【インタビュー】唯、ソロ活動への想い|バンド「路地裏堂」始動の経緯。そしてumbrellaにもたらすものとは

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umbrellaのギターボーカル、唯。

オルタナティブ・シューゲイザーをルーツとしたノイジーかつ繊細な音作りと、力強くも艶のある歌声で、唯一無二の存在感を放つ。

今回は、ソロワークにおいてバンド形態「路地裏堂」としての活動をスタートした唯にインタビューを実施。

これまでの歩み、作曲スタイル、メンバー(通称:アルバイト)を集めてバンド形態「路地裏堂」を始めた理由、そして精力的に音楽活動を続ける原動力など。

彼という人間を紐解くヒントを、等身大の言葉で語ってもらった。

目次

唯、これまでの歩み|ヴィジュアル系の世界に足を踏み入れるまで

——まず、自己紹介と共にこれまでの活動歴について教えてください。

唯:唯です。umbrellaというバンドをやっています。それと並行して2021年、コロナ禍の時ぐらいから、ソロという形でも活動しています。2026年8月8日から、「路地裏堂」というソロプロジェクトのバンドも始めました。

歴としては長いんですけど、ヴィジュアル系に足を突っ込んだのは2002年。まずLOKIというバンドをやって、そこからumbrellaに移行していった感じです。

——ヴィジュアル系を始めたのが2002年ということですが、その前はヴィジュアル系ではないバンドをされていたのですか?

唯:そうですね。もともと女性ボーカルのバンドでギターを弾いてました。18歳の頃、音楽の専門学校に行ってて。学校で知り合ったメンツで集まったバンドでした。

——それが初めてのバンドだったんですね。

唯:そう。コピーバンドから始めて、オリジナルの曲も作ってやってました。

専門学校で、当時デビューサポートシステムみたいなのがあったんですよね。学校の先生が目をつけてくれて、「いろんな業界に音源を渡してみようか」「ライブ映像を見せてみよう」と。

そしたらちょっと引っかかって、とある大手のところに声をかけられたんです。で「ポストCocco」みたいな感じで売り出していこうかと。もともとCoccoみたいなバンドから始めたんで、もう願ったり叶ったりだったんですけど。

ボーカルが若干、精神的に弱くて。心を込めすぎて過呼吸になっちゃったりする、結構特殊な子やったんです。それでなかなか難しいなって話になり、デビューは保留になったんですよね。

仕方なく解散っていう形になって。そこからCD屋さんとかをウロウロしてたら、ヴィジュアル系の事務所の社長に声をかけられたんです。興味無くはなかったから観に行ってみようっていうのがきっかけで、サポートという形でギターをやったら…そんな感じ(ヴィジュアル系バンドマン)になっちゃいました。

——最初はギターのサポートで、自分のバンドを組むときにギターボーカルになったのでしょうか。

唯:そうですね、ギターでサポート入ったバンドが解散した時に、本当は新たにボーカルを探してバンドをやろうと思ったんですけど。

当時のヴィジュアル系は、煽ったりシャウトしたりする激しいボーカルが多かったんですよ。私は「別に叫ばなくてよくない?」みたいな価値観やったんで、なかなか見つからなくて。

だからといって活動が止まるのも嫌やから。自分で歌いながら活動するか、っていうのが続いて、今に至ります。

——「あ、この人いいかも」みたいな、ちょっと惜しい人はいなかったのでしょうか?

唯:いや、いたんですよ。このボーカル結構声もいいし、歌も上手い方やし、「この人解散せんかな?」ってバンド(笑)。あるじゃないですか、「こっち来てくれへんかな」みたいな。

——でも解散しなかったんですね。

唯:そうですね。解散してくれなかったのもあるし、「長い目で見て、解散したら声かけてみるか。その間、自分で曲作ったりライブしよう」「歌を歌ってみよう」と思って、サポートのギターを入れてやってたんですけど。そうなると自分の活動に必死になって、なかなか探すこともなくなって。

ボーカルって一番、納得しないと入れたくなくないですか。「この人の伸びしろあるな」「今後すごいボーカルなるやろな」じゃなくて、ある程度の完成度を求めちゃうというか。

もともと組んでたバンドの女の子のボーカルって、ほんまに上手かったんですよ。表現力もすごかったから、その人を超えるボーカルじゃないと納得できなかった自分がいたんです。

だからといって、自分自身も納得できるボーカルではないと思ってるんですけど。でも、自分が作った曲やから表現はできるので、なんとかなりましたね。

音楽のルーツ|バンドスタイルの女性ボーカルアーティスト、そしてオルタナ

——元々、Coccoさんのようなオルタナ系のバンドをされてたということですが、音楽のルーツ影響を受けたバンドやアーティストについて、改めて教えていただけますか。

唯:高校時代とかは、流行りの音楽やいろんなものを聴いたりもしてましたけど。やっぱり女性ボーカルのやつはピンときちゃうんですよね。ジュディマリ(JUDY AND MARY)とか。

——はい。

唯:the brilliant green、椎名林檎、Cocco、aiko。そういう女性アーティストの音楽ってかっこいいなと思って。

もちろんhideさんとかラルクとかも大好きだし、ラルクの事務所に入るっていうのが目標にもなったんですけど。音楽性に関しては、やっぱり女性ボーカルのアーティストのギターが好きで、そればかり見てましたね。目につくというか。バンドのスタイルの女性ボーカルアーティストが好きなんです。

だから、一番グッときたのはやっぱりCoccoだったっすね。根底にある暗さと、その暗さが裏返ってしまって、逆に明るく感じてしまうみたいな。向こう側を見た感じがしてすごく好きで、ハマりましたね。

——なぜ、男性ではなく女性ボーカルなのでしょうか。

唯:なんでなんでしょうね。

自分には絶対出せない表現じゃないですか、性別的なもの、声の高さもあるし。羨ましかったのかな。自分に表現できないことをできる人って、憧れるというか。

恋愛でもそうじゃないですか。自分にないものがあるからすごいなと思えるし、尊敬できる人を好きになることもあるやろうし。

容姿だったり、女性としての魅力を売りにしている人たちもいるけど、Coccoってそうじゃないんですよね。すごく泥臭さのある女性じゃないですか。根っからの精神性とか、曲の豊富さとか。全てを出し切ったようなシャウトというか、悲鳴に近いあの声とか。もう全てにおいて、人間として好きやなと思ったのかな。

女性というものの一番黒い部分、暗さというか、怖さというか。そういうのも見れて、興味が男より沸いたって感じですね。

——自分の持ってないものだからこそというか。

唯:そうですね。

やっぱり男性でも共感するものってあるじゃないですか。そういうものって、正直どこにでもあるというか、飽和してる部分があって、あの頃でも。私の中で飽きたというか、もっと違うものを探してたんでしょうか。

——では、そういう女性ボーカルさんの横でギターを弾きたいと。

唯:the brilliant greenのギターの人とかもそうですけど、別に目立つわけでもなく、しっかりとクールに弾いててっていう、脇役に徹するギターがすごく好きやったんで。そういう人になりたいなっていうのが昔からあったんです。

——なるほど。音楽ジャンル的にはオルタナがお好きじゃないですか。シューゲイザーだったりとか。

唯:お好きです。

——それはどういうところが好きになったのでしょうか?

唯:聴いててせわしない音楽って多いじゃないですか。音数が多いとか、いろんなキメが多いとか。

そうじゃなくて、目つぶってても自然にだらっと聞けるような音楽が好きで。自分の中で雑音に感じない音楽がオルタナやったんですよね。音の壁になってたり。もちろんうるさいし、わけわからん音とかも出てるんですけど、私の中ではすごく心地よいものだったんです。

あと速くない。ミドルテンポのゆっくりした音楽がめっちゃ好きで。そういうものも自分のビートに合ってたのかなと思って。ゆっくり歩いて聴けるのもいいし。

——副交換神経に作用しそうな。

唯:そう、なんか体に良かったですね。自分が聴いてて。

——ナキリの風輝さんも仰ってましたもんね。umbrellaは自律神経に効くと。

唯:ずっと言うんですよ(笑)。なんかありがたいんですけど、でもそういうことですよね。

多分昔から私が聴いてた音楽がそうだったんでしょうけど。浄化される成分か何かがあったんでしょうね、オルタナっていうのは。だから好きで、聴き続けてるんやと思います。

——鼓舞されるというよりは、心地よくて浄化される音楽だと。

唯:そうですね。

頑張るぞって思う時って、もうアドレナリン出てるから、音楽どころじゃないじゃないですか正直。落ち着きたい場面の方が、音楽聴くことが多いんかなと思ってて。

1999年やったかな、Coccoの武道館のライブ映像があるんですけど。その映像とかまだ私残してて。ライブの前にメイクしてる最中とか、よく流してたりしてましたね。

オルタナとかそういう音楽は、私の中では鎮静剤というか。

——面白い。

唯:音楽は薬って言うから。

——そうですよね。逆に興奮させるために聴く人もいるでしょうし。

唯:でもね、車運転してて目覚ましたい時に聴く曲は、あえてプログレとかハードコアとか。もう拍がおかしいバンドとかあるんですよ。

——ありますね(笑)。

唯:THE DILLINGER ESCAPE PLANとか、SikThとか。変拍子も多くて「なになになに?」「わからんわからん」っていう曲を聴きながら。仕事に追われる時とか、そういうのも聴きます。わー!ってめちゃちゃになって、バグらせてやるような時。

仕事の時は特に、落ち着くと寝ちゃうんで。そういう使い方で音楽を利用しますね。

——使い分けてるんですね。

ソロ活動を始めたきっかけ|コロナ禍での試行錯誤と挑戦

——ソロ活動を始められたきっかけはなんだったのでしょうか。

唯:もともと、アコースティックライブはやってたんですけど。一番のきっかけはコロナですよね。

——2020年の2月、3月ぐらいからですかね。

唯:そうですね。私の生誕イベントは東京でやったんですけど、その時ぎりぎりやったんですよ。

——そうですよね。2月はもうすれすれ。

唯:あの時ギリギリで、あれ以降動けんくなって。

——ちょうどumbrellaさん10周年のね。

唯:そう!あの10周年地獄でしたからね。

どこのバンドも動けないから、ちょっとずつ配信がブームになったじゃないですか、あの当時。

——はい。

唯:そういや私もツイキャスやっとったなと思って、久々に開こうと。

でも喋るのはそんな得意じゃないから。「そうだ!umbrellaの曲をたまにアコースティックでやってたから、配信ではアコースティックライブしようかな」って言って始めて。それから結構しょっちゅうやったんですよ。

umbrellaのファンは不安じゃないですか、活動も止まってるし。そしてバンドも、活動できないっていうのは結構不安で。いろんなバンドがいるから、休んでる間にお客さん取られるんちゃうか?他のところへ目移りしちゃうんじゃないか?とか。

発信も何もせえへんかったら飽きられるぞ、忘れられるぞとは思ってたから。別に自分が気持ち良くてやってるわけじゃなくて、「忘れられんように、週に1回ぐらいちゃんとアコースティックで配信していこう」って思ってやってたんですね。

で、そこから他のバンドマンもアコースティックやるようになってきて、面白ないなと思って(笑)。やっぱり人と違うことしたいなと。

それで、途中ぐらいからレコーディングしてみようかなと思って、公開で。

——公開レコーディング。

唯:はい。配信のやり方とかも覚え始めたんで、生放送でレコーディングして、曲作ってみようっていうのを始めて。これって、自分がサボらなくて済むんですよね。

その時お仕事もあったんですけど、仕事とかしてたら儲かるんですよ。すごく(笑)。正直恥ずかしいところ、umbrellaで活動してた時よりもずっと。

ただ、その分音楽してなかった自分がいて「あかん」と思って。自分の生活が落ち着いたら何もしなくなったなと思ったから、仕事辞めたんですよね。で、自分の音楽というものでちゃんと働こうと思って。

配信が無料でできるからと、サービスでするのもあかんなと。どんだけ人が少なかろうが、チケット代をもらって活動するのがやっぱアーティストやと思って、有料で始めたんですよ。公開レコーディングも、【ほろ論】っていうアコースティックのライブ配信も全部有料。

チケット買わせるものがみんな悪みたいな感じ、昔あったじゃないですか。「無料配信で頑張ろう」みたいな。それが悪いわけじゃないんですけど、「コロナ終わった後も、無料でずっとやり続けるのか?」と。

ちゃんと責任を持って、お金をいただいてやる職業だと私は思ってるし、今までバンドでもやってたので、それをやってしまおうと。

そんな中で音楽も作り始めたら、umbrellaよりももっとパーソナルな、自分のことを語る曲が生まれてきて。「これはソロの音源としてリリースしようかな」と思って、ソロとumbrellaを分けるようになったのが多分きっかけかなと。

umbrellaとソロの楽曲の違い|よりパーソナルで、ノリを度外視したソロ

——umbrellaの楽曲とソロの楽曲には、どういう違いがありますか。

唯:まず、ソロ音源に収録されている7曲のうち何曲かは、絶対アコースティックギターが入ってるっていう。アコースティックギターで弾き語りをやってたんで、その経験をレコーディングに活かしたいなと思って。あとは自分が影響を受けたオルタナを結構モロに出しました。

そして、ノリとかを気にしない。「お客さん、ライブでこう盛り上がるやろな」みたいなのを全部なくして。ほんまに「聴く姿勢」に入る音楽を作ろうっていうのは、umbrellaとソロの違いかなと思いますね。

——「ノリを気にしない」というのはなぜでしょうか。

唯:もともと私、ライブのことを考えて曲を作ったことなかったっぽくて。2002年にやったLOKIというバンドの曲も、umbrellaよりはライブ向けの曲が少なくて、自分のパーソナルな部分が強かったですね。

ソロを始めた当時、LOKIの曲を1回全部作り直そうと思って16曲のCDを出したんです。LOKIは8年9年ぐらい活動していて、音源化されてるものが多分10曲もないんですよ。持ち曲でいうと16曲ぐらい。

——かなり少ないですね。

唯:昔って、ポンポン曲を作ることがなかったんですよ。パソコンの知識もなかったし。だから、あんまり曲に特化してなかったというか。あと、自分のモチベーションがすごい低くて曲作る気力もなかった時期があったので。

16曲なんで、もしかするとこれCD1枚で全部出せるんじゃないかなと思って作ってみたっていう。

——じゃあ、あれはもうLOKIの全てなんですね。

唯:はい。16曲CDに突っ込んで、CDの会社に言われましたよ。「これ多分時間的にCDギリギリ入るか入らんかぐらいなんで、ご了承ください」って。

——了承したらどうなるんですか?

唯:「聴けない場合がある」って言われて(笑)。

——ええっ(笑)。

唯:それご了承はできひんやろ!って思ったけど「大丈夫です、かつてもっとギリギリの人いたんでって」て言われて。そうしてできたのが【独創】ですね。ありがたいことに売り切れて。

——素晴らしい。

唯:売り切ったね、コロナ禍でね。

一方で、umbrellaやと対バンの相手によって、盛り上がらなあかんところも出てくるじゃないですか。ノリとかも大事やし。

「この曲はライブ向きやからumbrellaに」「これはちょっと落ち着いた曲すぎませんか、ソロに行きましょう」っていうので、今整理整頓をしている感じです。

唯の作曲スタイル|何気ない鼻歌から、無限に曲が生まれていく

——ノリを重視する曲を率先して作らないのは、唯さん自身が好きな音楽のお話の時にもおっしゃっていた、「落ち着く音楽が好き」というところも関係しているのでしょうか。

唯:そもそも、作ろうと思って作る曲ってほとんどないんですよ、私正直言うと。

「ノリのある曲を作ろう」「ここはこの振りで」「お客さんのノリが拳の曲を作りたかった」みたいなバンドいるじゃないですか。

——はい。

唯:私、それができなくて。

今まで「こういう曲を作ってくれ」って言われて作った曲って僅かしかないんですよ。そのうちの1曲が『軽薄ナヒト』。

当時入った事務所から、「お前の曲は抽象的な歌詞が多いし、曲もなんかバラードばっかりやし、おもんない」ってめちゃめちゃ指摘されて、ボロカス言われたんです。

——ええっ。

唯:はあ?と思ったんですけど。「こういう曲で、歌詞はこういうドロドロな恋愛の曲を作ってみてもいいんじゃないの」みたいなこと言われた時に、ムカついて作ったのがあれです。

——ムカついて。

唯:そうその日に作ったんです。

——すごいですね…。

唯:メンバーと東京の事務所に行った時に、それ言われて。ボロクソに言われた後に電車や車の中で、1人でずっと考えたんです、無言で。

1日考えて寝ずに家帰って、その日に納品して「こんな感じでできたんですけど」って言ったら「いいじゃん」みたいな。

むかつきましたね。

——(笑)

唯:いいじゃんって言われたのムカついた。自分で思いついて作った曲じゃないから。自分で考えて作った曲ではあるけど、「こういうコンセプトで」って言われて、自分でそれを元に作った曲、っていうのがすごい悔しかった。

本来は、自然に出来上がる曲がいっぱいなんですよ。その中から、言われた雰囲気に合った曲をコーディネートしていくっていうスタンスで。

だから自分で意図的にノリのある曲とか作れない。umbrella用にとかそういう感じで作ったこともないんで。

——umbrellaさんのインタビューをした時に、「ストックがめっちゃあるんで」というお話をされてましたよね。

唯:めっちゃあるっすね。死ぬまでに出せるのかわからない。

——そんなにあるんですか。今、さらに作ることもあるんでしょうか。

唯:そうですね。今でもアコースティックギターを持った時に、ふと思いついた曲とかをスマホに録音してる曲はありますし。昨日も、ふと思いついたメロディーを捕獲したり。

そういうのを含めたらもう、200とか超えるんちゃうかな。

——すごい。

唯:そう。でも次の日とか聴いて、「しょぼっ」と思ったらもうこの世から消します。

——なかったことに。

唯:「これめっちゃダサかったな」と思ったらほんまにデータを消すんですよ。残さないようにしてて。残すとなんか未練残るでしょ。だからもう綺麗さっぱり自分が一瞬でもダサいと思った曲はすぐ捨てるっすね。ぽいぽいぽいぽいって潔く。

——ギターを持ったら、曲が降りてくるというか、思いつくのでしょうか?

唯:ギター持たんでも、メロディ浮かんだらもう途中で風呂から出たりします。めっちゃ迷惑だと思うんですけど昔、職場でも急にいなくなる時ありましたよ。思いついて外に出て、録音して戻ってくるとか。

——なんかもう、自分の意思とは関係なく思いついちゃうんですかね。

唯:そうですね。鼻歌って歌います?

——はい。

唯:それって元々ある、自分の好きな曲とか歌うでしょ。

——そうですね。

唯:私違うんですよ。

——えっ!

唯:何気なくこう勝手にメロディー歌ってみて、「あれ、今のよかったくね?」みたいな。常に鼻歌もオリジナルなんで。

——面白…。

唯:なんかと人と違うかなと思ったんです。

——違いますね。

唯:いろんなアーティストに「鼻歌で曲作ったらええやん」って言ったら「鼻歌で曲作るってどうやってやるんすか!?」って。

わからないんですよね、その感覚が逆に。歌えないんですかね?適当に。

——適当に鼻歌でメロディーを作れと言われたらできるかもしれないですが、ちゃんとしたまとまりのあるものには大概ならないのかなと。自分の好きな曲になっちゃったりとか。

唯:そうなるんですかね。

ピアノの鍵盤に指を置いて、適当に鳴らすじゃないですか。そこで「あ、今のこの旋律は何か…!」ってならないですか?「これは!」っていう。私、それが頭にメロディーとしてあるみたい。

ギターとかでも弾いてて「おっ」てみたいなのが頭に浮かんだら、そっから展開が出てくる感じがするんです。私の作曲はそうなんで、多分無数に出てきます。

——200曲と仰ってますけど、もっと増えそうですね。じゃあ。

唯:もうだめしんどいです。それ。

——消化しきれない。

唯:だから私のレコーディングのブースって、すぐマイクがあるし、いつもギターのシールドがどっかにあって繋がってて。「今だ!」ってすぐ捕獲できるようにしてるんですね。急に思いついてもすぐできるように、環境を整えてます。

5thミニアルバム【独楽-dokugaku-】|ライブを意識した、攻めの作品

【独楽-dokugaku-】

——そんな風に作られた曲たちの中でも、最新のミニアルバム【独楽-dokugaku-】はどのような作品か、改めて教えていただけますか。

唯:【独楽-dokugaku-】は、オリジナルの中では5枚目です。

枚数を重ねていくと、ちょっとずつ落ち着いていくバンドが多いじゃないですか。私の場合、どんどん激しくなってて。

っていうのも、ソロでイベントをやるようになったんですね。同期を使ったライブを始めたのは【iroha】ぐらいだと思うんですけど、「もうちょっと抑揚のある音楽もしたいな」と。オルタナの中でももうちょっと激しいオルタナがあるなって思って、自分のストックの中で激しいやつを持ってきてたんです。

今回、【独楽-dokugaku-】ではちょっと攻めに入ったんですね。なぜかというと、ライブを想定した目で見てみようと思ってる。

——おお!

唯:やっとこさ。

——やっと。

唯:今までは音源を中心に考えてたけど、ライブの目線のイメージをしてみたらああなったわけですね。

別に、手上げろ盛り上げろとか、振りがどうとかではないんですけど、よりライブで観た時の想定ができるようになったんです。ステージで私が歌って、お客さんが観てる風景が、この数年でちょっとずつ見えるようになってきた。よりライブを想定した音源にできないかな、と思って考えたのが【独楽-dokugaku-】です。

それと、もっと自分の原始的なもの。音楽が好きやった頃の曲をリスペクトして、オルタナが好きやったあの頃の初期初動をもっと出せへんかな、と思ったのがこれ。

あとは、荒削りなロックやったLOKIのテイストもちょっと入れたいなと思って。『medicine』とかそうで、LOKI色が強いです。

シューゲが好きやから『elegy』とかも入ったし。

——なるほど。ライブ感に関してですが、それでもやはりバンギャの人たちが「ヴィジュアル系」と言われて思い浮かぶようなライブ像と比べると、落ち着いている方ですよね。

唯:そうですね。

——例えば、ヘドバンとかはないですよね。

唯:ほぼないですね。

抑揚のあるライブ、ってあるじゃないですか。別にヘドバンしないとダメなライブじゃなくて。ヴィジュアル系とか関係なく、自然に体が揺れるとか、心が踊るみたいな。聴いてて心や体が動かされるライブ。

動きだけじゃないし、ノリだけじゃないライブを想定していて。ドラマチックになればいいなと思ってるんです。

もちろんライブで盛り上がれるように、「こういう風にしたら統一感あっていいよ」「拳上げるとかもありかな」っていうのを提案はしますけど。

私、最終的にやってみたいなと思ってる理想の姿があって。飲み物を片手に、「わー!」っていう。わかります?

——はい、わかります。

唯:「最高だぜ!」みたいなライブにしたい。最終的に手を挙げてくれるだけで最高な景色だと私は思ってて。もう乾杯しててほしい。「いいぜー!」みたいな。これが私の理想で、幸せの最上級なんで。

もちろんコンサートでGLAYチョップとかも見たいですけど。「いいよ、最高だ」「音楽最高だ」って言ってくれるライブの景色を見たいので、その想定をしたアルバムをどんどん最近更新していってます。

【独楽-dokugaku-】も、「最高だぜ」っていう音楽にできたらいいな、と思ってる曲を集めてみたんです。沁みるでしょ?『干渉』とか聴いたら。そういうのもいいかなと。喜怒哀楽が出せてるんじゃないかなと思います。

2027年、最新音源はどんな作品になるのか|品質保証型の7曲に、喜怒哀楽を詰め込んで

——毎年4月24日に音源をリリースされているので、2027年もきっとリリースされると思うんですけども。

唯:出しますよ。

——どんな作品になりそうでしょうか?

唯:毎回違うことをやろうと思ってて、いろんな挑戦をやってるんですけど。よりアグレッシブにも行きたいし。

でも、CD1枚に対してのアプローチの仕方は一環として一緒で。私の音楽性を、7曲で全部表現するというのは決めてるんですよね。

だから、全部の音源を持ってる人だけがわかると思うんです。違うことをしてるとはいえ、アルバムの方向性が大体一緒なんですよ。

その中でもさらに、喜怒哀楽。悲しかったり楽しかったり、っていう感情が全部出せるようなアルバムにするのも決めてます。

——いいですね。

唯:【独楽-dokugaku-】は、楽しい曲も入ってるじゃないですか。で、別れの曲もあるでしょ。『elegy』もそうですし。『干渉』ってもうなんか結構ズタボロにされるじゃないですか。あとは『おねがい』。自分のパーソナルな部分を最大限出したつもりなんですけど。「頑張ろう」よりも「見ててくれ」みたいな強い気持ちもあったりとか。

ひとりぼっちの悲しさも、楽しさも全部入ったアルバムではあるんです。それは必ず、来年も同じ感じにしようと思ってます。

サウンド面の向上もあるでしょうし、挑戦してる歌い方とかもありますけど、全部を全部「これよりいいものを作る」ってなると、昔が悪いんか?ってなってしまうもんね。最近やめました、私。もう20年近く音楽やってるから、「これより良いもの、これよりいいもの」ってなったら、過去を否定しちゃう感じが出るんじゃないかなと思って。気難しいんですけど。

今年も来年も、去年と同じぐらいいい曲作るよ、っていう方向に行こうかなと思いますね。それが一番、お互いにとってハードルを上げなくていいんじゃないか。

リスナーにしろ、私にしろハードル上げること自体は全然いいんですけど、「去年よりいいものを!」ってなるとやっぱ期待しちゃうでしょ、人って。

——そうですね。

唯:どこぞの大手の会社でも、「20パーセントオフ!」ってセールなんかをすると、次のセールは物足りないでしょう。人間欲深いから、いいものを作ったら、さらにいいものを求めちゃうんですよ。なんで、私はもう最近「来年もいい曲作るよ」「いいアルバムにするよ」ぐらいしか考えてないです。

その代わり、品質保証はします。去年のアルバムで感じた気持ちを、必ず来年も保証しますよって。

——なるほど。今ある音源で「いいな、心地よいな」と思ってくれている方は、来年も同じ感覚を味わえるというか。

唯:そうですね。私も自分でそういう風に味わいたいから、その気持ちになれる満足度の高いアルバムは絶対作れるっていう。

ステージでのこだわり|【ほろ論】・アコースティック・【唯我独唱】それぞれで見せる姿

——そんな曲を引っ提げてステージに立たれているわけですが、アコースティックライブや【唯我独唱】など、ひとりで立つステージの時に意識してることや、こだわりがあれば教えていただけますか。

唯:アコースティックのライブは、予定調和をやらない。

あえてサビの前に何拍か置いたりもするし、置かなかったりもする。曲の最後アウトロらへんで、私がハミングを歌ったりするところも、別にしない時もあるし。メロディー変えたりもする時もある。

もう毎回毎回違うっす。そして覚えてないです。

——(笑)その日のアレンジについて言及したら「適当や」とよく言われますもんね。

唯:そうなんですよ。その日に「これやろう」と思ってアレンジをしたりとかもするし。ぶっつけ本番で「この曲やってみよう!」みたいなのもあります。数秒後のことを急遽頭の中でシミュレーションして。

——いやすごい。

唯:たまにフリーズして弾けへん時もある(笑)。頭の中パニックになるので、歌詞カードは置くんですけど、私はコード表だけは絶対見てないです。もうその通りに弾くの嫌なんで。

だからアコースティックは大概、予定調和ではしないですね。いいじゃないですか、その場の雰囲気。

あとアコースティックで言うと、配信の【ほろ論】と、ライブハウスでやるのとでは全然違うんですよ。差別化を図ってて。

昔マンションに住んでたんですけど。そんな大きい声で歌えないじゃないですか。

——そうですね。

唯:ってなった時に、音量を下げて歌うようにして。これがきっかけで、ウィスパーっていう歌い方を覚えようと思ったんです。声を張らずに高音が出せたり、ギリギリの音量で声が出せたりとか、めっちゃメリットあるんですけど。

「じゃあ『ほろ論』はウィスパーだけで歌ってみよう」と。声を一切張らずに、すごいささやかなこのウィスパーボイスで歌う。

逆にアコースティックライブでは、結構声を張ってエモく歌ったりもする。

——分けているんですね。

唯:分けてます。

で、【唯我独唱】はパソコン君がメンバーなので。パソコンの中の数十人のお唯が、一生懸命やってます。めっちゃうまいんですよ、ミスもしいひんし。私だけがミスるんですけど(笑)。

イベントの名前が「天上天下〜」みたいな感じじゃないですか。これ、よく見てください。漢字を見たらよくわかります。「お唯が歌います」みたいな意味もあるし。「我」が強い私が「独唱」。「一人でこいつ歌うよ」っていうタイトルなんです。

【唯我独唱】は基本的に、京都都雅都雅でやってます。コロナの時に一番お世話になった都雅都雅に恩を返したいんですよね。だから、もらったチケット代のうちいくらかは都雅都雅に渡すっていうのも決めてて。

やっぱり音源を出したからにはアコースティックだけでは物足りないので、バンドサウンドでちゃんとライブをしたくて始めました。

バンド形態「路地裏堂」を始めた理由|「私に、バンドやりたいって言ってくれた」

——そしていよいよ、「路地裏堂」もスタートしました。バンド形態での活動を開始した理由や意図も教えていただけますでしょうか。

唯:【唯我独唱】をやってたんですけど、やっぱり結局はデジタルなものをスピーカーから出して自分のギターと合わせるので、たまに「これめっちゃ曲いいから、バンドでやったらすごいんやろうな」って思ってて。

1回バンドでやってみたいなって気持ちはずっとあったんですけど、サポートメンバーを探すのがいささか面倒くさくて、腰が重かったっていうのがあったんです。コストもかかるし、予定を合わせるのも大変やし。

そんな中で、対バンの相手とかいろんな人に、冗談半分で「私ソロでもやってるんですけど、サポートとか頼んだらやってくれます?」って言うと、意外と「やりたい」って言ってくれる人が多かったんですよ。

「おや?」「これ、もしかかしてマジでやってくれるんじゃね?」って。

社交辞令の人ってわかるじゃない。「また連絡してくれたら!」みたいな感じだと、脈ないなってわかっちゃうんですけど、「やりたい」って言ってくれる人が多くて。

関西で、解散したバンドなんですけど良いドラマーがいて。「私ソロもバンド形態でやろうと思ってるんやけど、お互い近いもの同士、時間あったらドラム叩いてくれへん?」みたいなこと聞いたら、「やりたいです」って。

「あ、やってくれるんや」みたいな。きっかけがまずそこからで。

あと、永山銀って人がおるんですけど、ベースで。もともと私はその子のベースのスタイルが大好きやったんで、ずっと見てたんです。話すきっかけがあったので、「ベースやってみる?」みたいなこと言ったら、「入りたいです」って言ってくれたんですよ。

バンドやりたいって言ってくれたんです、私に。

覚えてるかわからないですけど、一番のきっかけが彼なんですよね。サポートというよりも、バンドというものを意識し始めたのが、彼の一言というか。永山銀の存在が一番でかかったかな。「この人ありきじゃないとやらへんな」っていう感じになったの。ベースは彼以外に考えてなかったんで、正直。

で、そっからえゐむ君に話して。あの人のギターが一番好きやったんで。サウンドスタイルが一緒なんですよ、私と。気になって話してたら、「やります」って。

——決定(笑)。

唯:「また言ってくれたら」じゃなくて「やります」って。「曲覚えます」って言われて。あれ、もう決まっちゃった!みたいな。いつライブやるかも決まってないのに「覚えてきます」って言われたらもう、逃げられないじゃないですか。

この人らすげーなと思って。えゐむくんと銀ちゃん仲良いのもあるし、曲のスタイル、好きな曲とかめっちゃ似てたから、「あ、これいけるな」と思ったのもあって、バンドを意識し始めましたね。

それで、踏ん切りがついたのが今年。一歩前に足を踏み出せたのが、8月8日のCRUSH OF MODEやったんです。

最初ソロ「唯」で決まってて。いざ蓋を開けてBAYSISのメンツを見るとマツタケワークス、のろゐみこ、Gargoyle、Jin-Machine、RENGEKI
…「待たんかい!!」と(笑)。

——めっちゃバンド。

唯:そう。全部バンドやったんす。私だけポツンと、パソコンとお唯です。

——確かに、そこでアコースティックで出るのも…ですし。

唯:なんか寂しいでしょ。しかもみんな爆音でしょ?

——はい、爆音でした。

唯:インパクト残るけど、薄いなと。さすがにサウンド面で負けちゃうし、いい曲やったとしても印象に残らんなと思って。自信はあるんですけど、そこで勝負するんやったらバンドじゃない?と。

それで1回、校長(主催・ART POP社長)に電話して。「ちょっとここバンドでやっていいですか、名義も変えますわ」って言ったら快くオッケーしてくれたので、メンバーに声をかけました。じゃあもう即答で、やりますって言ってくれて。

初ライブが対バンでサーキットイベントになったんですけど、そこで爪痕残して大きい音出せるのは、一番強いインパクトかなと思って。私の大好きなCRUSHなので、一番ウェルカムな状態でスタートしたいなと思ったから、急遽ですよ。

「路地裏堂」アルバイト加入の経緯|あえて、umbrellaとは真逆のメンバーを集めた

——先ほど、銀さんとえゐむさんを誘った時のお話もありました。改めて、アルバイトさんそれぞれの加入の経緯をお聞かせいただけますか。

唯:dagaちゃん(dagaki)は、色々な十字架を見た時に音がでかかったんですよ。一打一打が、しっかり丁寧に叩く音やったし。

やっぱり、どうせやるなら違うスタイルの人を集めたかったんですよね、umbrellaとは。ほんま真逆じゃないですか。

——そうですね。

唯:別にumbrellaは嫌とかでも全くないんですけど、一緒のものをやってもしゃあないじゃないですか。路地裏堂でやるにあたって、真逆を求めてみようと思って。

完全なオルタナスタイルの人たちではないんです、umbrellaって。オルタナのバンドって言われてるけど、結局、私が作ってる音楽がオルタナというだけで、メンバーは別にオルタナを通ってないんですよ。だから、こっち(路地裏堂)でオルタナメンツ集めようと思って。

で、銀ちゃんのスタイルは、指弾きで高い位置で弾いて、ノリもすごくいいし、あとお洒落。動きのあるバンドにしようと思ったんですけど、結構妙な動きもするし。私は銀ちゃんを推すためにバンド始めてるようなもんなんで、正直。

——おお。

唯:本人にも言うてます。「君を売らせます」って。

——8月8日のライブでも「永山!」というメンバーコールがありました。もうすでに人気が出てきているのかも?

唯:あの人はもっとでかいとこでできると思うんで。私はそれを見越してるのもあります。

で、えゐむくんは爆音。でも、爆音でも柊くんと違う爆音で、私の音のスタイルにそっくりなんです。ソロの曲を聴いてくれたんですけど、その曲に合わせた音をちゃんと作ってくる。私のシューゲをちゃんと理解したものを提示してくれる子なんで。

あとは熱い。ライブ中に叫べる子。もともとライブの映像を見た時に、結構叫んでんなと。これは路地裏堂でのライブに必要な人やなと思って。欲しい、と思ったんで誘った。

で、さっき言ってたdagaちゃんは、音がでかい。ダイナミクスが多い、強いドラムなんですよね。将くんって結構細かくて小技が多いんですけど、真逆です。もうほんまに一段一打が大きくて、的確にヒットさせるパワーヒッターでもあるし。だからと言って、別に細かいことができないわけじゃないんですけど、どっちかっていうと結構パワー系の方なので。

この真逆の人ら集めたら、おもろいんちゃうかなと思ってdagaちゃんに声かけたら、やりたいって言ってくれて。忙しいんですよ?あの人。

——そうですよね。色々な十字架以外にも活動されていますし。

唯:そう。で、十字架以外にやってるバンドもめちゃくちゃいいんですよ。その映像を観ても、「間違いない」と思って。

あと、全員すっぴんでもライブできると言ってくれてる子。私もできるんで、ぶっちゃけ言うと。そういうとこでも戦えるといいなと思ってて。

そんな条件が自分の中であって、今後いろんなとこでライブできるやろうなっていうメンツ集めましたね。

お互いいろんなバンドやってるっていうのもまず大事。いろんな経験を積んだ人を呼んでるんで。「これしかない」ってなると、依存しちゃうじゃないですか。

——はい。

唯:路地裏堂は月に5回6回ライブするわけじゃないから、それに依存させるわけにもいかんし、ちょうどいいんですよ。いろんなバンドがある中、ここで集まった時に爆発力がある、っていうのが理想かなと。

私もumbrella大事やし。umbrellaもちゃんと動かすとしたら、数ヶ月に1回ライブかもしれないけど、その一発がすげえでかい影響力のあるバンドになるとしたら、ちょうどいいんじゃないかなと思って。関係図的にも。

「路地裏堂」初ライブを終えて|一人ではないステージ上で、込み上げた涙

——ベストなメンバーが集まり、8月8日に臨んだ「路地裏堂」初ライブの感触はどうでしたか。

唯:めちゃくちゃ良かったですね。なんかね、私2曲目で泣きかけたんですよ。

——はい、泣きかけてらっしゃいましたね。

唯:「Hello. Lonely World」って曲の、Bメロかな?サビ前の「そんな時代もあったっけな」という歌詞があったんですけど。いろんな時代のことを思い出したら、声出なくなっちゃって(笑)。サビで我慢してたんですけど、それぐらい込み上げるものがあった。感動しちゃったっていうか。

前提として、umbrellaは理想じゃないって言ってるわけじゃないし、自分のバンドなんで確固たる意思があって続けてるんですけど。やっぱり、(路地裏堂アルバイトは)自分の音楽をちゃんとわかって、ほんまに自分の音楽で集まってくれたっていうのがあるじゃないですか。

コロナの時からずっと考えて、一人でずっとやってきたものなんで。ずっと一人やってきたものに、全員が集まった時の音ってすごいんすよ。だからなんか、すごい感慨深くて感動しちゃったっすね、マジで。

うん、あれを1曲目でやったら多分私大変やったと思う。1曲目で泣くのは嫌やったんで。だから結構暗くて強い『蛾』で始めたんですよ。

——1曲目が『蛾』なのは意外でした。

唯:あの雰囲気で始めたら、泣かないかなと思って。2曲目でもダメでしたね。

——何曲目でも、きっと泣いてしまっていた気がします。

唯:あの歌詞、自●行為やと思って(笑)。

——『Hello. Lonely World』は、泣けるポイントがいっぱいありますよね。終盤の「きっと僕の命は短い」も。

唯:そう。あの曲って、【唯我独唱】でも結構泣きそうになるんです。今回全員を見ながらライブしたんですけど、より一層、周りがすごくサポートしてくれてる状況に、泣きましたね。すごいな、みんなって支えてくれてるなと思って。

まあアルバイトですけどね。お金払ってるんで。

——そうですね、店主として。

唯:お給料払ってるんでその辺は割り切ってはいるんですけど、「このアルバイト達最高!」と思って感動しちゃった。

全部が良かったですね、セットリストも良かったし。やかましいのを集めたんで。

——はい、いい意味でやかましかったです。

唯:対バン相手に負けない爆音にしようと思ったら、あのセトリでしょ。

満足したかと言われれば違いますけど。もっとできるし、初々しいライブやなとは思いますよ。全員間違ってたし(笑)。

でも、もういいんです。それでも今回のライブはすんげえいいライブで、いいきっかけにできたなと自分では思ってます。良くも悪くも荒削りで楽しかったです。

——【唯我独唱】も一度観に行かせていただいたからこそ、「こういうのがやりたかったんですよね」もありつつ、『medecine』や『ミミック』に関しては「全然違う曲みたい!」と驚きました。

唯:そうなんですよ。あのスタイルの『medecine』が良すぎて。『ミミック』は強くなったし、熱くなったっすね。あれ、今思い出してもすごいなと思うんですけど。やっぱバンドにすると化ける曲もいっぱいあるなっていう。

10月30日、初ワンマン【cinéma】への意気込み|どっぷり音楽に浸れる日に

——10月の30日には初ワンマン【cinéma】も開催されます。意気込みを教えていただけますか?

唯:始動の時にスタンディングにして盛り上がったのに、次のライブでおとなしくさせるっていう、すごいドSな行為だと思うんですけど。

——オールシッティングなんだ、と思って。

唯:いや、別にオールスタンディングでもいいんですけど。私の趣旨としては、【唯我独唱】と同じで、どっぷりと静かにライブを観てもらえた方がいいんじゃない?と思って。

対バンの時は盛り上がったらいいし、オールスターディングのライブも、コンセプトライブとして路地裏堂でやってもいいと思うんですけど。

基本的に自分のワンマンのスタイルっていうのは、落ち着いてゆっくり座って、なんの痛みも痺れもない状態で、どっぷり音楽に浸れるライブがいいんじゃないかなと思ってます。なんか、最近足疲れません?

——(笑)

唯:立ってライブするのって。長時間のライブって足疲れるんですよ。

——まあ確かに。ヴィジュアル系のライブだと、手をずっとくるくるして疲れたりとかもありますね。

唯:すごい乳酸が溜まりますよね。別に筋トレしてるわけじゃないしさ。ライブでそういうエクササイズをしたかったら、してもいいんですけど。

私の場合はどっちかっていうと、自分がライブを観て感じた「なんか疲れたな」「しんどいな」をどこまでも減らしたいなと思って。座って映画を観る感覚って、楽しいじゃないですか。あれをライブ音楽でやりたいなと思ったから、オールシッティングっていう、向き合う方式で今回もやるんです。

【唯我独唱】もそうじゃないですか。自分のパーソナルスペースで、ここだけでも自分の時間を、みたいな。本当だったら私もポップコーン出したいですよ(笑)。飲み物飲みながら、みたいなライブにしたいんです。

映画館ですね、だから。今回のワンワンのタイトルも【cinéma】にしてるんですけど。基本的に、今後路地裏堂のライブはタイトル変えずにそのスタイルで行こうと思ってて。

——おお、【cinéma】でシリーズ化していくんですね。

唯:そのつもりではいるんです、今のところ。

あと、私が人生を語る曲が多いんで。いろんな情景があるじゃないですか。自分のパーソナルなことを表現してるから、それがドラマみたいに、投影されてるような感覚になったんですよね。

元々、umbrellaも『キネマトグラフ』っていう音源を出したり、映画みたいな感じでって思ってたんですけど、どんどんライブバンドになってきたので。成長したから趣旨が変わってきてる部分もあると思うんですけど。

それを引き継ぐ意味もあるし、もっと自分のパーソナルなものが出てるなと思ったから、人間映画として観れたらいいなと思って。没入っていうんですかね、ガン見しすぎると周りが見えなくなる感覚ってないですか?

——はい。視界が見ているそこだけになる感覚、ありますね。

唯:お客さんにはノリを気にせず、ずっとステージだけ観てほしいなと思って。

なので、ライブハウスの名前もわざと「なんとかシアター」って呼びたいんです。だから、今回は西荻BETTY ROOMシアターです。路地裏のグループラインではそう呼んでます。

あとは私MOSAiC(下北沢 LIVE HOUSE MOSAiC)ってところが好きなんで、下北沢はMOSAiCシアターにしようぜって、よく遊びで喋ってるんです。

——楽しみですね、これからどんなシアターでやるのか。

唯:すげえいいシアターで【cinéma】をやろうかなと思ってます。

ソロ活動がumbrellaにもたらす影響|「築いたものを、umbrellaに持ち帰りたい」

——そんなソロ活動は、umbrellaにどんな影響をもたらしていると思いますか。

唯:私、umbrellaから持っていこう、っていうことほとんどしてないんですよ。それは違うなと思って。umbrellaで培ったものをソロでやろうっていうのは、持ち逃げみたいじゃないですか。

そうじゃなくて、私はソロでやったものをumbrellaへ持って帰ろうという方向でやってて。

だから、アコースティックギターでレコーディングしてみて、良かったなと思ったらumbrellaに持ってきて『solitude』とか『傘はいらない。』で表現したりとか。「umbrellaでやったことないことをやってみよう」っていうのがまずコンセプトでもあるんです。ある意味、人柱になって。

——実験台みたいな。

唯:そうそう。私のソロの時なら、責任は私にあるから、失敗したら「失敗したな、ははは」で終われるじゃないですか。

でもumbrellaでやってしまって失敗すると、全員失敗したことになるんで、それはリスクが大きい。umbrellaで私、失敗したくないんですよ。できればメンバーみんな成功してほしいし、失敗してほしくない。

ソロで1回やってみて、失敗したことももちろんある。ただ良かったものに関しては、umbrellaに持って行って提案ができる。路地裏サーチライトのパスステッカーなんか作ったり、四角形の缶バッチを作ってみたり。あとはTシャツも、「こういうインクが使えるようになったから、umbrellaでも使ってみよう」とか。

人脈も、ソロは自分で築き上げたものなんですよね、ほとんど。umbrellaになかった新鮮なものを持ってこれるんじゃないかなって、私は思ってて。あとは路地裏堂でファンになってくれたお客さん、ソロでファンになってくれたお客さんも、もちろんいるんですよ。

——素晴らしいですね。

唯:コロナの時にソロでやってたツイキャスで、ファンになってくれた方もいらっしゃるんですよ。そこからumbrellaのお客さんとして来てくれる人もいるんで、絶対無意味なものじゃないなって。

フットワークも軽いじゃないですか、ソロだと。ソロで誘われたライブに行った時に、umbrellaもプロモーションできるんで。すごくプラスではないかなと思ってます。

——プラスになっていますね、間違いなく。

唯:私はそう思ってるんで続けてるし。あとプラスじゃなかったらメンバーも文句言ってるっすよ、今頃。

別に「連れてきてるやろ」みたいに、偉そうに言うことではないけど。ただやっぱり、ちゃんとその辺のプロモーションもしてるから、黙ってくれてるんやろうなとは思いますね。

——はい。路地裏堂も始まって、さらに増えそうですね。そこから興味を持ってumbrellaも、という人が。

唯:そうですね。最終的に、それぞれのバンドのお客さんがいろんなところへ流れて、共有して。全員の母数が上がればいいですよね。

——そうですね。いい相乗効果を。

唯:永山好きになる人もおるでしょうし、えゐむのことが好きになるって言ってくれる人もいるし。しし者(=色々な十字架のファン)がこっちへ来てくれたり、あっち行ったり。

すごくいいと思うんですよね。ソロ活動の良さってそこもあるんですよ。

昔は結構厳しかったじゃないですか。「ソロ活動するとバンドが解散する」とか。「umbrellaどうなるんですか」って言ってくるファンの人もいましたよ。

——「ソロばっかりやって…」という声が上がる時代もあったかもしれませんね。

唯:そう。うるせえよって思いますよ。ちゃんと数字を持ってくるように頑張ってるんやから、黙って見てろよって思うし。

——自分だけ豊かになるためにやってるわけじゃないですもんね。

唯:そうです。音楽で飯食ってる以上、やっぱりちゃんとライブとして、お金もらってやらなあかんから。私はそれが仕事なんで。

そうじゃなかったら、別に音楽じゃなくていいんじゃない?と思うんですよ。なんか仕事やってりゃいいみたいな。

チケット代もらうことを、私は一つも悪いことだと思ってないんです。グッズ売ることに対しても。お金を皆さんからもらうことに関しては、全部ちゃんと次に繋がるような活動費には絶対なってるから。umbrellaに対してもちゃんと還元できてるし、今後もしていこうと思ってます。

だからといって、別に私はumbrellaの陰でちょろっとやってるみたいな感覚でも見られたくないっていう。私はソロであろうが、路地裏堂だろうが、umbrellaだろうが、売れるチャンスがあればどこにでも出ますから。もしソロで頭角表せるんやったら、そこ行きますし。それは人生の覚悟として、やっとかなあかんと思ってます。

チャンスがあるなら、なんかを犠牲にしていかなあかんことだってあります。それは人生だからね。

これから目指すもの|「キネマ倶楽部で【cinéma】を」そして、新たなアルバイトとは

——ソロ活動の今後の展望や、目指していることを教えていただけますか。

唯:私とアルバイトのメンバーのグループラインが、この歳になって全員で夢を語れる場になってるんですよ。

——いいですね。

唯:なかなかない。私はあんまりラインをまめに打つタイプじゃないんですけど、彼らとは結構打つんです。

シネマというワンマンをする時に「ソールドしようぜ!」みたいなことを言える仲になってるのも嬉しい。で、なぜか私じゃなくてアルバイトのメンバーが「キネマ倶楽部(東京キネマ倶楽部)を目指せ」っていう。

なので、「キネマ倶楽部で【cinéma】をやろう」っていう目標を立ててます、路地裏堂が。シッティングで。贅沢すぎん?(笑)もっと入れるのに、わざとシッティングでしようみたいな。面白いやんと思って。

——面白いですね(笑)。

唯:赤字でしょうけどね。どんだけお金かかんねん!と思うんですけど。

でも常識にとらわれない表現、イメージを共有できるアルバイトのメンバーがいるっていうのはすごく、凝り固まってない仲間ができたなと思って。今、そこは本っ当に楽しいです。

——よかったです。

唯:なんか馬鹿ですけどね、考え方が。非現実にも程がある。現実的じゃない理想を語れる仲間が今更できたので、おもろいですよ。

あとアルバイトということは、他にも雇う人がいるんです。

——お。

唯:そうです。アルバイトはこの4人固定じゃないんで。

もちろん、今このメンツは必須メンバーですよ。ただ、正直いろんなアルバイトを今控えております。

——ええ!

唯:そうです。むしろ向こうからやりたいと言ってくれる方もいらっしゃいます。営業をしてくれる方もいらっしゃる。

——雇ってくださいと?

唯:はい、履歴書を送ってくれる方がいるみたいな感じです。

——自己PRして。

唯:自己PRですね。ほんまに言うてます?みたいな先輩もいるんで。いずれそういうことになるでしょう。

——日によって「この日は出勤」「この日は休み」というのが発生するんですね。

唯:そう。アルバイトなんでシフト制です。予定が合わんかったら、違う人シフト入れなあかんから、今回はこのアルバイト入れましょう、みたいな時もあります。

で、私は店主ですけど、店主より上がいる場合があるじゃないですか。

——店主より上。

唯:上司。

——上司?

唯:私より先輩の上司がいる場合があるんです。

——「上司」だけ名称が主観なのが面白すぎるのですが(笑)。

唯:路地裏堂なんで、別に社長じゃないですから。

——そうなんですが…マネージャーとかじゃないんですね(笑)。

唯:物販にもいますよね、パートかな。あ、でも今、お客さんというかファンの名称どうしようかなって言うてて。

——お客さんも働いてる人なんですか。

唯:なんかな、顧客っていうとなんか普通じゃないですか。お客さんにもパートになってもらおうかな。

——もう、あの場には従業員しかいないってことですか?

唯:そうそう。全員パートにして。「次のパート、仕事で行けへんわ」って。

——(笑)ライブ行くときは「ちょっと出勤してくるわ」で。

唯:そうそうそう。今日出勤やねん、今日シフトインするわって。

——対バンで出番遅めなら、「今日遅番やし」みたいな?

唯:そういう楽しみがあっていいんじゃないかなって。あ、絶対有給出さない。有給無理っす。

——ブラックですね。

唯:絶対出さない有給。残業だけ。

——残業代出るんですか。

唯:出ないです、サービス残業です。

——結構ブラック。

唯:ホワイトなブラックです。路地裏堂はホワイトな環境を目指してます。

——目指してはいるんですね。

唯:ゆくゆくはね。

こんな楽しみもあっていいかなって。名前付けたりとかも、あんまり今までしたことなかったから。そういう決まり事というか、コンセプトみたいなことを考えるのも一つのチャレンジっていうか。自分の中でやったことないから、いろいろ楽しもうかなと思ってます。

パートの皆さんも、ぜひそういう風に楽しんで出勤していただければ。出勤パートは多ければ多いほどいいですからね。

あと無断欠勤はダメですから。遅刻も許さない。

——わかりました。

唯:はい、そういう楽しみを見つけてください。

唯の原動力やモチベーション|「いつかできなくなるなら、やりきってしまおう」

——umbrellaでもソロでも精力的に活動されていますが、その原動力やモチベーションになっていることは何でしょうか。

唯:コロナの影響がすごく強くて。会えなかったじゃないですか、人に。その分会っておこうっていうか、できるもんはやっておこうみたいな。

父が亡くなって。コロナの前の年に亡くなったから会えたんですけど、コロナの時期に亡くなってたら、会えなかったわけじゃないですか。そういうことがあって、「会える時は会っとこう」と思ったのもあるし。

その時から、私マインド変わったんですよね。ライブできる時はライブしようとか、いろんなとこに行こうとか。だって、誘ってもらえるのも、いつか誘われなくなる場合もあるじゃないですか。だから誘ってもらえてる間に、断らずに行こうとか。求められてるって感じちゃいますしね、ソロで誘われてるっていうのは。

我慢しなくなったんですよね。会いたい人に会おう、喋りたい時は喋ろう、音楽つくる時作ろうみたいな。「今ライブいっぱいあるから、ちょっとやめとこうか」っていうのたまにはあるんですけど。さすがに多すぎると。

自分が思ったことをすごく従順に素直にやってみたら、今みたいな活動になったっていう。言うたらわがままなんですけど、結局結果に繋がってるんで。叶っていくのが面白かったんですよね。

——やりたいことを行動に移したり、言いたいことを口に出したりしてみて、願った方向に行ったことで、さらに変わっていったのでしょうか。

唯:はい。人と喋り出してから、結構人間関係がうまくいったというか、めっちゃ知り合い増えたんですよ。業界のいろんな人。

で、やっぱり話せば話すほど仕事もらえるし、そこで成功してるっすよね。失敗もしてるけど。いろんな仕事もらったりもするし、ちゃんと叶ってるんですよね、やりたいことが。

「私、あなたと関わってこうしたかったんですよね」って言ったら、「じゃあライブする?」みたいな。これがね、結構続くんですよ。だから多分、これが私の中では成功の道の一つなんかなと。

話すの嫌いやったんですけどね。そこを自分を変えてまでやったのが、多分一番良かったのかな。

コロナが一番、私の中で変わったきっかけでもあるし、モチベーションに繋がった時期でもあるんじゃないかなと思います。コロナがなかったら、多分私もう音楽やってないかもしれんっていうぐらい。コロナの前って、umbrellaという1つのバンドでいっぱいいっぱいになってたし、悩んでた時期もすごいあったから。

でもコロナで1回ちょっと気持ちがリセットされた時に、俯瞰して見られたというか。

——umbrellaさんのインタビューでは「いつまでできるか実際わからないし」というお話もありました。それも、自分に火をつける一因にはなっていますか。

唯:そうですね。

メンバーそれぞれの言いたいこともわかるし、終わらせないぞっていう心意気もわかるけど。私個人としては、いつか終わるってものに対してのいい意味の開き直りというか。「いつかできなくなるなら、やりきってしまおう」みたいな方向。維持するのではなく、走り抜けたい気持ちの方が強いんです、私。長く続けたいっていうよりかは。

長く続けることは前提としても、もっと派手にというか、後悔のない動き方とかあるんじゃないかなと。私の場合は「いつまでやれるかわからない」ってすごいネガティブに聞こえる言い方よくするんですけど、最近は。あれって、みんながネガティブに感じてるだけじゃないかなと。

私はポジティブに考えてて。背水の陣ってそういう気持ちじゃないかな、と思ったから。もう捨てるものないぐらい自分で出し切れるぐらいまで振り絞れんのか、そのゆっくりやるっていうマインドで?って思うし。

——何事もいつかは終わりが来るものですからね。

唯:そうですよ。ずっとバンドやってたらやっぱり、同じ年の人たちが亡くなったりもするんですよね。いつどうなるかわからへん状態で、のんびりしてられへんなと思って。

曲が200曲以上あるって言ってたじゃないですか。…●ぬぞって(笑)。残すもんも残せへんし、ダラダラしてたら。自分のパーソナルな曲だけでも早めに残したいなと思って、ソロやってるのもあります。

1人やからこそ動けるフットワークの軽さもあるけど、メンバー全員の足並みを揃えてやるっていうのも大事やから。10周年以降からはメンバーを尊重するというか、メンバーがやりたいことを言ってから「じゃあやりましょう」っていうスタンスにもなって。

その分、ソロではもうシャアみたいに5倍3倍とかで動こうかなと思うぐらい。だから「umbrellaじゃなくてソロばっかり」と思われるかもしれないけど。それは人生のスピード感が違うだけで、別に何が悪いわけでもない。どっちも悪いわけじゃないってことは、やっぱみんな勘違いしたらあかんと思うんですよね。

——そうですね。

唯:押し付けも良くないから。

——ソロで勢いよく活動してるからと言って、umbrellaを疎かにしてるのかというと、そうではないと。

唯:そう。そういうネガティブな見方とかをしちゃう人もいるじゃないですか。私以外のメンバーを好きな人は「あいつばっか動いて」とかなることもあるかもしれないけど。

それはそうよ。スピード感が違うんだから、人間の生きる。人それぞれの人生って違うんで、100年生きる人もいれば50年で死ぬ人もいるんだから。その人間のスピードを批判してはいけないと思う。絶対誰も否定をしてはいけないと思うから。それだけはみんな留意して考えた方がいいんじゃないかな。

——唯さんは、唯さんのスピード感ですね。

唯:ブーストかけて、スピードを上げて動いてるっていうことは、何を意味してるかっていうのは、みんな察してくれたらいいかなと思います。

ファンへの想い・読者へのメッセージ|私の人生を見て、楽しんでもらえたら

——ソロを応援してくれているファンの方には、どのような想いがありますか。

唯:ソロは非常にライブが多くて、みんなには負担かけてんだろうな、申し訳ねえなって気持ちはあるんですけど。一個一個のライブはすごく私の中では新鮮で、意味のあるライブをしてるので。

来れる限りライブに足を運んで、「この人今日どういう気持ちでライブ挑んでんだろう」みたいなのも考えつつ、楽しんでもらえればなと思います。今後、路地裏堂も楽しいことしていくので。

これは私の人生だと思います。もう音楽自体が人生なので。

ドラマを見に来てやってください。

——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

唯:(考えながら)1回コーヒーを飲もうかな。

——どうぞどうぞ。

唯:今回はソロのインタビューなんですけど、umbrella、路地裏堂ともに全部大事です。私のファンじゃなくてもいいんで、私と関わった人たちも、楽しんで見てもらえたらいいし。

私のファンの人たちは、私の人生観をテレビで見てるような感じで、「ああ、あいつこんなことやってんのか、頑張ってんな」とか「馬鹿だな」とかそういう感じで、見守ってくれたらいいかなと。ペットを見る感覚でもいいし。そういう感じで楽しんで、私の動きを見てもらったらなと思います。

楽しんでください、私で。

まとめ|「これは私の人生」唯という人間の生き様を、シアターで見届けよ

umbrellaとソロ、いずれの活動も、決して手を抜くことなく向き合い続ける唯。

呼吸をするように曲を生み出し続ける彼だからこそ、限られた人生の時間をとことん音楽に費やし、音楽と共に生き、音楽に命を燃やす。

そんな唯の人生を映画のように描くワンマンライブ【cinéma】は、2026年10月30日、西荻BETTY ROOMにて開催される。

「路地裏堂」アルバイトたちと共に、ステージ上で轟音を鳴らす店主・唯の生き様を、ぜひ全身で感じ取り、たっぷりと音に浸ってみてほしい。

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この記事を書いた人

関西在住。2025年にWEBメディア「ヴィジュアル系百科」を開設。ライブレポ、インタビュー記事などを通して、ヴィジュアル系バンドの魅力を広く伝えている。毎月第一水曜日15時からFMおとくに(86.2MHz)にて放送中のラジオ番組「ヴィジュおん」パーソナリティーを務める。司会、タレントとしても活動中。

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