
関西ヴィジュアル系シーンに、新たな和の風を吹き込むヴィジュアル系バンド・ナキリ。
人の心に巣食う「百鬼」をテーマに、重厚なメタルサウンドと和の世界観を融合させた楽曲、そして儀式のようなライブで注目を集めている。
なぜ彼らはソロプロジェクトからバンドになったのか。
そして、2026年7月7日に控える初単独公演『混』へどのような想いを抱いているのか。
今回はVo.痕をはじめ、Gt.ミナ、Gt.風輝、Ba.ウル、Dr.ひたぎの5人に話を聞いた。
ナキリとは|人の心に巣食う“百鬼”を描く、和風ヴィジュアル系バンド
——まず、ナキリとはどんなバンドなのでしょうか。初めて知る読者に向けて教えてください。
痕:ナキリは、人の心の中にある消えない感情や傷、後悔や執着を「百鬼」として描く和風ヴィジュアル系バンドです。
生きていると、誰しも人には見せない苦しみや弱さを抱えていると思うんです。僕たちはそれを綺麗事で誤魔化さず、言葉と轟音に変えて掻き鳴らしています。
ただ絶望を歌うだけではなくて、その感情と向き合いながら、それでも前へ進もうとする姿まで含めて表現したいと思っています。
——「百鬼」というテーマが印象的です。
痕:元々「妖-Ayakashi-」という名前で活動していたこともあって、妖怪や神仏みたいなものは昔から好きなんです。神社やお寺も好きで、暇があれば月に2〜3回は行っていますね。
特に稲荷神社が好きで、有名なところだけじゃなくて、神社の境内にある小さなお稲荷さんなんかもよく巡っています。結構スピってるんですよ(笑)。
ナキリという世界観も、そういう自分の趣味や価値観から自然に繋がっている部分はありますね。

——他のメンバーさんも、神社やお寺には行かれるのですか?
ウル:僕は痕さんと違ってそういう力はないんですが、神社仏閣に行くのは好きで。そういう場所によく行ってますね。
ひたぎ:霊感0ですが、僕もそういう事象であったり考え方に対しては肯定的ですよ。ツチノコとかいて欲しいです、霊じゃないですけど(笑)。
——なるほど。「スピってる」とまではいかずとも、関心はおありなのですね。風輝さんとミナさんはいかがですか。
ミナ:僕は全くなく、「へぇ~~~」と話を聞いていますね。
風輝:僕はそういう感覚全然で。霊感ある人から「ここに何かある気がする」って言われても、全く何も感じないんです。もし出てきたら用事手伝ってくれ!って感じで(笑)。
——裏方業務などを手伝ってもらいたいですね(笑)。バンド名「ナキリ」の由来についても教えていただけますか。
痕:「ナキリ」という名前には“断ち切る”という意味を込めています。人の心に巣食う百鬼を断ち切る一太刀になれたらいいな、と。
実は最初、「鵺(ぬえ)」という案もあったんですよ。妖怪の鵺って、いろんなものが混ざった存在じゃないですか。でもメンバーから「“ぬ”って何か気持ち悪くない?」って言われて(笑)。僕は「かっこいいやん!」って思ってたんですけど。
結果的に、覚えやすくて語感が良く、なおかつ和の言葉で強さと美しさの両方を感じられる。そんな名前になったと思います。
妖-Ayakashi-からナキリへ|5人の覚悟が生んだ、バンドの形
——現在のナキリに至るまでの経緯を教えてください。元々は「妖-Ayakashi-」というプロジェクトだったんですよね。
痕:そうですね。妖-Ayakashi-は元々、僕のソロプロジェクトでした。
——なぜ最初はソロだったのでしょうか。
痕:7年ほど続けていた前のバンドが解散したあとだったんです。
その時は正直、人を信用することが難しくなっていて。もう一度バンドを組むとなった時に、その苦労や責任を誰かに背負わせることに対して申し訳なさがあったんですよね。「この人と絶対やりたい」という存在もいなかったですし。だから全部自分で背負おうと思いました。
ただ、一人では音楽はできないので、楽器隊は自分が信頼できる人たちにお願いしていた形です。
——その体制で挑んだのが、MASKEDオーディションだったんですね。
痕:そうですね。当時はまだ正式なバンドではなかったんですけど、衣装も揃えて、世界観も統一して、「どうせやるなら本気でやろう」と挑みました。

——オーディションで勝利した時、メンバー皆さんの心境はいかがでしたか。
ミナ:何物にも例えられない感動のようなものがありました。そこからはMASKED 2026へ向けて燃えに燃えましたね。
風輝:語弊があるかもしれませんが、そこまで超びっくりという感じではなかったです。もちろん自信を持ってステージに立っていましたし、負けるつもりでやっていなかったので。
「え!?」というよりは「よーし!」って感じでしたね。
ウル:もちろん勝ちたい気持ちはありましたが、僕は驚きでいっぱいでした。ちゃんとステージを見て評価してくださったんだなと思って、すごく嬉しかったです。
ひたぎ:僕は安堵感がすごかったですね。「良かったぁ〜〜〜〜」みたいな感じでした(笑)。
——ソロプロジェクトとして始まった活動でしたが、その頃からすでにバンドとしての一体感はあったように感じます。
痕:そうかもしれないですね。
MASKED オーディションで結果も残せたことで、「このメンバーでいけるんじゃないか」という気持ちはみんなの中にあったと思います。
——そこからなぜ、正式なバンドになろうと決意されたのでしょうか。
痕:一番大きかったのは、今年4月に僕が倒れて入院したことです。全身麻酔で連絡も取れなくなって。
みんな、まだ正式なメンバーじゃなかったんですよ。でも、その間のライブや出演キャンセルの対応を全部やってくれていたんです。退院して戻った時に、「もう大丈夫やから。全部やっといたから」って言われて。
その瞬間に思ったんですよ。「自分がこうなっても、この人たちは助けてくれるんだ」って。
風輝:痕が意識を失う前に自力で連絡してきた最後の連絡が「救急車で運ばれます」でした。正直、その時は死ぬんじゃないかと思いました。
だからみんなで役割分担して、出演キャンセルの連絡とか関係各所への対応をしていましたね。
痕:それまでにも「そろそろバンドにしようか」という話は出ていたんです。でも僕の中に迷いがありました。
信用していないわけじゃないんです。ただ、自分が経験してきたしんどさを知っているからこそ、巻き込みたくない気持ちがあった。
でも病気をきっかけに、その迷いが全部なくなりました。一緒にいて楽しいし、上手いし、それだけじゃなくて「こいつらじゃないと駄目だ」と思えたんです。
もう覚悟を決める時だなと。曖昧な形のままじゃなく、ちゃんと5人のバンドとして歩いていこうと思いました。
——メンバーの皆さんは、痕さんと一緒にやりたいと思った理由は何だったのでしょうか。
ミナ:人柄ですね。これに尽きます。
風輝:愚直で素直で少しバカで(笑)。ありのままを人に向けられる強さを持ってると思いました。僕が初めて組んだヴィジュアル系バンドのVoに似てるところがあるんですよ。そういう人ってなかなか居ないなと思ってるんで。
面白いというか、一緒にやる上での希望みたいなものは感じましたね。
ウル: 決め手は最初に一緒にステージに立った時ですね。とてつもなく力強く安心して前を任せれる”最強のボーカル”だと確信しました。この人になら着いていけると。

ひたぎ:実は僕は、耳や足を壊した経験があって、プレイヤーとして万全じゃない部分もあるんです。それでも「ドラムを叩いてほしい」と言ってくれた。それはすごく大きかったですね。
あとは、可愛げがあって憎めないところかな(笑)。
——5人それぞれの信頼が積み重なって、ナキリが生まれたんですね。
痕:そうですね。みんなも薄々「早くバンドになりたい」と思ってくれていたみたいですし、ちゃんと5人のバンドとしてやっていこうと決めました。
「2015年のメタルを聴いている」ボーカルと、ゴリゴリのメタラーたち
——メンバーの皆さんそれぞれの音楽ルーツについても教えてください。
痕:僕は結構ミーハーですよ(笑)。音楽をちゃんと聴くようになったきっかけは、4つ上のいとこでした。L’Arc〜en〜CielやJanne Da Arcが好きで、CDを借りて聴いていたんです。
そこから黒夢だったり、色々なヴィジュアル系を聴くようになりました。今でも、ヴィジュアル系の新譜や新しいバンドはよくチェックしていますね。
風輝:僕は10代の頃からArch Enemyみたいなメロディックデスメタルばかり聴いていました。最近だとCrystal LakeやWithin Destruction、Earthists.ですね。ギタリストだとSyuさんやLEDAさんの影響が強いです。
ヴィジュアル系ならDELUHI、DADAROMA、ギルガメッシュあたりですね。
ミナ:僕はMR.BIGが大好きです。ギタリストだとRichie Kotzen、Tom Quayle、藤岡幹夫さん。ジャンルでいうとファンクやブルース、フュージョンですね。
ナキリとは割と真逆の場所にいます(笑)。
ウル:僕はthe GazettEのREITAさんの影響が大きいですね。メタルだとSUICIDE SILENCEやPaleduskもよく聴きます。
フレーズそのものというより、フレーズの入れ方や空気感に影響が出ていると思います。
ひたぎ:うるさい音楽を聴くようになった原点はSlipknotですね。「ブラストビートヤベェェェェ!!」みたいな(笑)そこからいろんなメタルを聴くようになりました。
でも一番好きなアーティストは宇多田ヒカルです。
——宇多田ヒカルさんがくるとは、意外でした(笑)。ちなみに痕さんは、よく「2015年のメタルを聴いている」と言われるそうですが。
風輝:痕が10年前のcoldrainが凄い好きみたいで、色々その辺の話をされますね。最近だと僕がCrystal lakeなんかをお勧めしたりしてます。
痕:メタルってジャンル多すぎるんですよ(笑)。メロデスとか言われても、最初は全然分からなくて。まだまだだね、みたいな扱いをよく受けています(笑)。
でも、そういう違いがあるからこそ面白いんですよ。みんなが作るメタルサウンドの上に、僕みたいな人間のメロディーや言葉が乗る。だからナキリにしかできない音楽になるんじゃないかなと思っています。
——和風ヴィジュアル系というスタイルにも、その個性が繋がっているんですね。
痕:そうですね。今って、和風を軸にずっと活動しているバンドは意外と少ないと思うんです。
ナキリは、己龍さんのように豪華絢爛な和風とも少し違う。陰陽座さんのような世界観からヒントをもらうこともあります。
僕たちなりの形で、「和風といえばナキリ」と言ってもらえる存在になれたら嬉しいですね。
『気炎万丈』に込めた想い|ナキリの楽曲制作と歌詞の世界
——楽曲制作はどのような流れで行われているのでしょうか。
痕:今は風輝がデモを作ってくれることが多いですね。そこに僕がメロディーや歌詞を乗せていく形です。
妖-Ayakashi-の頃は僕が歌詞やメロディー、ドラムの打ち込みまで作っていた曲もありましたが、今は5人になったことで作り方も少しずつ変わってきています。
——メンバーそれぞれが持つ個性も反映されるようになったと。
痕:そうですね。これからも色々な作り方が出てくると思います。
誰が何を持ってくるか分からないですし、それも楽しみですね。
——制作するうえで大切にしていることはありますか。
ミナ:和要素を含んだフレーズを練り込むことですね。ナキリらしさを出すうえで、ギターの役割は大きいと思っています。
——なるほど。風輝さんとウルさんはいかがですか。
風輝:「強い」です。
ウル:「パワー」ですね。
——(笑)これは実際に聴いて確かめるほかありませんね。MVにもなっている『気炎万丈』についてもお聞きしたいです。
痕:『気炎万丈』は、僕たちの在り方を一番表している曲だと思っています。
テーマになっているのは仏教思想で、人間が抱える苦しみや業を題材にしています。仏教用語もたくさん出てきますが、宗教的な楽曲ではなくて。
生きていれば理不尽なこともあるし、苦しいこともある。それを無かったことにするんじゃなくて、受け入れた上で、それでも前に進んでいこうという曲です。
絶対の救いも成功も約束されていないけれど、それでも燈を絶やさず歩いていく。そんな姿を描きたかったんです。
——歌詞はどのように生まれたのでしょうか。
痕:実は最初に風輝が『気炎万丈』というタイトルを持ってきてくれたんです。曲を聴いた時に、僕の中では「燻っている炎」というイメージが浮かびました。そこからどんどん世界が広がっていった感じですね。
だから難しい言葉もたくさん使っていますけど、伝えたいことは意外とシンプルなんです。
燻っているものがあってもいい、苦しいことがあってもいい。それでも強く生きていこう。そういう応援歌なんですよ。
——歌詞を書く時は、机に向かって集中して書くタイプですか。それともふとした瞬間に浮かぶのでしょうか。
痕:曲からイメージを膨らませることが多いですね。何もない状態から書くというよりは、楽曲を聴いて浮かんだ景色や感情を広げていく感じです。
神仏や花が好きなので、そういうモチーフも自然と出てきます。バラードの『紫陽花』なんかはまさにそうですね。僕の好きなものが、そのまま歌詞の中に滲み出ていると思います。
「強いアルバムになる」|7月7日に向けて進む、初アルバム制作
——現在、7月7日の初単独公演に向けてアルバム制作も進んでいるそうですね。
痕:そうですね。7月7日に向けて制作を進めています。
妖-Ayakashi-の楽曲もあれば、ナキリとしての新しい楽曲もある。今までの自分たちと、これからの自分たちが混ざり合う作品になると思います。
——メンバーの皆さんから見て、どんな作品になりそうですか。
風輝:“強い”です。
ミナ:筋肉を感じます。僕に筋肉はありませんけど(笑)。
一同:(笑)
ウル:ナキリってこんなバンドだよ!って一発で分かるアルバムになっています。リリースを楽しみにしていてほしいですね。
ひたぎ:「こんなヤバい曲聴いてる自分、ヤベェよな……」っていう、内なる厨二心を刺激する作品になると思います。
痕:ナキリらしさって何だろうと考えた時に、やっぱり感情なんですよ。綺麗な感情だけじゃなくて、後悔とか執着とか、怒りとか。
そういうものを抱えながら前へ進もうとする姿。アルバムにも、そういう僕たちらしさがしっかり詰まっていると思います。
——ライブで披露されるのも楽しみですね。
痕:はい。ナキリの曲は、音源で聴くのとライブで浴びるのとではかなり印象が変わると思います。だから早くライブハウスで体感してほしいですね。
ライブというより儀式|ナキリがステージで届けたいもの
——皆さんはライブでどのようなことを意識していますか。
痕:僕はライブというより、「儀式」に近い感覚なんです。ナキリのライブには、それぞれが抱えている百鬼を連れてきてほしいと思っています。苦しみでも、怒りでも、不安でも何でもいい。それを音の中で吐き出して、帰る頃には少しでも軽くなってもらえたら嬉しいですね。
——楽器隊の皆さんはいかがでしょうか。
ミナ:自分自身も楽しむことを忘れないようにしています。せっかくステージに立っているので、自分も全力で楽しみたいですね。

風輝:実はウルくんとぶつからないようにめちゃくちゃ気を付けています(笑)。それでも結構ぶつかりそうになります。
ウル:僕はちゃんと避けてますけどね(笑)。
ボーカルやギターより後ろにいるので、常に全体を見ながらステージのバランスを意識していますね。誰か一人が目立つというより、ナキリというバンド全体がどう見えるかを考えてます。
ひたぎ:ライブは生ものなので、その時その時のベストを尽くせるように心掛けています。
——どんな人にナキリのライブを見てほしいですか。
痕:神仏や妖怪、そういう世界観が好きな人にはもちろん刺さると思います。でもそれ以上に、ライブそのものを楽しみたい人ですね。
僕たちはオフステージよりも、ライブや楽曲に力を入れているバンドだと思っています。だから純粋に音楽を浴びたい人に来てほしい。
最近は男性のお客さんも少しずつ増えていて、それも嬉しいですね。
風輝:僕は曲をしっかり聴いてくれる人なら誰でも嬉しいです。オンステージにこそ価値を感じてほしいんですよ。
もちろんライブ後の交流も大切ですけど、まずはステージを見てほしい。そこに全てを込めています。
ウル:居場所や縁を求めている人ですね。あとは単純に“力”を感じたい人。ナキリのライブにはそういうものがあると思っています。
ライブで番が良い表情していると、今この瞬間だけは百鬼を断ち切って、浄化させてやれてるなと感じますね。
ひたぎ:楽器隊が難しいことやってるとテンション上がる人(笑)。ツインギターのソロとか、「うおっ」ってなるタイプの人にはぜひ見てほしいですね。
痕:僕、自分のことよりメンバーのことを自慢したくなるんですよ。「うちのメンバー見て!」って(笑)。本当にすごい人たちばかりなんです。
だから音楽が好きな人には、ぜひ一度ライブを見てほしいですね。

「番(つがい)」という存在|ナキリとファンの関係
——ナキリにとって、ファンの皆さんはどのような存在なのでしょうか。
痕:僕たちにとっては「番(つがい)」ですね。妖-Ayakashi-の頃から応援してくれている人たちのことを、ずっとそう呼んでいます。
——なぜ「番(つがい)」だったのでしょう。
痕:めちゃくちゃ端的に言うと、寂しかったからです(笑)。他のバンドはみんなバンドなのに、自分はソロプロジェクトで。
一緒に時間を過ごしてほしかったんですよね。
一人ではなく、二人で何かを成し遂げる。そんな意味を込めて「番」という言葉を使い始めました。
——今はあまり「番」という言葉を使わなくなったそうですね。
痕:最近は「人間」って呼ぶ方が多いかもしれないですね(笑)。でも、番に対する信用は今も変わらないです。
きっと自分の言いたいことを汲み取ってくれるだろうという、勝手な信頼があります。
——痕さんはライブ中、一人ひとりに語りかけている印象があります。
痕:不特定多数に向けて話すより、一人に向けて話す方が自分らしいんですよね。
もちろん音楽一つで人生を変えられるなんて思っていません。でも、その日しかない時間ってあるじゃないですか。ライブもそうですし、人と出会う瞬間もそう。だから、その日にしか生まれないものを大事にしたいんです。
今年病気をして、その気持ちはさらに強くなりました。退院する時に医師から「あと10分遅かったら危なかった」と言われたんです。
その時に改めて思いました。本当に明日が来る保証なんてないんだなって。
——大きな経験だったんですね。
痕:そうですね。昔から「今日は今日しかない」と言ってきましたけど、自分自身がそれをより強く実感しました。
ありふれた一日にしたくないんです。ライブ一本一本もそう。「この日のライブ良かったな」で終わるんじゃなくて、「あの日、確かに何かがあった」そう思い出せる日にしたい。
見てくれた人の人生に少しでも残れる存在でありたいんです。
——他のメンバーの皆さんにとって、ファンはどのような存在ですか。
ミナ:世界中にいてほしい存在ですね(笑)。本当にそれくらい感謝しています。
風輝:ライブを全力で楽しんでくれる人たちです。熱量をすごく感じますね。
いつか曲中にダイブしてくれたら嬉しいです(笑)。
ウル:6人目のメンバーだと思ってます。
ひたぎ:やっぱりバンドはファンの皆さんあってこそだと思います。だからこれからも、白熱したライブを共に繰り広げていきたいですね。

痕:僕たちだけではナキリという物語は成立しません。ライブハウスで出会った縁を大切にしながら、長く一緒に歩いていけたら嬉しいです。
和風バンドとして描きたい世界|神社仏閣のような空気をステージへ
——和風バンドとして、これからもっとやりたいことやこだわりたいことはありますか。
痕:やりたいことはいっぱいありますね。音楽だけじゃなくて、ステージ装飾なんかももっとこだわりたいんですよ。和風バンドとしてやる以上、やっぱり視覚的な部分も大事にしたい。神社に迷い込んだみたいな空気感や世界観を、もっと作っていきたいです。
風輝:僕は和にしか存在しない特有の強靭さや、“怖さ”みたいなものをもっと表現していきたいですね。
例えるなら毘沙門天のような。日本独特の畏怖や神秘性ってあると思うんですよ。そこはもっと掘り下げたいです。

ウル:僕は和テイストを大事にしつつ、どこまで自分だけの色を生み出して馴染ませられるかですね。和風だからこう、ではなくて、自分たちだからこそ出せる和を作っていきたいです。
ひたぎ:豪華絢爛で煌びやかな和風というよりは、神社仏閣や儀式の厳かさですね。少しヒンヤリするような霊的な空気感というか。
そういう日本ならではの感覚を音や演出にも取り入れていけたら面白いなと思っています。
初単独公演『混』へ|「ナキリという存在を世に知らしめる日」
——2026年7月7日、巣鴨獅子王で初単独公演『混』が開催されます。まずはタイトルに込めた意味から教えてください。
痕:「混」には色々な意味があります。妖-Ayakashi-とナキリが混ざる。これまでの自分たちと、これからの自分たちが混ざる。そして僕たちとお客さんが混ざる。
一つの言葉ですけど、色々な想いを込めています。
ウル:僕もそこは強く感じています。”1人の個”から”5人の集”となったことを、強く感じ取ってもらえるライブにしたいですね。
——ミナさんは、この公演がバンド人生初めてのワンマンなのですよね。
ミナ:はい。ナキリにとっても、自分にとっても初めてのワンマンです。生半可な気持ちでは挑みません。
——初単独公演の場所が東京というのも意外でした。
痕:そうなんですよ。僕たちは大阪を拠点に活動してきましたし、普通に考えたら大阪でやる方が楽なんです。でも、あえて東京を選びました。
挑戦ですね。0から1って難しいじゃないですか。2や3にするよりも、最初の一歩が一番難しい。東京に来るという選択をしてくれた人たちは、そのハードルを越えて来てくれる人たちなんです。
だからこそ、その人たちに「来てよかった」と思わせないといけない。来たからにはタダでは帰さへんぞ、という気持ちはあります(笑)。
——かなり覚悟を感じます。
痕:今って娯楽が本当に多いじゃないですか。Vtuberもいるし、声優もいるし、舞台もある。別にヴィジュアル系じゃなくても人は楽しめる時代なんですよ。
そんな中でヴィジュアル系を選んでくれるって、絶対に何か理由があると思うんです。だから僕たちは、その人たちをもっとこっちに引きずり込みたい。
「ヴィジュアル系って面白いな」「ナキリって面白いな」そう思ってもらいたいですね。
——痕さんは本当にヴィジュアル系が好きなのですね。
痕:好きですね、自由だから。キラキラしたバンドもいるし、真っ黒なバンドもいる。和風もいればラウド系もいる。好きなものを好きな形で表現できるところが好きなんです。
最近は「ヴィジュアル系は終わった」みたいな話を聞くこともありますけど、うるせえって思います(笑)。
僕はまだまだ面白いと思ってるんですよ。だからナキリも、その面白さを伝えられる存在になりたい。いつか「和風ヴィジュアル系といえばナキリ」と言ってもらえたら嬉しいですね。
7月7日は、新しいバンドの初単独公演ではなく、「ナキリという存在を世に知らしめる日」にしたいと思っています。今の僕たちが持っている覚悟も、音楽も、世界観も全部ぶつけます。
読者の皆さまへ|明日が来る保証はない。それでも燃やし尽くすように生きたい
——最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。
ミナ:“百鬼”夜行の如く、これからたくさん皆さまの元へ現れます。お楽しみに!
風輝:強くあれ。
ウル:5人の個性が混ざり合ったナキリにしか出せない世界があります。とにかくライブを見に来てほしいですね。
読んでくれている君も、番にしてみせます。
ひたぎ:ナキリはまだ始動したばかりのバンドですが、これからゴリゴリ頑張っていきますので応援よろしくお願いします。
痕:最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今年、僕は人生の中でも大きな病気を経験しました。今はこうして歌い、叫び、ステージに立てていますが、それまで当たり前だと思っていた日常は突然途切れました。
その時、自分の人生や「生きる」ということについて深く考える時間を与えられた気がしたんです。
人はいつか必ず終わりを迎える。頭では分かっていたつもりでしたが、その終わりが決して遠いものではないと実感しました。だから今のナキリには、以前よりも強い覚悟があります。
明日が来る保証はない、絶対も永遠もない。それでも、この瞬間を燃やし尽くすように生きたい。そう強く思っています。
もし皆さんの中に、誰にも言えない痛みや不安、乗り越えられない何かがあるなら、一度ライブハウスへ来てみてください。言葉では伝えきれないものを、僕たちは音に込めて鳴らし続けています。
ライブハウスでお会いできる日を楽しみにしています。ありがとうございました。
まとめ|百鬼を断ち切る一太刀となるために

人の心に巣食う「百鬼」を描き、その感情と向き合い、受け止めながら前へ進む力を鳴らす和風ヴィジュアル系バンド・ナキリ。
ソロプロジェクト「妖-Ayakashi-」から始まった彼らは、痕の大病という出来事を経て絆を深め、5人のバンドとして新たな一歩を踏み出した。
そして2026年7月7日、初単独公演『混』が開催される。
⛩参拝のお知らせ⛩
— ナキリ (@NAKIRI_OFFICIAL) May 18, 2026
📅7/7(火)📍巣鴨獅子王
ナキリ初単独公演「混」
🕰️OPEN 17:30 / START 18:00
💴前売り¥5,000 / 当日¥1,000(+1D別)
🎫 https://t.co/rAvVZGKpv5
販売開始:5/25(月)20:00〜 pic.twitter.com/OaoLzN4SID
ナキリが掲げる「百鬼を断ち切る一太刀」は、これからどこまで多くの人の心へ届いていくのか。
その答えは、ライブハウスで確かめてほしい。
インタビュー:ヴィジュアル系百科 編集長 太田翔子

