
2025年5月6日、心斎橋CLAPPER。

地下に降りる階段、雑居ビルの中に広がる箱。
開演前からミラーボールがまわり、場内BGMには透明少女の楽曲。口ずさむバンギャもちらほら。
この場所はすでに、透明少女の音楽に染まった空間になっていた。

1曲目「ネガティヴライフ」軽やかに、でも容赦なく
1曲目から会場を突き刺す音圧。バンギャたちは上下手を行き来しながら笑顔で飛び跳ね、フロア全体が一体になって熱を帯びていく。
kosuke(Gt.)はすぐさま身を乗り出し、フロアを煽る。
ボーカルnaoはよく通る中低音で、キャッチーなメロディに確かな説得力を乗せる。
可愛らしくユーモアある楽曲も、演奏自体は太く、しっかりと芯があるのが透明少女の魅力だ。
楽しい曲で笑わせたかと思えば、次の瞬間には激しい音で会場の空気を引き締める。この日のセットリストは、振り幅の大きさそのものが武器だった。
ユーモアと焦燥、かわいさとかっこよさ、軽さと重さ。それらを自在に行き来しながら、透明少女の魅力を余すことなく詰め込んだライブだった。
MC|ファイナルだからこそ伝えたい思い
5/6 春ワンマンツアーファイナル!
— 透明少女 OFFICIAL (@TOMEI_OFFICIAL) May 6, 2025
心斎橋CLAPPER
たっくさんのご来場本当にありがとうございました!ライブありうどんあり!みんなのおかげでとても幸せで最高の春の思い出ができました!
ぴ万歳!!!🌸 pic.twitter.com/8HSAosL4HG
この日は、朔羽(Gt.)が珍しくたくさん喋っていた。ファイナルだからこそ気持ちがあふれたのだろう。
無邪気に、しかし真剣にこのツアーに懸けてきた想いを伝えてくれた。
一方、kosukeは飾らない言葉で語る。
「もっと良くするには、もっと一つになるにはどうしたらいいんやろうって、いつも考えてる。ほんまに、来てくれてありがとう。」
自然と拍手が起こる。
そして、naoが締めに真面目なMCをしている途中、事件は起きた。
「あれっ?記憶とんだ!」
驚きの混じった笑い声が上がる。すると、
「今日はうどんあるんで!」
と、幾度となくしてきた話題に切り替え、また笑いを誘う。
まるで何事もなかったかのように続けるnaoのその空気さばきは、もしかすると本当に記憶が飛んだのかもしれないし、笑顔でこの空間を満たしたいという彼なりの優しさだったのかもしれない。
ラスト「さぬきバックドロップ」|うどんと笑顔で、完走
最後は「さぬきバックドロップ」。讃岐うどんをテーマにしたこの楽曲は、“うどんを作る”振り付けが定番。
笑顔と熱と音楽が完全にひとつになった時間。
フロアには、最後の曲を惜しむ空気と、走り切った達成感が同居していた。
ラストのひと声。
「透明少女最高!!!」
この一言に、会場全体が大きな拍手と歓声で応えた。
エピローグ|「うどんbarなおすけ」にて、最後の一口

終演後、会場では「うどんbarなおすけ」が開店していた。料金はワンコイン500円。
この日のメニューは、釜玉うどんに、レタス、マヨネーズ、クルトン、天かすをのせた特製アレンジで、味はしっかり濃いめ。
叫び、笑い、跳ねたあとにちょうどいい、塩気とコクが詰まった一杯だった。
丼を片手に笑い合うぴ(=透明少女のファン)たち。その姿ごと、透明少女というバンドの“ライブ”の一部になっていた。
演奏だけで完結しない、時間の余韻まで設計されたステージづくり。透明少女は、音楽の内外でバンギャを楽しませ、記憶に残る空間を作り上げている。
次に彼らがどんな手法でフロアを巻き込み、どんな笑顔を残してくれるのか──
その先の一夜が、今から楽しみだ。
透明少女
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