【インタビュー】NINTH IN PLUTOとは|幾度もの試練を越え、世界を目指す「9番目の惑星」たち

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ヴィジュアル系とメタルコアを融合させた激しいサウンドを武器とするバンド、NINTH IN PLUTO。

宇宙や哲学を感じさせる壮大な世界観を持ち味に、独自の音楽を追求している。

始動直後のコロナ禍や相次ぐメンバー脱退など、幾度もの試練に直面しながらも、活動を止めることなく、現在はVo.零とBa.艶-EN-の2人を中心に歩みを続けている。

今回のインタビューでは、NINTH IN PLUTOというバンド名に込めた意味をはじめ、苦難を乗り越えてきた軌跡、音楽ルーツや楽曲制作へのこだわり、そして2人が目指す未来について話を聞いた。

目次

NINTH IN PLUTOとは|“9番目の惑星”に込めた、はぐれ者たちの美学

——まずは、NINTH IN PLUTOとはどのようなバンドなのか教えてください。

零: ヴィジュアル系とメタルコアを掛け合わせた音楽をやっているバンドです。世界観としては、宇宙や哲学的なものが根底にあります。

——バンド名の「NINTH IN PLUTO」はどういう意味なのでしょうか。

零:「9番目の惑星」という意味です。

もともと冥王星って9番目の惑星だったんですけど、惑星から外されたじゃないですか。だから「はぐれ者」というニュアンスも込めています。それから、「9」という数字には全知全能といった意味もあるので、それも含めてこの名前にしました。

——様々な意味があるのですね。NINTH IN PLUTOが始まった経緯から、現在に至るまでの歩みを教えてください。

零: 一番最初は、僕が動かそうとしていた別のバンドが、始動直前で頓挫してしまったことがきっかけでした。

その時は「もうこれ以上は無理かな」と悩んでいたんですけど、一緒にやろうと言ってくれたギターがいたので、「もう一回やろう」と2人で始めることになりました。

そのメンバーの知り合いが加入して、さらに「知り合いのベースがいる」と紹介してくれたのが、艶でした。

艶-EN-: 学校のイベントで僕がベースを弾いているのを見て声をかけてもらって、そのまま加入しました。

そのあと零さんがドラムを誘って、毎週1人ずつメンバーが増えていったんですよ(笑)。

零: そうそう(笑)。

最初は「NINTH」という名前で継続セッションのような形で活動していて、2022年4月にNINTH IN PLUTOとして正式に始動しました。

ただ、始動主催は艶が目の手術と重なって出演できなくて。そのあともちょうどコロナ禍だったので、メンバーが順番にコロナへかかったりしてしまって。

始動してから最初のメンバーが脱退するまで、本当に5人でライブができた回数って、片手で数えられるくらいしかなかったですね。ワンマンライブで、ようやく初めて5人全員が揃ったくらいでした。

その後はギターが1人脱退して4人になり、「ここから頑張ろう」とレコーディングを進めていたんですけど、もう1人のギターも精神的な理由で脱退してしまって。結局、レコーディングも途中で止まってしまいました。

ギターがいなくなったことで曲作りも思うように進まなくなって、そこから3人体制で約1年間活動しました。

その間に2曲リリースしたんですが、その後ドラムも脱退することになり、今の2人体制になりました。現在はサポートギターとサポートドラムを固定で迎えて活動しています。

ギターの風輝は僕らの中では「サポート以上、メンバー未満」みたいな存在ですね。条件が合えば加入してほしいという話もしていますし、曲作りにもかなり関わってもらっています。

——それだけ脱退が続くと、活動をやめようと思うこともあったのではないでしょうか。

艶-EN-: 僕は2人になってからは、一度も「やめよう」と思ったことはなかったですね。

零: 僕は3人体制になった時、一回だけ「もうやめる」って言ったことがありました。

5人や4人の時は役割を分担できていたんですけど、3人になると僕が抱えることが一気に増えてしまって。年下のメンバーに教えたり、いろんなことを見たりしていたら、一人で抱えきれなくなってしまったんです。

でも、その時に「もう一回3人で頑張りましょう」と言ってくれて、自分も「やっぱり頑張ろう」と思い直しました。

不思議だったのは、誰かが脱退するタイミングって、毎回バンドとしては上り調子だったことなんです。お客さんも増えて、「ここからもっといける」というタイミングで脱退があって、また落ち込む。

それでも、そのたびに2人で気持ちを立て直して、ここまで続けてきました。

他のバンドだったら解散していてもおかしくないくらい、落ち込むタイミングは何度もありましたけど、それでも何とか続けてこられたなと思います。

Vo.零

クラシックからDIR EN GREYへ|2人を変えた音楽との出会い

——お二人それぞれの音楽ルーツや、影響を受けたバンド・アーティストについても教えてください。

艶-EN-: 僕の一番最初のルーツはクラシックですね。小学校6年間バイオリンをやっていて、父親がQueenをすごく好きだったので、クラシックとQueenが原体験です。

そのあと高校受験の頃にFear, and Loathing in Las Vegasを聴いて激しい音楽にハマって、そこからたまたまDIR EN GREYを聴いて衝撃を受けました。

特に「DOZING GREEN」の最後のシャウトですね。「なんだこれは」って。

最初はYouTubeのサムネイルが怖くて何回もスルーしていたんですよ(笑)。でも思い切って聴いてみたら、一発でハマりました。

——そうだったんですね。そこからベースを始められたんですか。

艶-EN-: 高校で軽音部に入ったんですけど、実は最初、ベースって曲の”ベース”になるメロディを弾く楽器やと思ってたんです。

先輩に「ギターとベースどっちやりたい?」って聞かれて、「じゃあメロディやりたいんでベースで」って答えたら、4弦の大きい楽器を渡されて(笑)。

「思ってたんと違う」と思ったんですけど、ベースが少なかったみたいで先輩がすごく喜んでくれて、「違います」と言えなくなって、そのまま今までベースを続けています。

——スタートはまさかの思い込みだったのですね(笑)。零さんはいかがでしょうか。

零: 僕、もともと音楽があまり好きじゃなかったんですよ。音楽ってクラシックぐらいしか知らなくて、バンドっていう言葉も、リズムとかメロディも全然分からないまま育ちました。

最初に衝撃を受けたのは、中学生の頃に友達から聴かせてもらったRIZEですね。「なんだこのバンド!」と。Dragon Ashも聴くようになって、「こんな人たちになりたい」と思いました。

当時はヴィジュアル系じゃなくて、ヒップホップをやりたかったんですよ。家で一人リリックを書いてラップしたりしていました。

でも高校に入ってDIR EN GREYを聴いた時、人生が変わりました。シャウトも初めて聴きましたし、「こんな激しい音楽があるんや」って。本当に衝撃でしたね。そこからはDIR EN GREY一辺倒でした。

そのあとMTVでDue’le quartzを知って、初めてピュアサウンドの存在も知りました。

MIYAVIさんもずっと好きですし、蜉蝣、PIERROT、D’espairsRayあたりも、自分にとって大きな存在ですね。

僕、ハマったらそれしか見えなくなるタイプなんですけど、最近は艶に「今どんなメタルコアが流行ってる?」って教えてもらって。新しいバンドも意識して聴くようになりました。

面白かったのが、自分で見つけて「このバンドすごいな」と思ったら、艶が昔ライブに行ってたバンドだったりして。ルーツが結構似てるんですよね(笑)。だから音楽の話はすごく盛り上がります。

日本人として世界で戦いたい|NINTH IN PLUTOが楽曲制作で貫くこだわり

——楽曲制作ではどのようなことを意識されていますか。

艶-EN-: 僕はテンポが変わるところとか、ブレイクダウンの入り方みたいな細かい部分を結構見ています。「ここはこうした方が気持ちいいんじゃないですか」とか、そういう意見を出すことが多いですね。

零: 僕は逆に、曲全体の世界観や雰囲気を大事にしています。

最近は前より曲を作るペースも上げていて、「どうしたら艶が驚くような曲になるかな」と考えながら作っていますね。

今まで2人体制になってから出した曲は、サポートギターの風輝がアレンジをかなり担当してくれていたんですけど、今作っている曲は自分が中心になって進めています。

—なるほど。作詞についてはいかがでしょうか。

零: 歌詞は、自分の中で「すごくいいものが書けた」と思っても、文章に打ち込んだ時に漢字とひらがなの並びとか、見た目のバランスがしっくりこないことがあるんですよ。

そうなると、内容が気に入っていても全部書き直します。レコーディング前日に書き直すこともありますね。

あと、お客さんがどう受け取るかも考えるんですけど、自分がメンヘラっぽい歌詞や恋愛の歌詞を書くと、どうしても浅く感じてしまうんです。他の人が書くと「いい歌詞やな」と思うのに、自分が書くと納得できなくて。

だから、しっくりくるまで何度も書き直しています。

あとは、メタルコアって英語詞が主流なんですけど、僕は日本人として世界で戦いたいんです。

DIR EN GREYやMIYAVIさんの影響も大きいんですけど、日本語には日本語ならではの美しさがあると思っていて。海外の人にも、その良さを知ってほしい。

だから英語を使うことはあっても、できるだけ日本語をメタルコアのサウンドに乗せることを意識しています。日本人だからこそ表現できる音楽を届けたいですね。

理屈じゃなく鳥肌が立つライブを|2人がステージで届けたい体験

——ライブでは、どのようなことを意識されていますか。

艶-EN-: 頭を振ったり暴れたりするって、最初の一歩を踏み出すのが結構勇気いると思うんですよ。だから周りを気にせず、自分の中で振り切って楽しんでもらえるような空気を作りたいなと思っています。

ライブ中も、ちょっと笑っちゃうくらい煽ったりしてましたね。ただ、最近は一旦そういうスタイルから離れて、「ベーシストらしいかっこよさ」も出せるようになりたいと思っていて。

ちゃんとベースを弾く姿で魅せる部分も身につけた上で、どちらもできるようになりたいですね。

Ba.艶-EN-

——ライブハウスに慣れていない人にも楽しんでほしいという思いがあるんですね。

艶-EN-: そうですね。僕自身はライブへ行くとすぐ暴れちゃうタイプなんですが、みんながそうじゃないと思うので。

最初の一歩を踏み出しやすい空気を作れたらいいなと思っています。

零: 僕は、見た人が理屈じゃなく衝撃を受けるライブをしたいですね。

歌が上手いとか演奏が上手いとか、もちろんそういうのも大事なんですけど、それ以上に「なんか分からんけど鳥肌が立った」って思ってもらいたいんです。そういうライブができるボーカルになりたい。

昔は「誰よりも暴れる」ことをずっと意識していました。自分は歌が飛び抜けて上手いタイプじゃないと思っていたので、それなら誰よりも感情をぶつけよう、誰よりも暴れようと。

でも今は、前みたいながむしゃらなライブを続けるだけじゃ、長く活動できないなとも思っています。

だから最近は、どっしり立って歌っているだけでも会場を飲み込めるような存在感というか、オーラを出せるようになりたいですね。

——ライブでは激しい曲も多いですが、楽しみ方の幅も広がっていますね。

零: そうですね。激しい曲では思い切り暴れてほしいですし、この前出した「HOLLOW」はジャンプしたり手拍子したりして楽しめる曲なんです。

頭を振るだけがライブじゃないので、それぞれの楽しみ方で思い切り楽しんでもらえたら嬉しいです。

NINTH IN PLUTO『HOLLOW-2026-』

「ヴィジュアル系っぽくない」が武器|新曲「Betelgeuse」に込めた思い

——7月30日にリリースされた新曲「Betelgeuse」は、どのような楽曲なのでしょうか。注目してほしいポイントを教えてください。

艶-EN-: ヴィジュアル系ではあまり聴かないようなサビになっていると思います。ブレイクダウンも気持ちよく入れられたので、そこも注目してほしいですね。

宇宙的で、壮大な雰囲気をまとった曲になったと思います。そういう空気感って、ヴィジュアル系では意外と少ないんじゃないかなって。

零: 艶が言ったように、いい意味でヴィジュアル系っぽくない曲だと思っています。でも、激しいヴィジュアル系が好きな人なら、しっかり刺さる楽曲にもなっています。

メタルコアやメタルを聴く人にも入りやすいですし、ギターのメロディもしっかり立っているので、聴きやすいんじゃないかなと思いますね。

NINTH IN PLUTO『Betelgeuse』

9月9日はNINTHの日|年に一度のワンマンライブへ懸ける思い

——9月9日に開催される零さんの生誕記念ONEMAN LIVE【冥王生誕祭】-2026-への意気込みを教えてください。

艶-EN-: 僕はもう、零さんの誕生日をお祝いする気持ちですね。「おめでとう」って思いながらライブをやります。

——生誕ライブだからこそ、いつもと違う艶さんが見られるかもしれませんね。

零: 僕は生誕祭とは言っていますけど、自分の中では「9月9日はNINTHの日」という感覚なんです。

もちろん祝ってもらえるのは嬉しいですけど、それ以上に年に一回のワンマンライブなので、自分たちが表現したいものを最初から最後までしっかり届けたいと思っています。

撮影会付きチケットもありますけど、僕たちは自分たちの冠が付いたイベントでしか撮影会はやらないんですよ。あくまで思い出として残してほしいから。

だから撮影会付きチケットを買って来てくださる方には、「本当に来て良かった」と思ってもらえるような、価値があるライブを届けたいです。

もちろん無料で来てくださる方にも、交通費や時間を使って来てくださるわけなので、「今日来て良かった」と思ってもらえる一日にしたいですね。

「音楽でつながる関係でいたい」|NINTH IN PLUTOにとってファンとは

——NINTH IN PLUTOにとって、ファンはどのような存在ですか。また、これからどんな関係を築いていきたいと考えていますか。

零: 去年、2人体制になって初めてワンマンライブをやった時、それまでで一番「ありがとう」っていう気持ちが大きかったんです。もちろん今までも感謝はずっと伝えてきましたけど、あそこまで強く思ったことはなかったですね。

今こうして活動を続けられているのも、来てくれる人たちの支えがあるからです。本当に感謝していますし、自分たちにとって励みになっている存在です。

だから今度は、自分たちが音楽で恩返しをして、日々を頑張る力や元気を与えられる存在になれたらいいなと思っています。

あと、僕たちはあくまで音楽とライブでつながる関係でいたいという思いが強いんです。

今はいろんな形でファンとの距離を縮めるやり方がありますけど、僕たちは音楽じゃないところをメインにして活動するのではなく、ライブと楽曲を通して関係を築いていきたい。

入り口は何でもいいと思うんです。最終的に曲を好きになってもらえたら、それが一番嬉しいので。

艶-EN-: 僕は、あんまりファンのことを意識してないんですよ(笑)。

もちろんめちゃくちゃ感謝はしています。でも、自分が気持ちよく音楽をやっているところを見て、楽しんでもらえたら嬉しいです。

好きなことをやっている僕らを見て、「かっこいいな」って思って応援してくれる。僕は特別何かするわけでもないので、そのまま自由についてきてもらえたらいいですね。

世界の隅っこにいる誰かへ|NINTH IN PLUTOが目指す未来

——NINTH IN PLUTOの今後の展望や、目指していることを教えてください。

艶-EN-: バンドとしては、やっぱり海外でライブをしたいですね。いろんな国で演奏したいですし、海外のフェスにも出たいと思っています。

音楽って、その人にとっての鎧みたいな存在だと思うんですよ。外の世界から自分を守ってくれるものというか。

だから僕も、自分みたいに教室の隅っこにいるような人たちに刺さるバンドになりたいです。そういう人たちの居場所になれる音楽を届けていきたいですね。

零: 僕も海外でライブをしたいという思いは一緒です。国内でももっと認知度を上げていきたいですし、海外のフェスやオーディションにも積極的に挑戦していきたいですね。

あと、表現者としての最終的な目標は、この世の真理みたいなものを自分の言葉で表現できるようになることです。前作「SIRIUS」でも挑戦したんですけど、まだ自分の中では表現しきれていない感覚があって。

この世の理や、人が生きる意味みたいなものを、歌詞や音楽を通して感じてもらえる作品を作っていきたいですね。

——最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

艶-EN-: こういうメッセージって苦手なんですけど(笑)。これからが楽しみなバンドだと思っています。

今までも音楽性は少しずつ変わってきましたし、これからもいろんなことを背負いながら音楽を作っていきます。

ぜひ楽しみにしていてください。

零: 僕たちは、本当にいろんなことを乗り越えてきたバンドです。だからこそ、その歩んできた道や思いを、これからも曲に込めて届けていきたいと思っています。

NINTH IN PLUTOのこれからをぜひ楽しみに、そして応援していただけたら嬉しいです。

まとめ|幾度もの試練を越え、その先へ。NINTH IN PLUTOが描く未来

始動直後のコロナ禍、度重なるメンバー脱退、何度も訪れた苦境。

それでも歩みを止めず、「音楽でつながる関係でいたい」というファンへの思い、そして「日本人として世界で戦いたい」という楽曲制作へのこだわりを持ち、NINTH IN PLUTOは活動を続けてきた。

7月30日にリリースされた新曲「Betelgeuse」、そして9月9日に開催される零生誕記念ONEMAN LIVE【冥王生誕祭】-2026-は、そんな彼らの”今”を体感できる機会となる。

その壮大な世界観と熱量を、ぜひライブハウスで体感してほしい。

インタビュー:ヴィジュアル系百科 編集長 太田翔子

NINTH IN PLUTO

公式サイト:https://www.nip-official.com

X:@NIP_JP_OFFICIAL

Instagram:@nip_jp

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

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