
滋賀県・野洲市にあるライブハウス、BARI-HARI。
のどかなこの地で8月23日、ART POP ENTERTAINMENT PRESENTS 「CRUSH OF MODE -HYPER HOT SUMMER’26-」滋賀編が開催された。
フロアに足を踏み入れると、モノトーンの市松模様に星型があしらわれた、パンキッシュなデザインの内装が目を引く。
天井には大小2つのミラーボールが回り、カラフルな灯りに照らされた空間はどこか涼しげだ。
この日、出演バンドたちが夏の終わりを熱く盛り上げる鋭いサウンドをぶつけ合い、各々がその印象を観客たちに刻みつけてきた。
そして4バンド目、umbrellaの出番が近づく。
入場〜開演
幕が開くと、そこにはすでにumbrellaメンバーたちの姿が。
4人の音が少しずつ混ざり合い、響き合い、こだまする。
1曲目|悪路
唯の奏でる、曇り空のようなふわりとしたギターの音色から始まり、4人の鳴らす重低音がBARI-HARIに炸裂。
「当たり障りのない 無菌室留まった
毒入りの台詞を 今此処で放つ」──umbrella『悪路』より
艶のある唯の歌声は、柔らかくそして強く響き、観客たちを惹きつける。
静寂、そして箱ごと揺らすような凄まじい音圧が、交互に訪れる展開。
「橙色した空の下 裸足で道無き道歩いて
終わりの見えない問題に 答えを答えを押し込んで」──umbrella『悪路』より
柊の奏でるギターは強く歪んだ音色ながらも、その巧みな指遣いで心の機微を描く。
力強く、かつブレることのない安定感抜群のビートを打ち鳴らすドラム・将。
「舌なめずりしたケモノに 報いを報いを願ってさ」──umbrella『悪路』より
というフレーズと共に、唯は左手で少し口元に触れる。
そして心臓を抉るかのごとく、攻撃的な春のベース。
曲終わり、唯が叫ぶ。
「umbrellaです、よろしくお願いします。
いけんのか、滋賀県!」
2曲目|orbit
勢いよく、拳と大きな声を上げる傘人たち。
将の重いキックと軽快なスネアが心地よい、疾走感たっぷりのこの曲。
「巡り巡った数多の日々は
影に隠れてやがて見えなくなった
みんな居なくなった世界は綺麗かな」──umbrella『orbit』より
歌詞に合わせ、彼方を指差す唯。
春の硬質なベースの音が、ダークな一面を覗かせる。
「忘れかけていた純粋な約束を
この方角が教えてくれていたんだ」──umbrella『orbit』より
柊は表情豊かに、歌詞を口ずさみながらギターを鳴らす。
唯が目を閉じ丁寧に歌い上げると、フロアからは大きな拍手が起こった。
3曲目|Frontier
グルーヴィーなイントロ、傘人たちは一斉に頭を振る。
「凍えてしまった Mystic
愛してる Media show」──umbrella『Frontier』より
原曲の世界観そのままに、軽快かつ妖しげな柊のギターリフ。
「掻き鳴らせ Sevens 脳内が震える Phrase
くだらないMoral壊し続けたい」──umbrella『Frontier』より
春の切なげなコーラスが響く。
時に寄り添い、そして時に突き放すような二面性のある楽曲。
観客たちは拳を上げ、唯は激しく頭を振る。
「おい、いけんのか!
滋賀県、元気ありますか?
しっかり声出せますか!?」
4曲目|dilemma
唯と柊、ふたりのギターの音がそれぞれ鮮やかに響く。
「愛想なんてない
故、根本的成分
優秀なお世辞に賞賛の手」──umbrella『dilemma』より
弾むような春のベーススラップが、鼓動を高鳴らせる。
「もう疲れたよ」──umbrella『dilemma』より
ハッとさせられるような、切なく優しげな唯のギターの音色。
将は身体を揺らしながらビートを刻み、メリハリある展開をリードする。
「僕は見えない
もう何も要らない
止まれば全てがグッバイ」──umbrella『dilemma』より
まるで映画のワンシーンを観ているかのような、惹き込まれる空気感。
壮大な広がりと、押し寄せるような音圧を両立したサウンドで観客たちを圧倒する。
「さぁ全て白紙の未来へ」──umbrella『dilemma』より
柔らかく囁くような唯の声が響く。
アウトロでは前方から後方まで、観客たちがジャンプしながら拳を上げる、圧巻の光景が広がった。
「おー、滋賀県。
初めて来た場所ですけど、
もっと熱をいただけるでしょうか!?」
そう促すと唯はギターを置き、次曲へ。
5曲目|レヴ
イントロでは春がお立ち台に登り、凶暴なベースを響かせる。
「Rain Alive Fate Awake」──umbrella『レヴ』より
恍惚とした声で呟く唯。
「貫いて離さない
もう二度と逃げ出さないわ」──umbrella『レヴ』より
まさに会場全体を貫くような、鋭く尖ったサウンドが迫り来る。
無機質で重厚な、迫力満点の音を鳴らすumbrellaメンバー4人。

唯がフロアに向かい叫ぶ。
「いけんのか!
後ろいける?
もっと見せてくれ、いいか!?」
6曲目|Witch?
噛み付くような柊の鋭いギターの音が響き、ダークな空気感がBARI-HARIを包む。
「干渉した視界に 零れ落ちた自戒の群れ
付近にはキレイな聞き分けのない密葬
グッドナイト」──umbrella『Witch?』より
重く、それでいてリズミカルなバンドサウンドの中、唯の中性的な歌声が高らかに響く。
「まだまだ!!」
唯が煽ると、フロアの熱気もどんどん増していく。
「心濡らして流して
僕に全てを気付かせたい
特別製の夜さ「オボロヅキ」の夜さ」──umbrella『Witch?』より
姿勢を低くしベースを掻き鳴らす春。
カラフルな灯りに彩られ、傘人たちは高らかにジャンプし音に身を委ねる。
「ありがとう」
そう唯が告げると、大きなメンバーコールが会場全体に響いた。
MC
「umbrellaです。
CRUSH OF MODE、8月いっぱい回らせてもらって、
ほんとにありがとう。」
唯が感謝の言葉を述べると、その気持ちに共鳴した拍手が起こる。
「個人的には、ここ2人(唯・春)がお世話になってる人がオーナーで、
会えて嬉しかったです。
めちゃくちゃ暑いけど、こんな夏やからこそできるライブをしたいなと。」
そう言うと、白いタクトを手に取る唯。
「ラスト、声出していけんのか!!」
手を上げ、大きな声で応える傘人たち。
「俺たちの夏、『アラン』で終わります。
応えてくれ、滋賀!」
ラスト|アラン
「飛び出した
追いかけなかった
大切なものに背を向けた」──umbrella『アラン』より
丁寧に、一言一言を噛み締めるように歌う唯。
思わず涙ぐむ傘人の姿も。
「世界から見えた心の強さを教えて
いつか見た夢に出会う事ばかりを願う」──umbrella『アラン』より
柊と春のコーラス、そして共に歌う傘人たちの声がBARI-HARIを温かく包む。
指揮者のようにタクトを振るい、身振り手振り豊かに、全身で楽曲を表現する唯。
「退屈な灰色に広がるこの世界からさようなら」──umbrella『アラン』より
シルクのように滑らかな柊のギターソロが、多幸感をもたらす。
そしていよいよクライマックス、唯が一言。
「はあ…ごっつい暑い夏でしたわ。
全員の声聞かせてください!!」
観客たちの大きな声が響き、一体となる会場。
将の軽すぎず、重すぎないスネアの音とともに、拳が上がる光景は爽快だ。
「良い夏過ごせました。ありがとう!
来年、滋賀県でライブするんで来てください!」
そう唯が告げ、大きな拍手に見送られながら、umbrellaメンバーたちはステージを後にした。
まとめ
初めて臨んだ滋賀BARI-HARIでの公演。
繊細かつ大胆なサウンドを堂々と鳴らし、爽やかさと暗さが同居するその独特な世界を、惜しみなく表現したumbrella。
唯が最後に告げた通り、ワンマンツアー【雨天、結構。】にて2027年1月27日、滋賀県に再び訪れる。(※滋賀U★STONE)
2027年3月18日、大阪・BIGCATでのワンマンライブという大きな挑戦の最中である彼ら。
結成17年目のベテランでありながら、今なお成長し続ける4人の躍進に、引き続き注目していきたい。
レポート:ヴィジュアル系百科 編集長 太田翔子

