【インタビュー】ブラジル人インフルエンサー・ナチが語る。海外ファンから見たヴィジュアル系とは

  • URLをコピーしました!

Language

ナタリアさん(愛称:ナチ)は、ブラジル出身のヴィジュアル系インフルエンサーだ。

YouTubeやInstagramを中心に、ポルトガル語でヴィジュアル系バンドの最新ニュースやMV紹介、始動・解散情報などを発信し、世界中へ日本のヴィジュアル系シーンを届け続けている。

なぜ彼女はここまでヴィジュアル系に惹かれたのか。

そして、海外のファンは日本のヴィジュアル系をどう見ているのかを、ナチさん自身の言葉で語っていただいた。

目次

ナタリア(ナチ)とは|ポルトガル語でヴィジュアル系を世界へ発信するインフルエンサー

——まずは自己紹介をお願いします。

ナチ: 私はブラジル出身のナタリアです。みんなからは「ナチ」と呼ばれています。

普段はブラジルの方へ向けて、ヴィジュアル系に関する情報を発信しています。メインはYouTubeとInstagramで、どちらもポルトガル語です。

YouTubeでは、毎月のヴィジュアル系ニュースを必ず配信しています。新しいMVや新バンドの始動、解散情報、注目バンドの紹介など、「今ヴィジュアル系シーンで何が起きているのか」をまとめて伝えるコンテンツが中心ですね。

Instagramではライブ写真や日常も交えながら発信しています。

ほかにもTikTokやFacebookもやっていますが、一番力を入れているのはYouTubeですね。

——日本語も非常にお上手ですが、日本に来てから覚えられたのでしょうか。

ナチ: 実は違うんです(笑)。

ブラジルで12歳の頃から日本語学校へ通っていました。それより前から、ひらがなやカタカナは独学で勉強していましたね。

子どもの頃から日本のアニメが大好きで、『犬夜叉』『カードキャプターさくら』『美少女戦士セーラームーン』などをよく観ていました。

最初は「日本へ行きたい」というより、「日本語を話せるようになりたい」「アニメソングの歌詞を理解して歌えるようになりたい」という気持ちが強かったです。

当時の私にとって、日本はあまりにも遠い国で、「いつか住む場所」というより憧れの存在でした。

その後、日本語学科へ進学し、周囲の友人たちが留学する姿を見て「私も日本へ行けるかもしれない」と思うようになりました。

交換留学を経て来日し、現在は日本語教育を学んだ経験を活かしながら、日本で生活しています。

ヴィジュアル系との出会い|『DEATH NOTE』から始まった音楽との縁

——ナチさんがヴィジュアル系に興味を持ったきっかけを教えてください。

ナチ: この質問はよくされるんですけど、実ははっきり覚えていないんですよ(笑)。

たぶん11〜12歳くらいだったと思います。当時はK-POPも好きだったんですが、その頃のブラジルでは、まだアジアの音楽は今ほど知られていませんでした。

子どもの頃からアニメが好きで、『DEATH NOTE』を観ていたんですけど、エンディングテーマがナイトメアだったんです。それを聴いて、「ロックで、しかも見た目もすごくインパクトがある!」と思ったのが、ヴィジュアル系を知った最初の記憶ですね。

そのあと「もう一度あの曲を聴きたい」と思ってインターネットで調べたら、ナイトメアの写真が出てきて、「すごいビジュアルだな」と思いました。

そこからガゼットや雅-MIYAVI-も関連で出てきて、少しずつ知っていきました。

——そこから本格的に好きになったバンドは何だったのでしょうか。

ナチ: 一番大きな存在になったのはAcid Black Cherryですね。ヴィジュアル系の中だけではなく、私にとって世界で一番好きなアーティストです。

Acid Black Cherryを知ってから本当に夢中になって、YouTubeで関連動画をたくさん観ましたね。

さらにサポートメンバーが活動しているバンドも調べるようになって、その流れでBULL ZEICHEN 88も好きになりました。日本へ来て初めて行ったライブも、実はBULL ZEICHEN 88だったんです。

——初めてのライブはいかがでしたか。

ナチ: パンクな雰囲気がすごく印象的で、本当に感動しました。そのライブを観て、「もっとヴィジュアル系のライブへ行きたい」と思うようになったんです。

誰かに勧められたというより、自分で見つけて、自分で調べて好きになっていった感じですね。

歌詞より振り付け|ナチがヴィジュアル系に惹かれる理由

——ナチさんが感じる、ヴィジュアル系の魅力を教えてください。

ナチ: 今一番好きなのは、ライブの振り付けです。

振り付けが多いバンドや、ちょっと変わった振り付けがあるバンドは、すごくハマります。気持ちよくヘドバンできる曲や、ライブ中に思わず笑ってしまうような振り付けも大好きですね。

@natyun13 久々のヘドバン投稿✌️最近あまぼうな気分🔞 #ヘドバン #バンギャ #甘い暴力 #visualkei #headbang #amaibouryoku ♬ 首絞めマアチ – 𝓢♡

実は趣味でダンスもやっていて、ダンスが好きなんです。ヴィジュアル系はロックを聴きながら踊れるというか、その両方を楽しめるところが魅力だと思っています。

——ヴィジュアル、見た目も魅力のひとつですか。

ナチ: もちろん魅力です。インパクトがありますし、かっこいいと思います。でも、それだけでライブへ通う理由にはならないですね。

私にとっては、やっぱり曲やライブの楽しさの方が大きいです。

——歌詞については、どのように感じていますか。

ナチ: 私は結構変わっているかもしれません(笑)。

もちろん歌詞を読めば、その曲をもっと好きになることはあります。でも、歌詞が良いからそのバンドを好きになる、ということはあまりありません。

最初は日本語がまったく分からない状態でヴィジュアル系を好きになったので、「何を歌っているか」よりも、音やライブそのものに惹かれていました。

だから今でも、まず好きになるのは音楽やライブですね。歌詞は、そのあとに知ってさらに好きになる要素だと思っています。

「毎回違うライブだから何度でも行きたくなる」|好きなバンドと注目のアーティスト

——ナチさんが特に好きなバンドや、注目しているバンドを教えてください。

ナチ: Acid Black Cherryは別格です。

実は、日本語の勉強にも大きな影響を受けました。

20歳くらいの頃、日本語学習が中級レベルに入ってから一気に難しくなってしまって。試験やリスニングでもなかなか成長を感じられず、モチベーションがなくなってしまったんです。一度は日本語学校を3か月ほど休んだこともありました。

海外の日本語学校では、一度学習を休む人は珍しくないんですが、私は「途中でやめるのはよくない」と思っていたので、すごく落ち込んでいました。

そんな時にAcid Black Cherryをたくさん聴いて、少しずつ「また頑張ろう」と思えるようになったんです。日本語の勉強へ戻る大きなきっかけになりました。

ABC以外だと、今一番好きなのはシェルミィですね。

音源を聴いた時は、正直そこまで刺さっていなかったんです。でもライブを観て印象が変わりました。

ライブではファン一人ひとりをちゃんと見てくれていると感じましたし、初めて撮影会へ行った時のことも覚えていてくれたんです。それがすごく嬉しくて、ライブへ通うようになりました。

——シェルミィのライブには何度も足を運ばれていますよね。

ナチ: はい。ブラジル人の友達に「なんで同じバンドのライブへ何回も行くの? 毎回違うバンドを観ればいいのに」と言われたことがあるんです。でも私にとっては、毎回違うライブなんですよ。

同じバンドでも、その日によって感じることが違うし、ライブも毎回違うので、何度でも行きたいと思います。

——特に好きな曲はありますか。

ナチ: 一番は「赤い部屋」です。

その次が「可奈縛り」、三番目が「透明人間」です。

「透明人間」は最初のベースソロがすごく好きなんです。ライブでは音源と違う演出もあって、それも楽しみにしています。

——シェルミィ以外ではいかがですか。

ナチ: BULL ZEICHEN 88は今でも好きです。振り付けというより、パンクなライブが好きですね。

お客さん同士でスペースを気にしすぎることもなく、ボーカルがダイブしたり、水をかけたり、サークルモッシュがあったり、とにかく楽しいんです。

あとはSick²やギャロも最近よく聴いています。解散してしまいましたが、リリカやゾンビも大好きでした。

——ナチさんがこれからの活動に注目しているバンドはいますか。

ナチ: Mana様がプロデュースしている「Fatüm」です。

Dのギタリストと、メガロマニアの翠さんが参加しているユニットで、始動したばかりなんですが、MVもすごく綺麗ですし、歌も上手いので、これからも期待しています。

それから「まみれた」も気になっています。振り付けも激しくて、ライブ中はぐちゃぐちゃになるくらい盛り上がるんです(笑)。私が好きなヴィジュアル系の要素が全部詰まっているバンドだと思っています。

海外ファンが惹かれるヴィジュアル系とは|まずは見た目、その次が曲

——海外のファンからも愛されるヴィジュアル系バンドには、どのような共通点があると思いますか。

ナチ: 圧倒的に、見た目です。化粧や衣装ですね。

特にリリカを見てそう思いました。日本より海外のほうが人気がある印象なんですが、メイクや衣装へのこだわりが本当に細かいんです。毎回ライブごとに雰囲気も違いますし、「見た目の作り込み」が海外のファンにはすごく刺さっていると思います。

the GazettEやMEJIBRAYも海外で人気のバンドですが、やっぱりビジュアルのインパクトが強かったですよね。

——なるほど。見た目以外では、どんなところが評価されているのでしょうか。

ナチ: 次は曲です。

ただ、海外のファンのコメントを見ていると、「最近のヴィジュアル系はポップになりすぎた」という声を結構見かけます。

見た目はすごく激しいのに、曲はポップ寄りだと、昔からヴィジュアル系を好きだった海外のファンは物足りなく感じる人もいるみたいです。メタル要素やデスボイスがあるバンドを好む人は多いですね。

——やはりメタル系は人気なのですね。海外で特に人気のあるバンドはいますか。

ナチ: 今年ブラジルでライブを行うDEVILOOFやNOCTURNAL BLOODLUSTは、海外でも人気があります。

海外のファンは、日本にライブを観に来ることが難しい人もたくさんいます。だからこそ、海外公演をしてくれるバンドは本当に喜ばれますし、「いつか自分の国にも来てほしい」と思っているファンはすごく多いです。

ライブで一番幸せな瞬間|笑ってしまうくらい夢中になれる

——ヴィジュアル系の曲を聴いたり、ライブを観たりしていて、ナチさんが一番楽しい、幸せだと感じるのはどんな瞬間ですか。

ナチ: ライブ中ですね。振り付けが楽しい曲になると、自然と笑ってしまうんです。みんな真剣にライブを観ているのに、私だけ笑っていることもあります(笑)。

ボーカルが狂気的な表現をしたり、ライブならではの煽りを入れたりする瞬間も好きです。音源には入っていないデスボイスや、「もっと!」という煽りが入ると、「ライブならではだな」と思って楽しくなります。

それから、くるくる回る振り付けや、すごく忙しい振り付けも好きですね。周りの人は「しんどい」と言うんですけど、私はそういう振り付けが楽しいんです。

水をかけられたり、逆ダイがあったりするライブも好きですね。

——音源を聴いている時は、ライブとはまた違いますか。

ナチ: 全然違います。家で音源を聴いている時は、「楽しい」というより、切ない気持ちになることが多いですね。ギターソロやキーボードソロに夢中になることもあります。

摩天楼オペラの「AGONY」はキーボードソロが本当に好きで、聴くたびに元気が出ます。

あと、Janne Da Arc「桜」も大好きですね。聴くたびに何かを感じてしまう、不思議な曲なんです。

この曲がリリースされた頃はまだ子どもだったので、ヴィジュアル系というシーン自体は知りませんでした。でも今では、私の中でヴィジュアル系の曲のトップ5に入るくらい好きです。切ない雰囲気も好きですし、yasuさんが歌っている姿も本当にかっこいいと思います。

それから、私は曲を聴く時、Cメロをすごく楽しみにしているんです。シェルミィの「可奈縛り」はCメロが好きなんですよね。

ギターの音が変わって、明るくなりそうなのに、実際は明るくならない。その展開がすごく面白いと思っています。

「海外へ行きたい」という気持ちだけで十分|バンドと読者へのメッセージ

——最後に、読者へメッセージをお願いします。

ナチ: バンドの皆さんには、「海外へ行ってみたい」という気持ちがあるなら、ぜひ一歩踏み出してほしいです。

海外公演はすごく大変そうに見えるかもしれませんが、実際には海外でヴィジュアル系を呼びたいと思っているイベントプロモーターや関係者もたくさんいます。

「海外へ行きたい」という気持ちさえあれば、実現できる可能性は十分あると思います。だから、まずは一歩踏み出してみてほしいですね。

それからファンの皆さんには、自分の好きなものを胸を張って好きと言ってほしいです。今は昔よりも、自分の「好き」を発信しやすい時代になったと思います。

海外には、日本へライブを観に来たくても来られないファンが本当にたくさんいます。そういう人たちは、日本のファンが投稿するライブの感想や写真、好きなバンドの話を楽しみにしているんです。ツーショット写真を見て、「自分もいつか日本へ行ってライブを観たい」と思う人もいます。

自分の「好き」を隠さず発信することは、本命のバンドが日本だけでなく、海外のヴィジュアル系ファンにも届くことに繋がるんです。

これからも、多くの人にヴィジュアル系の魅力が伝わることを願っています。

まとめ|国境を越えて広がるヴィジュアル系を、アクティブに楽しむということ

今回のインタビューで印象的だったのは、ナチさんが非常にアクティブにライブを楽しんでいることだ。

振り付けやヘドバン、水が飛び交う演出など。

ライブを「ただ音楽を聴く場所」としてではなく、自らも参加して楽しむ一つのアクティビティとして捉えていた。

海外には、日本へライブを観に来たくても来られないファンが数多くいる。

だからこそSNSでの情報発信は、日本では想像できないほど大きな意味を持つ。

これを読んだバンギャルの皆様はぜひ、自分の「好き」を胸を張って発信してみてほしい。

その一つひとつの発信が、本命の存在や魅力を、世界中へ広めるきっかけになっていくはずだ。

Natalia(ナチ)

Youtube:@natyuninjapan6089

X:@natYun13

Instagram:@natyuuuun13

TikTok:@natyun13

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

目次