
2026年9月3日。
大阪・堺筋本町に位置するライブハウス club MERCURYにて、ナキリ単独公演「彼岸渡り」〜此岸を離れ、-百鬼-の住まう彼岸へ〜が開催された。

壁や天井など、赤色を基調とした空間で、ステージと客席を仕切る黒い幕にはclub MERCURYのロゴが。
どこか重厚な雰囲気の内装は、ナキリのヘヴィなサウンドとも親和性が高そうだ。
後方まで多くの観客たちが詰め寄り、開演の刻を待っていた。
入場〜開演
少しずつ暗くなるフロア、轟音の入場SE壮大に鳴り響く。
登場したナキリメンバーたちは、刀印を思わせるポーズで静止。
ステージ天井からは赤い提灯が不気味にぶら下がり、彼ら独特の世界観を見せつけながら公演は幕を開けた。
1曲目|独虚残生
ボーカル・痕の強烈なデスボイスが轟き、「番」(=ナキリのファン・つがい)たちは高速折り畳みヘドバン。
「頭で来いよ!!」
その煽りと共に、猛烈なヘドバンが巻き起こる。
「現に酔い吐き気が脈を刺す」──ナキリ『独虚残生』より
鋭い眼光でフロアを見据える痕は、ハイトーンボイスとデスボイスを使い分けて歌う。
「さあ、地面を揺らそうか、番ども!!」
風輝、ミナのツインギターのクールなハーモニーが響き、番たちはステージに見入っていた。
2曲目|気炎万丈
再び激しい折り畳みヘドバン。
痕も番たちと共に、激しく頭を振る。
「どこにいるか、手を挙げて教えろよ!!」
その言葉と共に、右手を高らかに挙げる番たち。
「この瞬間に全てを
預けよう 共に
生き耐え抜いた先へ」──ナキリ『気炎万丈』より
間奏ではドラム、ベース、ギターそれぞれの華やかな見せ場が。
「番ども!そして人間!よく迷い込んだな。
やれるかい!?」
痕の呼びかけに、フロアは大きな声で応えた。
3曲目|悉皆
手拍子、そして叫び声がclub MERCURYの空間いっぱいに響く。
「後どのくらい?足掻けばい?
己の醜さで 腐ってくみたい」──ナキリ『悉皆』より
楽曲の世界に没入し歌い上げる痕に、両手を大きく広げて咲く番たち。
「受け入れて 越えればいい
答えは無空」──ナキリ『悉皆』より
ドラム・ひたぎの鳴らすフィルインが重く切なく響き、楽曲の世界に観客たちを引き込んでいく。
4曲目|狐狗狸
「さあ、●ぬ準備はいいか!!」
番たち、そして人間たちの暴れっぷりも激しさを増し、上手へ下手へとモッシュが起こる。
柵に足をかけ、身を乗り出す痕。
華奢で儚げな出立ちからは想像できない重低音を鳴らす、ベース・ウル。
ループ部分では、モッシュ、折り畳み、土下座回転ヘドバンなど圧巻の光景が広がった。
ひたぎはシンバルを打ち鳴らしながら立ち上がり、番たちを煽る。
「指切り あの日の約束はまだ覚えてる?」──ナキリ『狐狗狸』より
キャッチーなメロディが、ヘヴィなサウンドの中で引き立つ。
MC
「よく来ましたね、ナキリです。よろしく」
フロアいっぱいの観客たちを見渡し、痕が口を開く。
「初めて観る人間ども。こんなバンドだと思わなかった?
皆さんの心にある『業』が、少しでも解けて、清々しい気持ちで帰れるように。」
5曲目|紫陽花
先ほどまでの荒々しさから一転、繊細なサウンドが光る。
ミナのギターソロは、叙情的ながらも力強い存在感を放つ。
「ごめんねもう傘は
さしてあげれない
静かに溢れ落ちる
ありがとう さよなら」──ナキリ『紫陽花』より
6曲目|月華
イントロでは曲の始まりとともに、ウルがお立ち台に登りベースを奏で、全員で咲く。
「煩わしい 今だけは
あんたのもんよ」──ナキリ『月華』より
両手で、勢いよくチョップを繰り出す番たち。
「でもね…私 もう戻れない
染まり過ぎたの
夜明けはこない」──ナキリ『月華』より
痕の歌声、そして番たちの大きな手拍子が響き、ライブはいよいよ後半戦へ。
7曲目|とおりゃんせ
見事なグルーヴに、観客たちは体を揺らしながらジャンプ。
「揺れてる 彼岸の花に想い重ね
あの日に帰れない ごめんなさい」──ナキリ『とおりゃんせ』より
感情を露わにし歌う痕は、観客たち一人一人をしっかりと見つめていた。
8曲目|痕
ここに来ても、番たちのヘドバンの勢いは衰えることを知らない。
「罵詈雑言に不平不満
自己完結なら壁に吐いてろ」──ナキリ『痕』より
自身の名を冠したこの曲で、ラップパートでも感傷的で訴えかけるような声を響かせる痕。
9曲目|神殺荒魂
痕の声質、声域と調和したメロディライン。
「手放せないから
楽になれないのだろう」──ナキリ『神殺荒魂』より
元気よくタオルを振り回す番たち。
「まだまだ頭の振りが足りませんねえ!」
痕に煽られ、フロアのヘドバンの勢いはさらに増す。
音が止むと、ゆっくりと幕が閉まっていき、熱気の冷めやらぬ中本編は終わりを迎えた。
アンコール|MC
鳴り止まないアンコールの声に応え、勢いよく幕が開く。
そこには痕以外のナキリメンバーたちの姿が。
「ひたぎー!!」
と、番たちが名前を呼ぶ。
ひたぎは見事なドラムソロを披露し、鋭く重い音を響かせた。
そして風輝。
「ありがとうございます!中盤、みんな心折れかけてる気がしたけど、大丈夫やった?」
大丈夫、と頷く番たち。
「みんな声でかいね。ええこっちゃ!」
と満足げなウル。
すると風輝が、とあるエピソードを語り始める。
「今日ね、リハでトラブって、音鳴らなくて大変やったんですけど。
痕のワイヤレスと干渉してたみたいで。
『最近、一緒にいすぎたからかな?』って言うてた(笑)
最近、スタジオでも同じTシャツ着てたし。」
痕との仲睦まじい(?)話にウルは、
「バンド内恋愛は、バンドが壊れるしやめてくれん?」
と苦言を呈する。
風輝も、
「付き合ってるのバレるしやめて!(笑)」
と乗っかったところで、
「…なんで付き合ってることになってるん?」
と困惑しながら登場した痕であった。
そして気を取り直し、本日のワンマンについての話題に。
「正直、こんなに人がいるとは思いませんでした。
ナキリはまだピチピチの新人やと思ってます。
ここにはもう人間じゃない人もいっぱいいる。
まだ人間の人には『番』という文字を授けるので。
──やれるか!!」
ラスト|カミソリ
ラストは疾走感溢れるこの曲では、メンバー全員の魂がこもった音が炸裂。
それでいてどこかリラックスした様子もあり、ミナが下手へ来てウルにもたれかかる微笑ましい場面も。
番たちの折り畳み、拳ヘドバン、そしてモッシュが交錯する中。
ステージを降りてきた痕を中心に、海外メタルバンド顔負けの激しいサークルモッシュが巻き起こる。
お祭り騒ぎの狂乱に、痕も思わず
「怖っ!(笑)」
と驚く。
最後には各々が楽器を高く掲げるなど、ダイナミックなステージングを披露。
「本当に、今日はありがとうございました!!
君らがいてよかったと思えた。
まだまだ先へ行こうな!」
痕の心からの感謝の声に、大きな拍手が起こる。
惜しむようなメンバーコールに見送られ、「彼岸渡り」〜此岸を離れ、-百鬼-の住まう彼岸へ〜は幕を下ろした。
まとめ

ナキリがclub MERCURYをまるで異世界のような空間に変え、その存在感を見せつけた単独公演「彼岸渡り」〜此岸を離れ、-百鬼-の住まう彼岸へ〜。
興味本位で足を運んだ人間たちも、この日をきっかけに彼らに魅せられ、その多くが「番」となったことだろう。
和風メタル、そしてヴィジュアル系を掛け合わせた個性あるバンドとして、躍進を続けるナキリ。
10月13日には、再びここclub MERCURYでワンマンライブを行う。
他では聴けない音、見られない景色。
ぜひ「番」となり、確かめに来て欲しい。
レポート:ヴィジュアル系百科 編集長 太田翔子

