな衣装の裏側には、地道なメンテナンス作業も存在する。

Aine氏が衣装制作で最も大変だと感じているのは、ライブを重ねることによる破損や劣化への対応だという。

「一番はライブを重ねることによる破損ですね」(MERALOA Vo.Aine)

MERALOAの衣装には多くの装飾やパーツが使用されている。

それらは縫い付けや布用接着剤などで固定しているため、できる限り強度を高めてはいるものの、激しいライブを繰り返す中でどうしても限界がある。

装飾が外れたりパーツが破損した場合は、ライブ後に修理を行いながら運用しているそうだ。

ライブによる破損との戦い

また、もうひとつの悩みが時間との戦いだ。

作詞や楽曲制作、イベント制作、フライヤーデザイン、シングルジャケット制作など、バンド運営に関わるさまざまな作業も同時に進めなければならない。

「自分自身が結構凝り性なので、納期との戦いです」(MERALOA Vo.Aine)

限られた時間の中でクオリティを追求すること。

それは衣装制作に限らず、ヴィジュアル系バンドの活動全体に共通する課題なのかもしれない。

まずは自分で挑戦してみてほしい|これから活動を始めるバンドマンへのアドバイス

これから活動を始めるバンドマンへのアドバイス

これからバンド活動を始める人や、衣装制作に挑戦してみたい人へ向けて、Aine氏は「まずは一度自分でやってみてほしい」と語る。

「バンドをうまく回していくためには、楽器が上手いとか、いい曲が作れるだけでは難しいなと感じることがあります」(MERALOA Vo.Aine)

活動規模が大きくなるほど、デザインや映像制作、SNS運用、イベント企画など、自分の専門外だった作業に向き合わなければならない機会も増えていく。

もちろん、外注したり得意なメンバーに任せたりする方法もある。

ただ、それでも一度は自分で経験してみる価値があるとAine氏は考えている。

「自分自身の知見が広がりますし、誰かにお願いする時も同じ目線でモノづくりができるようになると思うんです」(MERALOA Vo.Aine)

実際、衣装制作もそのひとつだった。

服飾の経験がない状態から始めたからこそ、素材選びやデザイン、制作工程への理解が深まり、現在の活動にも活かされているという。

「EMPEROR」で出し切った今|その先に見据える新たな表現

今後どのような衣装を制作していきたいかを尋ねると、Aine氏は少し笑いながらこう答えた。

「現状、あんまり考えてないです(笑)」(MERALOA Vo.Aine)

というのも、先日公開された楽曲『EMPEROR』の衣装制作で、自身のアイデアをかなり注ぎ込んだからだという。

「『EMPEROR』で一度全部出し切った感覚があるんですよね」(MERALOA Vo.Aine)

「EMPEROR」

ただ、Aine氏にとって衣装は単体で存在するものではない。

あくまでも楽曲の世界観やバンドのイメージを膨らませるためのツールだと考えている。

そのため、「次はこういう衣装を作りたい」という発想よりも、新しい楽曲が生まれた時に自然とイメージが湧いてくる感覚に近いそうだ。

現在は新たな衣装構想を練るというより、目の前の活動に集中するタイミングだという。

それでも、強いて今後の目標を挙げるなら、ひとつ思い描いていることがある。

「どこかで見たことがあるデザインを超えていきたいですね」(MERALOA Vo.Aine)

ヴィジュアル系シーンには数多くの優れた衣装や表現が存在する。

その中で影響を受けながらも、最終的にはMERALOAならではの独自性を持った作品を生み出したい。

「より独自性を持ちながらも、ちゃんとかっこいいと思える衣装を作りたいです」(MERALOA Vo.Aine)

MERALOAから読者へ|まずはライブで世界観を体感してほしい

MERALOAから読者へ

衣装制作から楽曲制作、イベント運営まで自ら手掛けているMERALOA。

その根底には、「より良い作品を届けたい」という強い思いがある。

最後にAine氏から、読者へメッセージをもらった。

「現在、MERALOAは福岡県内ツアーを行っています。九州にお住まいの方はもちろん、九州へ来られる方も、この機会にぜひMERALOAを知ってライブに足を運んでいただけると嬉しいです」(MERALOA Vo.Aine)

楽曲の世界観を広げ、メンバーそれぞれの個性を伝えるために作られた衣装。

その細かなこだわりを知った上でライブを見ると、これまでとは違った発見があるかもしれない。

MERALOAの世界観を最も体感できる場所は、やはりライブ会場だ。

気になった方は、ぜひ一度そのステージを目にしてみてほしい。

MERALOA
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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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