
2025年5月10日、大阪・北堀江vijon。
シェルミィによる二日連続コンセプト型公演「双極」の初日、“躁”編が開催された。

定番のSE「負け犬の忠誠」が流れはじめるかと思いきや、今夜はどこか様子が違う。
随所で鳴り響く犬の遠吠えが、静かに、不穏に、観客の精神を撫でていく。
じわじわと気分が高揚し、どこか浮ついた感覚が広がる。

ステージに現れた4人の躁的シルエット
この日の衣装は、メンバーそれぞれが「躁」の衝動と個性を解釈した装いだった。
爻はモノトーンを基調としたストリートコーデ。
北堀江vijonお疲れ様でしたー!
— シェルミィ 爻 (@kou_shellmy) May 10, 2025
躁という事で自分の中での色物だったのですが🧔♂️
1日目あざっしたー!また明日はガラリと変わるのでお楽しみに👊 pic.twitter.com/YFd7ioVsN4
ジャケットの尖ったディテールが、落ち着きと刺激を絶妙に共存させている。
凌央はブラック×パープルのジャージ上下。
— シェルミィ 凌央🐨共犯者 凌央 (@koala_shellmy) May 10, 2025
赤のラインがポップなアクセントになっており、ツインテールが高い位置で揺れるたび、毒々しくも愛らしい。首元にはいちごのネックレスが光り、可愛さと狂気が交差する。
友我は白のボウタイブラウスにピンクのツイードジャケット、足元はワイドデニム。
お久、俺様 pic.twitter.com/jWJKyIYgl7
— シェルミィ Gt.友我 (@yuga_shellmy) May 10, 2025
もはや“韓国のオシャレ女子”と見まごうばかりのファッションで、華やかさのなかにしっかりとギターの鋭さを秘めていた。
豹は視覚的にも圧倒的な存在感。カラフルなエクステを編み込んだセミロング、ホワイトデニムのジャケットには大量のワッペン、そしてパンツにはアスキーアートが全体にプリントされたルーズなスウェット。
双極大阪-躁-でした。
— シェルミィ 豹 (@hyo_shellmy) May 10, 2025
疲れた、病むのも楽しいのも浮き沈みも、産み出すのもみんなの顔色窺うのも、楽しいのに楽しまなきゃって思っちゃったり、何かを取り返そうとしてたくさん何かを食べちゃう日みたいにみんなのこともっと食べたかった、明日は私たちとこの高いところから手を繋いで落ちてください pic.twitter.com/e53FbqJZk9
サイバー感とポップさを共存させた装いは、2000年代初頭のインターネット文化を想起させるフライヤーデザインともリンクしていた。
浮かんでいるような気分、でもどこか疲れている──そんな躁の情緒を、4人はファッションで明確に提示していた。

疾走する“躁”のセットリスト
1曲目「心理的瑕疵少女」から会場は一気に沸騰。
4人の高いテンションに、オーディエンスも即座に反応する。
躁というテーマに対して真正面から飛び込むような、爽快で混乱に満ちたスタートだった。
続く「フラッシュバック炉利ポップ」では、メンバーが飴玉(この日はミルキー)を客席に投げるおなじみの演出。
脳が甘さと騒音で痺れるような、シェルミィならではの“楽しさと毒”の融合が会場を満たしていく。
【見世物公演概要】
— シェルミィ ナレーター@犬飼 (@officialshellmy) May 10, 2025
5月10日(土)北堀江vision
シェルミィ二日連続コンセプト型公演
「双極大阪 –躁–」
■次回
5月11日(日)福島2ndLINE
シェルミィ二日連続コンセプト型公演
「双極大阪 –鬱–」
【OPEN/START】17:00/17:30
・[S]撮影会参加券付きSチケット 5000円
・当日券無料 pic.twitter.com/JyFN1rQ4Hw
中盤の「ヒステリック姫カット」では、揺れるサウンドが交錯し、フロア全体がトランス状態のような陶酔感に包まれた。
MC|“躁”という不安定な高揚を語る時間
MCでは、豹がこう語った。
「双極・躁ということでね。浮かんでるけど、疲れるような感覚を味わって帰ってください。」
ただ“楽しい”だけでは終わらせない。浮かびながらも、不安と疲労を感じさせる。それがこの日のライブの本質だった。
メンバー同士の掛け合いも冴え渡る。
豹「爻くん躁じゃないやん(笑)」
爻「俺的には躁やねんけどなー(笑)」
凌央「躁じゃなくて、爻やん!」
爻「うしろ向いたら真顔になってるかも(笑)」
軽口の応酬に、会場も思わず笑い声を上げる。
冗談を言い合いながらちょっと照れくさそうに笑う4人の姿に、“躁”というテーマすらも、なんだか愛しく思えてくる。
「エキゾチックショートケーキ」|悪魔に魂を売る甘さと絶望
後半に披露された「エキゾチックショートケーキ」は、高揚感に溺れながら悪魔に魂を売るような、そんな感覚を抱かせる一曲だった。
派手なサウンド、飛び跳ねるビート。
なのに、どこか虚ろな眼差しのまま笑って歌う豹の姿が、どうしようもなく切なかった。
躁とは、ただハイなだけではない。
浮かび切った先には、堕ちる未来が待っている。この曲は、そのことを見事に伝えていた。

アンコール|“お腹いっぱいで苦しい”その感覚を共有して
アンコールでは、豹がこんな話をした。
「休みの日なんもないと、つい食べちゃってさ。お腹いっぱいで苦しいんよ。でも、それって満たされてないからやと思うし、みんなもそういうことあると思う。」
会場に静かな共感が広がる。
躁=満たされない高揚というテーマが、静かに整理されていく時間だった。
そしてラストは「平成メンヘラセオリー」。
軽快なリズムと毒のある歌詞が入り混じる。
”しんどいのになんか楽しい”というこの夜の感情すべてを凝縮した一曲だった。
最後に|“躁”の夜を終えて、明日“鬱”に会う
この夜のシェルミィは、躁という言葉の奥にある痛みや疲れ、寂しさまでを引き受けたライブだった。
上がって、笑って、でもどこか落ち着かない。
だからこそ、観終わったあとに残ったのは、ただの“楽しかった”ではない。
“あれはなんだったんだろう”と考えさせるような余韻だった。
そして明日は「鬱」。
今日とは真逆のテンション、静かに沈み込むようなライブが待っている。
シェルミィが描く“二極”のもう一方を、私たちは明日、確かめに行く。
シェルミィ
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