シェルミィ凌央生誕記念「NO FUTURE NO CRY」ライブレポート

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2025年4月12日、大阪・心斎橋のライブハウスOSAKA MUSEにて、ヴィジュアル系バンド・シェルミィのベーシスト凌央(りょう)の生誕記念単独公演「NO FUTURE NO CRY」が開催された。

目次

会場|OSAKA MUSE

心斎橋駅から徒歩5分ほどの好立地にあり、ステージも天井も高く、奥行きもあるOSAKA MUSEは、開放感のある快適なライブハウスだ。

項目内容
ライブハウス名OSAKA MUSE
住所〒542-0085 大阪市中央区心斎橋筋1丁目5-6 ミューズ389ビル
電話番号06-6245-5389
アクセス心斎橋筋商店街、周防町通を東へ一本目北に入る
公式サイトhttp://osaka.muse-live.com

この日行われたのは、ツアーではなく凌央の誕生日を祝う特別編成のイベント。

シェルミィに加え、Sadieのカバーセッション「サケィ」、L’Arc〜en〜Cielのカバーセッション「L’Arc〜陰〜Ciel」が出演する豪華な三部構成で、開演前から異様な熱気に包まれていた。

サケィ |凌央のルーツが交差するセッション

トップバッターはSadieセッションバンド「サケィ」

Vo.かんじ(ex.Philter)、Gt.勇気(共犯者)、Gt.友我(シェルミィ)、Ba.凌央(シェルミィ)、Dr.KouKiという編成。

凌央とVo.かんじはPhilter時代、さらに中学の野球部でも共に過ごした旧知の仲という深いつながりを持つ。そんなかんじは缶の酒を手に、どこかリラックスした様子で歌いながらも、4曲に込めた情熱は本物だった。

友我は顔に対してやや大きめのサングラスというアンバランスなビジュアルが逆に可愛らしく、勇気はこのあとラルクセッションにも出演するタフなスケジュール。

代表曲「迷彩」はセッション系イベントの定番で、当時Sadieに熱狂していた世代にはたまらない選曲だ。

なお、KouKiは5月12日に新バンドDLESSを始動させる。

関西を中心に活動していくとのことで、今後の展開にも注目が集まりそうだ。

L’Arc〜陰〜Ciel | 再現と個性の共存

2番手はL’Arc〜en〜Cielのカバーセッション「L’Arc〜陰〜Ciel」

Vo.豹、Gt.勇気、Ba.凪、Dr.爻という布陣で、豹のHYDEを彷彿とさせる色気のある低音と柔らかな裏声の使い分けが秀逸。

凪のベースも要所要所で耳を奪うほど巧みで、音数の多いラルク楽曲の中でも埋もれない存在感を放つ。タンクトップ姿の爻が見せたパワフルなドラムも、楽曲の勢いを後押ししていた。

シェルミィ | 凌央プロデュースの祝祭空間

メインアクトのシェルミィは、今回はツアーセットではなく凌央プロデュースによる特別な一夜。全員がジャケットやパンツにチェック柄を取り入れたパンク調の衣装に身を包み、友我は黄緑色のスケルトンのギターでビジュアル面でも存在感を放つ。

事前告知通り、全曲にベースソロが盛り込まれたセットリストとなっており、ステージ上での凌央はまさに主役。

だが面白いことに、ベースソロが設けられた曲の多くに、ドラム、ギター、ボーカルそれぞれの見せ場も用意されており、結果的にバンド全員が主役級の輝きを放っていたのが印象的だった。

凌央ギャのみならず、各メンバーのギャにとっても見どころが多く、満足度の高いステージとなった。

▼ダイジェスト映像(シェルミィ公式X@officialshellmyより)

セットリストはバラードを排し、暴れ曲に特化した構成。会場は冒頭から激しく揺れ、後半になるにつれ熱気を増していく。

「インスティンクト_リクエスト」では、色とりどりの照明が曲の刹那的で自暴自棄なムードを加速させ、フロアのテンションを一気に引き上げた。

▼シェルミィ過去作品音源集「カルティックオカルティック」より「インスティンクト_リクエスト」リリックビデオ

扇子を使う演出の多さも印象的で、視覚的にも派手な見せ場が多かった。

アンコールの1曲目ではベースとドラムによるセッションが展開され、フロアを圧倒する凌央の姿は“サムライベーシスト”とでも呼ぶべきか。

アンコールラストは「口裂け女」。ライブでは頻繁に演奏される曲ではないため、レア度の高さにフロアはさらにヒートアップ。ラストのループ部分ではセッションメンバーも再び登場し、対バン形式ならではの賑やかで祝祭的なエンディングが生まれた。

MCと語られた「出会い」

本編中のMCでは、サケィとラル陰、どちらのセッションが良かったかを観客の拍手で競う場面も。

結果は「サケィの方が拍手数は多く、ラル陰の方が1人あたりの手の叩く力が強い」というユーモア交じりの結果発表となり、笑いを誘った。

凌央は「“no future, no cry”は、俺の好きなバンドの言葉で。未来なんてなくても泣かずに生きていく感じが好き」と話し、「このメンバーとよく9年も一緒にいるなって思う。なんで出会えたんやろってふと思った」と語った。

豹が応えるように「来世でもシェルミィやろな」と言った瞬間、笑いと感動が交錯する温かな空気が会場を包んだ。

おわりに

現在のツアー「インナァルインセミナ」では最新アルバム『マイナトランキメズマライザ』中心のセトリが展開されているため、旧作を多めに含んだこの日のセットリストは、負け犬(※シェルミィのファン)にとって逆に新鮮に感じられたに違いない。

緊張感のある物語性に富んだツアーも良いが、こうしたリラックスした“お祭り”のような公演で見せるバンドの笑顔もまた格別だ。

なお、4月19日には友我の生誕ライブも控えており、こちらも全曲ギターソロがあるかもしれないとの噂(?)が飛び交っている。

来年も再来年も、こんなふうに楽しくて熱いバースデー公演が続くことを期待せずにはいられない。

シェルミィ

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この記事を書いた人

関西在住。大学では法哲学を専攻し、「ヴィジュアル系における自由と規律」をテーマに研究。音楽を通じた表現と社会的規範の関係性に関心を持ち、ヴィジュアル系という文化現象を美学・社会構造・言語の観点から読み解いてきた。現在はメディア運営者・ライターとして、執筆を通じてバンドの世界観を言語化し、ヴィジュアル系の魅力を広く伝える活動をしている。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • シェルミィの記事を書いていただきありがとうございます!私もそのライブに参戦して最高でした!シェルミィの魅力をいろんな人に届けますように!

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