TABOO ヘヴンのお祭り★天まで飛ぼう! 〜夏休み自由研究編〜 渋谷REX ライブレポート

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2025年8月20日、渋谷REXで開催されたイベント「ヘヴンのお祭り★天まで飛ぼう! 〜夏休み自由研究編〜」。

個性豊かな出演者たちが集まる中、その濃度でもひときわ異彩を放っていたのが、”野良猫”をコンセプトに掲げる4人組バンド・TABOOだった。

目次

開幕|異才を放つ4匹の野良猫たち

まずステージに現れたのは、愛麗(あいら)

ナチュラルな黒髪のセミロングに、目元のメイクの彩度を抑えたその姿は、会場の奇抜な装いの中で逆に際立つ“静の存在感”を放つ。

続いて現れたのは、ナイス⭐︎

半顔に大胆なペイントを施し、サイケデリックなグリーンのヘアが照明に映え、フロアからも「おおっ」と驚きの声があがる。

3人目、月独(るびと)は、オレンジとイエローを基調とした明るいスタイリング。

歯を見せて笑う無邪気な笑顔は、あどけなさと狂気の中間をさまようようだ。

そして最後に登場したのが、ユウマ

赤く囲まれた目元、血の気の引いた唇――その佇まいはまるでホラー映画から飛び出してきた登場人物のようで、直感的に「危険」と感じさせる雰囲気を放っていた。


1曲目「刺ス。」→2曲目「ネグリジェと復讐」→3曲目「毒入りチュール」

ライブの口火を切ったのは、1曲目「刺ス。」だった。

サイレンのような音が会場に鳴り響き、それに続くイントロの爆音。

冒頭からフロアでは激しいヘドバンが巻き起こる

そのまま畳み掛けるように演奏されたのが、2曲目「ネグリジェと復讐」。

月独のスラップベースが唸ると同時に、重く揺さぶるようなドラムが地を這い出す。

曲のタイトルは官能性すら感じさせるが、中身は予想を裏切るようなラップ調のリズム展開と、怒りや毒を撒き散らすようなボーカルが重なる。

ビジュアルのインパクトに加え、サウンドもまたTABOOが“型にハマらない”存在であることを証明していた。

3曲目「毒入りチュール」では、不穏な電子音とギターバンドサウンドが入り混じる。

「チュールチュールニャンチュール」

のフレーズにあわせて観客たちがジャンプする特徴的な振り付けもあり、一気にフロアの熱が上がる。

MC→4曲目「にゅ〜わぁるど♡えいじ」→5曲目「アングリーキャット」

3曲目の演奏が終わると、会場の熱を引き継いだまま、ユウマのMCが始まった。

「TABOOっていいます。野良猫コンセプトでやってます。今回急遽決まったイベントで、初めて見てくれる人も多いと思う。振りとか分からなくても全然ええから」

言葉数こそ少ないが、この場にいる人の多くが初見であろうことを受け止めながらも、自分たちのやり方で貫き通すという覚悟がその一言一言に込められていた。

続く4曲目は、「にゅ〜わぁるど♡えいじ」。

軽やかなメロディとビートは、一見パーティーチューンのような明るさを纏っているが、よく耳をすませばその歌詞には、社会への違和感や生きづらさを滲ませた泥臭さがある。

そして5曲目「アングリーキャット」では、バンド名の由来や、TABOOという存在の核がむき出しになる。

曲はメンバー自身による“TABOO”という言葉の自己紹介から始まり、猫というモチーフを通じて、社会の“禁忌”に触れる意図が語られる。

甘える猫でも、可愛がられる猫でもない。

暴れ、怒り、抗いながらも生き抜くTABOOの姿が、そのまま音に乗って突き刺さる。

Bメロでは、ふとした切なさが覗く展開もあり、その緩急のコントラストが心を掴んだ。

最後に|“可愛い”だけじゃない、禁忌を犯す野良猫たち

TABOOのステージは、全体を通してカラフルでポップなヴィジュアルと、鋭利な毒や風刺の混在が際立っていた。

こうしたイベントにおいて、自らの表現軸をはっきりと提示できる若手バンドは貴重だ。

“野良猫”を名乗り、禁忌(TABOO)を掲げる彼らが、どこまでジャンルや規範を越えていけるのか。

今のうちに目撃しておくべき存在であることは、間違いない。

TABOO

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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