
まだ蒸し暑い夏の余韻が残る、9月17日。
大阪・心斎橋にあるライブハウス心斎橋CLAPPERで、TABOO 東阪無料単独徘徊「罪奪る。−大阪編−」が開催された。

フロアは黒色を基調とした空間で、頭上には開演前から華やかに輝くミラーボール。
東京を拠点とし活動する彼らだが、関西にゆかりがあり、多くの“野良”(=TABOOのファン)たちがこの日、CLAPPERに集っていた。
入場〜開演
幕が開くと、そこにはすでにボーカル・ユウマの姿が。
ステージ上で“何か”を咀嚼する彼の姿に、釘付けになる野良たち。
背後には、「罪ヲ受け入れますか」と大きく書かれた札が意味ありげに飾られている。
そして入場するドラム・愛麗、ベース・月独、ギター・ナイス☆。
真っ赤な照明に照らされ、ユウマはゆっくりと立ち上がった。
1曲目|ジャパニーズショートヘア
「クラップ!!」
ユウマの声を合図に、野良たちは頭上で手拍子をする。
「国産種の日の丸育ち、こんな僕の劣等感を
わずか207秒間だけ素敵な貴方に聞いて欲しいな」──TABOO『ジャパニーズショートヘア』より
堂々とした表情で、ユウマが紡ぐ鋭い言葉。
愛麗の鳴らすドラムの重さと疾走感が、CLAPPERを一気にTABOOの世界へと引き摺り込む。
「切り離された心が痛む事も知らずに
嗚呼、他人事だから気付かないでしょ?」──TABOO『ジャパニーズショートヘア』より
吐き捨てるように叫ぶユウマ。
「●ぬ気でかかってこい、バンギャ共!!」
その言葉通り、野良たちは序盤から激しく暴れ、その熱量を見せつける。
「自分のことだけ考えて生きろよ」
一言一言、ユウマは鋭い目つきでフロアへ訴えかける。
「俺は俺なりに、自分の罪を清算しに来た!!」
2曲目|刺ス。
「さあ、全力でかかってこい!!」
ユウマの煽りと共に始まったのは、ステージとフロアが一体になるお祭りムードのコール&レスポンス。
「ほらほらかかってこんかい、
それそれ宴が始まる」──TABOO『刺ス。』より
リズミカルに両手を上げる動作と呼応するように、フロアの熱も上がっていく。
月独も、楽しげに飛び跳ねながらベースを奏でる。
「その心臓に、突き刺す一撃を!」
ユウマが叫び、まさに突き刺すような鋭くキレのあるバンドサウンドが轟く。
「刺ス、君の心臓を抉る。
この命枯れるその時まで」──TABOO『刺ス。』より
妖しげな浮遊感のある、ナイス☆のギターソロ。
野良たちは猛烈な回転ヘドバンを見せ、早くも盛り上がりは最高潮に。
3曲目|ネグリジェと復讐
そのまま、なだれ込むように次曲へ。
「嫌いな奴は、
合法的に●しましょう。」
弾むような月独のベーススラップが爽快だ。
「30超えてもネグリジェビッチ
大人に見せかけ中身はベイビー」──TABOO『ネグリジェと復讐』より
高らかなジャンプ、そしてステージへ飛び込みそうな勢いの折り畳みヘドバン。
華やかな照明の下で、フロアは一段と熱を帯びる。
4曲目| 毒入りチュール
禍々しさすら感じさせる月独のベースソロ、そしてナイス☆のパワフルなギターの音が、CLAPPERに響き渡る。
「はじめまして、野良へ。貴方に言いたい事があります。
嫌いなアイツを消しされる そんなチュールに興味ありませんか?」──TABOO『毒入りチュール』より
彩り豊かなサウンドが、じわじわと効く遅効性の毒のようにフロアを翻弄していく。
手首をクルクル回して打ち付ける振り付けを、ユウマが先導。
「毒入りチュールを喰わせたい 人を蔑むその目が憎いから
毒入りチュールを喰わせたい 君に毒入りチュールを授けましょう」──TABOO『毒入りチュール』より
愛麗の打ち鳴らす、鮮やかでキレのあるシンバルにあわせ、野良たちは折り畳みヘドバンで髪を振り乱す。
「我々、アンタたちにチュールを持ってきました!」
そう言うと、TABOOメンバーたちがフロアにチュールを投げ、野良たちは上手にキャッチ。
愛麗もドラムを叩きながら、器用に立ち上がって投げる。
楽しげなフロアを見渡し、少し和らいだ表情のユウマが告げる。
「猫飼ってる人、TABOO来たらいつでもチュールあげるよ!」
5曲目|ヒューマンコンプレックス
一斉に拳ヘドバンをする野良たちを、見渡すユウマ。
「変わる事を恐れて死ぬのなら、
僕はこの歌と心中」──TABOO『ヒューマンコンプレックス』より
間奏では、TABOOのロゴがあしらわれた赤や紫のタオルを、高く掲げる野良たち。
ナイス☆の奏でる叙情的なギターソロが、切なく響く。
「黒猫が僕に語った、
お前は人の分まで不幸でいな」──TABOO『ヒューマンコンプレックス』より
力の限り、叫ぶように言葉をぶつけるユウマ。
ラスサビ前の刹那、愛麗にスポットライトが当たる。
ユウマが爆発させた負の感情に呼応するかのような、爆発力あるキメ。
「これが正解だって、胸を張って言えるような
人生を送りたいです。」
そうユウマが告げると、しとしとと降る雨の音が、CLAPPERを包む。
「我々TABOOには、もう時間がない。
残されたこの中で、生きていきます。」
6曲目| 雨と猫
優しさと哀しさを孕んだサウンドに、聴き入る野良たち。
表情豊かなギターフレーズが物語を紡いでいく。
ある時は泣き出しそうな声で、そしてまたある時は苛立ちをぶつけるような怒声で歌うユウマ。
雨空のような、深い青色の明かりが照らす空間で、観客たちはその姿に引き込まれていた。
7曲目|マタタヴィラン
しっとりとした前曲から一変し、リズミカルなツーステップを踏むイントロ。
「正義ってなんですか?
悪ってなんですか?」
ユウマがそう問いかける。
「Shut up we’re マタタヴィラン
自重、制限、制約、堅苦しいな」──TABOO『マタタヴィラン』より
野良たちは元気よくタオルを振り回す。
「じゃあ、うちのリーダーにかっこいいとこ見せてもらおっか!」
月独のダーティーで妖艶なベースソロが、楽曲の二面性を巧みに表現する。
8曲目|東京HELL
激しいモッシュで、野良たちは上手へ下手へと飛び跳ねる。
「色情、愛情、欲情
もっと僕に君の愛をくれないか?」──TABOO『東京HELL』より
TABOOメンバー全員の息のあったプレイが、静と動を自在に操る。
「救えるのは私だけだ
終わりの見えない地獄だ
此処は東京HELL」──TABOO『東京HELL』より
CLAPPERを揺らすような愛麗の力強いドラム。
ノイジーでまさに都会的なサウンドを響かせ、まだまだアクセル全開だ。
9曲目|ステージ。
ヘヴィな音が鳴ると同時に、野良たちは猛烈な拳ヘドバン。
「僕は君だけのカリスマじゃない
君は僕だけの信者じゃない」──TABOO『ステージ。』より
シャウト混じりのラップで、鮮烈な歌詞を歌うユウマ。
「自分勝手に求めた理想
少し違うから君の夢を奪うの
このステージで」──TABOO『ステージ。』より
かけていた眼鏡を外すと、真っ直ぐにフロアを見据えた。
暗くも、奥行きあるギターの音色が余韻を残す。
ラスト|ストローベリー
「全ての罪を懺悔しろ!!」
隙間のない音が押し寄せ、いよいよライブはクライマックスへ。
「嘘の数だけ白濁したミルクかけて
汚く食べて欲しいな」──TABOO『ストローベリー』より
柵に足を掛け、挑発的にベースを掻き鳴らす月独。
TABOOメンバー全員が表情豊かに、一体感のあるサウンドを響かせた。
そして、ユウマが口を開く。
「俺は、このバンドを作ったこと自体が、
貴方たちにとっての罪やと思ってます。
全員、何かの罪を背負って生きてると思う。」
“罪奪る”──公演タイトルのヒントともなる言葉。
静寂の中、少しずつ野良たちが手を叩き、やがて大きな拍手に包まれながらTABOOメンバーたちはステージを後にした。
アンコール|MC
アンコールの声に応えTABOOメンバーが再登場すると、メンバーの名前を呼ぶ熱い声が会場中にこだまする。
「アンコールありがとうございます!TABOOです。
東阪無料単独徘徊『罪奪る。−大阪編−』にご来場いただき、ありがとうございました。」
改めて、感謝の言葉を述べるユウマ。
「“罪奪る。”というタイトルは、苺の“摘み取る”とかけてるんですけど。
こうやって(ライブに)来てくれる人が背負ってきた罪を、
TABOOが奪い取るという意味でつけました。」
公演タイトルに込めた想い、そして自身の葛藤についても語り始める。
「人に言えない悩みとか、あると思うんです。
そんな中で、こういう場所に救いを求めたりもしてると思います。
…でも、僕もみんなを救えるほど人間できてない。
自分の罪と向き合う、というテーマに変えてやっています。」
この公演に至るまでの道のりで得た気づきや変化を、包み隠さず話す。
「我々と一緒に、罪を清算しようということで。
もし今日少しでも興味を持ってくれたら、東京編も当日無料なので、
遊びに来ていただけたら嬉しいです!」
ユウマの真っ直ぐな言葉に、野良たちから大きな拍手が起こる。
「みんなも仕事とか学校とか、仮面をかぶって生きてると思うんですけど。
たまには甘えたくなったり、縋りたくなったりすると思うんです。
僕にとってはこのTABOOというバンドが、
唯一の救いであり居場所なので。
そんな気持ちを込めて歌を書きました。
聴いてください。」
アンコール1曲目|ラグドール
落ち着いたトーンの歌声で、語りかけるように歌うユウマ。
ナイス☆のギターソロは、歪んだ厚みのある音色で存在感を示す。
「僕に語りかける君の愛が
別に嘘だと思ってないけど
特に信じる必要もないか
聞き上手な僕が好きでしょ?」──TABOO『ラグドール』より
少し肩の力が抜けたような、自然体の声が心地よく響く。
「仮面かぶって、日々の生活が息苦しい。そんなあなた!
音楽に救いを求めてください。
それがラグドールでありますように。」
アンコール2曲目|自壊ハッピーデイズ
「僕の人生はどこで間違えたのだろう?
もし、この先に続きがあるのなら…
次回は幸せな日々でありますように。」
祈るようなユウマの言葉。
「少しだけ聞いてよ、私の今日の出来事を
多く話すつもりはないから」──TABOO『自壊ハッピーデイズ』より
透明感のある、どこかあどけない歌声が真っ直ぐに届く。
「貴方たちの隣に居られる音楽を、
一緒に創っていきたいと思ってます。
ラスト!!」
アンコール3曲目|ストローベリー
最後の力を振り絞るように、野良たちは激しく頭を振る。
「全てをここで懺悔して帰れ!!」
フロアにいる一人一人を、目に焼き付けるように見つめながら歌うユウマ。
月独はステージから降り、ベースを弾きながらゆっくりとフロアを練り歩く。
「声聞かせろ!!
もうバテたんか!?」
ユウマの煽りに、大きな声で応える野良。
「生きてることが罪じゃ!!」
何度も、何度もヘドバンを繰り返すパートで、月独が叫ぶ。
そしてユウマも鬼気迫る表情で、
「全員まとめて●してやる!!」
と吐き捨て、TABOOメンバー4人の熱のこもった轟音が炸裂。
「東阪無料単独徘徊『罪奪る。』−大阪編−ありがとうございました!」
曲終わり、ユウマが先程とは打って変わって、優しげな声で挨拶をする。
ヘトヘトになりながらも、どこかすがしがしい表情のTABOO、そして野良たち。
「CLAPPERでワンマンしてよかったと思います。
またここに帰って来られるように、頑張りますので。
その時はまた一緒に、熱い空間創ってください!」
そして最後にマイクを通さず、
「ありがとうございました!!」
と大きな声で感謝の気持ちを目一杯に伝え、東阪無料単独徘徊「罪奪る。」−大阪編−は幕を下ろした。
まとめ
最初から最後まで目が離せない展開で、心斎橋CLAPPERをTABOO色に染め上げた東阪無料単独徘徊『罪奪る。』−大阪編−。
小柄で愛らしいそのルックスとは裏腹に、彼らのサウンドは凶暴かつパワフルだ。
そして、ユウマ自身の経験や想いを綴った歌詞はもちろん、ステージ上で放たれる言葉も、一つ一つが胸に深く突き刺さる。
彼らは10月2日、巣鴨獅子王にて、東阪単独単独徘徊「罪奪る。」−東京編−を開催する。
自分自身の「罪」──この日だけは胸に抱えたまま、ぜひライブハウスに足を運んでみてほしい。
レポート:ヴィジュアル系百科 編集長 太田翔子
